夏休みの悩ましい宿題の一つに「自由研究」がありますが、そのヒントになればと我が家で取り組んだ理科実験や観察の記録を毎年夏休みのころに紹介しています。今回は、天気や布の色の違いによって、乾きやすさに違いがあるのか、さまざまな角度から実験した自由研究をお伝えしたいと思います。
布の乾きやすさの実験
これは、娘が小学5年生の時に親子で一緒に行った実験です。

1,実験のきっかけ
梅雨の時は、洗濯物がなかなか乾かなかった。体操服が乾かなくてドキドキしたことがあった。しかし梅雨が明け気温も上がり、晴れの日に外に洗濯物を干すとしっかりとすぐに乾く。当たり前のようだけど、この当たり前のことをきちんと実験して理解したいと思った。
また、白い色よりも黒い色のほうが温度が上がりやすいと聞いたことがあるが、という事は、黒い布のほうが白い布よりも乾きやすいのだろうか。布の色の違いによっても乾き方に違いが出るのか調べてみたくなった。そこで、いろいろ条件を変えて、布の乾き方について調べてみることにした。
2,実験の仕方
- 木綿の色の違う布6枚を用意する(白、黄色、緑、赤、青、黒)
布の大きさは縦横40cmにそろえる。
☆中に綿の入ったキルトも同じ6色揃えて実験しましたが、ここでは省略します。
- それぞれの布の重さをはかり、同じ重さにする。
縦横40cmの木綿は21g~22gだったので、21gに統一した。
- そして、水を30gずつ含ませて、水を含ませた後の布の重さも51gになるようにそろえた。
- 計測する道具を用意する(温度計・湿度計・簡単な風速計)
- 布を干す
- 布の重さを10分おきに測り、乾き具合を調べる→そして、もとの布の重さの21gになったら乾いたという事にする。
3,実際の実験の様子
6つの違う天気や条件で実験を行った。
- 日なた・・晴れた日、南側のベランダ→日光が良く当たる
- 日かげ・・晴れた日、西側のベランダ→昼過ぎまで日光は当たらない。
- うすぐもりの日・・太陽は出ていないが、雲はうすい。あまりジメジメしていない。
- 雲の厚い日・・今にも雨が降り出しそうな天気。ジメジメしている。
- 明るい部屋の中・・太陽の光は当たらないが、部屋の中は明るい
- 暗い部屋の中・・・光がないようにする(夜に電気を消して実験)
4,実験の結果
気温や湿度の結果は、以下のようになった。
気温は、一番高いのが日なたで、次にうすぐもり、雲の厚い日、日かげ、部屋の中と続いた。
湿度は、一番低かったのが日なたで、次にうすぐもり、日かげ、明るい部屋、暗い部屋、雲の厚い日と続いた。雲の厚い日が、一番湿度が高いことになる。
風速は、どの日もほとんど風は吹いなかった。
次に、それぞれの場所や天気によって布はどのように乾いていったのかを表にしてまとめた。
- 日なたの結果
・黒い布はどんどん乾いていって、たったの20分で乾いたので驚いた。その時布が少し暖かくなっていた。
・白や黄色は、乾くまでに黒の2倍の40分かかった。乾く時間は白と黄色と同じだったけど、白のほうが乾くスピードがゆっくりだった。(黄色は30分で23gまで乾いているので、実際乾いた時間は黄色のほうが早かったと思う。) - 日かげの結果
・日なたと日かげは同じ時間に干したが、黒の布だけ見ても、乾くのに日なたの2倍の40分かかった。
・色で比べると、やはり黒色の乾き方が一番早く、白よりも20分早く乾いた。 - うすぐもりの日
・緑・赤・青の布も日かげよりも早く乾いたし、白や黄色の布の水分の量が減る速さは、日かげよりも早かった。
・やはり、黒色が乾くのが早かった。 - 雲の厚い日
・3時間で実験を終わらせたが、最後まで21gの乾いた状態になる布はなかった。
・日なたでは、例えば黒の布は20分で乾いたが、雲の厚い日は、140分経って22gとあと少しで乾く状態にはなったが、結局カラッと乾かなかった。
・どの布も、ずっと湿っぽかった。 - 明るい部屋
・外に干さなくても、やはり1番早く黒の布が70分で乾いた。その次に、ほぼ同じくらいで、緑、赤、青が乾いた。
・うすぐもりや日かげの日より乾くのに時間がかかったが、70分~90分できちんと乾いた。 - 真っ暗な部屋
・明るい部屋と、ほとんど温度や湿度は同じなのに、明るい部屋とは少し乾き方が違う。
・他のところでは、黒色が1番早く乾いていたのに、暗い部屋では、色によって乾きやすさの差はなかった。
布ごとに棒グラフにまとめる
以上の結果を、乾くまでの時間がわかりやすく比べられるように、それぞれの布ごとに棒グラフにまとめてみた。
ここでは、白色と黒色の木綿の場合を紹介。(黄、緑、赤、青は省略)
そして、この棒グラフをもとに乾きやすい順番をランキングにしてみた。
「乾きやすい場所のランキング」
1位 日なた
2位 うすぐもり
3位 日かげ
4位 明るい部屋
5位 暗い部屋
6位 厚い曇りの日
この乾きやすさのランキングの結果は、実験結果①の湿度の低い順番と全く一緒になった。
わかったこと
- 湿度が低いほうが布は乾きやすいことがまず、実験結果から確認できた。
- また、気温も1位と2位は、気温の高い順と乾きやすさの順番は同じだった。だから、気温も高いほうが、乾きやすいことがわかった。ただ、気温で比べると、雲の厚い日が、日かげや部屋の中より暑かったが、乾きにくかったので、気温が高くても湿度が高ければ布は乾きにくいことがわかった。
- 次に光の強さで比べてみると、やはり日なたが1番強かった。光の強いほうが乾きやすいと思った。また、明るい部屋と暗い部屋の条件の違いは、光があたっているかいないかだけだったが、明るい部屋のほうが少しだが乾き方が早かったので、光があるほうが乾きやすいこともわかった。
次に、風が強いと布も乾きやすいのだろうか?
実験を行った日は、どの日も、ほとんど風がなく、風がある、ないによって、乾き方に違いが出るのかという事が確認できなかった。そこで、風の影響を調べるために、扇風機を使って布に風をあて、乾くまでの時間を調べてみることにした。
実験・・日なたと明るい部屋2か所で木綿の白色と黒色で行った。
扇風機の風を「強」にして布にあてる。
実験結果
日なたの場合
白色は、前の実験で乾くのに40分かかっていたが、扇風機をあてると15分で乾いた(25分短縮)
黒色も20分→10分と10分短縮された
明るい部屋の場合
白色は90分→20分(70分も短縮された)
黒色は70分→15分(55分も短縮された)
以上のことから、布に風を当てると、布が乾きやすいことが確認できた。

布の乾きやすさの条件
- 気温が高い
- 湿度が低い
- 風をあてる(風が吹いている)
- 光の量が多い
ここまで、天気や気温、湿度、風など周りの条件によって布の乾き方に違いが出ることを整理して考えてきた。
次に、布の色の違いによって、乾き方に違いが出るのかという事を考えてみたいと思う。
最初に実験した結果(日なた、日かげ、うすぐもり、雲の厚い日、明るい部屋、暗い部屋)を今度は、色ごとに整理して、乾くまでの時間の比較ができるように棒グラフにまとめてみた。
ここでは、日なたの場合と、明るい部屋を紹介(ほかの場所は省略)
日なたの場合
この棒グラフをもとに、どの色が乾きやすいのかランキングにしてまとめてみた。
(前にも書いたが、キルト布でも同じ実験をしているが、省略している)
わかったこと
黒い布は、暗い部屋以外、全部乾きやすさは1位だった。逆に白い布は、暗い部屋以外、全部1番乾きにくかった。また、光の量の多い日なたでは、はっきりと乾き方の違いが出て、黒い布は白い布の半分の時間で乾いた。
また、光のある、うすぐもり、日かげ、明るい部屋は、日なたほどではないが、黒色のほうが白い色よりも早く乾いた。
逆に光のない暗い部屋は、色の違いによって乾きやすさにあまり違いはなかった。
この結果から、光が当たることで、色によって乾き方に違いが出るのではないかと思った。
暗い部屋は光の影響がないので、色によって乾きやすさに違いが出なかったのではないかと思う。
↓
では、なぜ、このように色によって乾きやすさに違いが出たのだろうか?
色について図鑑などで調べてみた!
白い色・・あたった光をすべて反射するので白く見える
黒い布・・あたった光をすべて吸収するので黒く見える
つまり
白い色は、熱のエネルギーも反射してしまうので温度が上がりにくい
黒い色は、熱のエネルギーも吸収してしまうので温度が上がりやすい という事だそうだ。
このことから、光の当たる所では、黒い布のほうが白い布より温度が上がりやすいため布も乾きやすくなるという事がわかった。
では、他の色はどうなのだろうか?詳しいことは理解できなかったが、明るい色は光を多く反射し、濃い色は光を多く吸収するので、濃い色の方が温まりやすいという事なのだそうだ。
という事は、色の種類というよりは、色の濃さによって乾き方に違いが出て、色の濃いほうが早く乾き、色の薄いほうが乾くのが遅くなるという事になる。
このことから、黒い色が1番乾きやすく、緑、赤、青はどれも濃い色なので次に乾きやすく、そして、黄色は明るく薄い色なので、乾きが遅くなる。そして、1番乾きにくいのが白い布だという理由がわかった。
調べて分かったことと自分の実験結果が同じような結果になりうれしかった。
色別かわきやすさランキング
1位→黒 2位→緑 赤 青(3色同じくらいの乾きやすさ) 5位→黄 6位→白
色の違いによる乾きやすさの確認の実験
虫メガネで、太陽の光を集めて布を焼いてみる
黒い布は、すべての光を吸収するので早く焼けるだろうし、白い布はすべての光を反射するので焼けにくいと思った。他の色の焼け方はどうなのかも調べてみたくなったので、実験してみた。
☆光はまぶしいので、実験するときはサングラスの着用をお勧めする
☆布が燃えあがる可能性があるので、近くに水を入れたバケツを用意
☆必ず大人の監視のもと実験を行う(子供だけではさせない)
白色→10分経っても焼けなかった。
(サングラスをかけて実験したが、光の集まったところを見ていると、目がまぶしすぎたので10分でやめた)
黄色→光が当たっている部分から煙が出始めるまでの時間・・3分57秒
緑、赤、青色→6~7秒 すぐに煙が出始めたのでびっくりした。3色とも同じ時間で煙が出始めた。
黒色→1~2秒 虫眼鏡を黒い布にあてた瞬間、たった1~2秒で煙が出始めたので、あまりの速さにびっくりした。
この虫眼鏡の実験で、やはり黒い布が光を吸収しやすいことが確認できたし、濃い色が次に光を吸収しやすく、明るく薄い色の黄色は吸収しにくい、白色は光を反射しているから焼けにくいという事がしっかりとわかった。
まとめ
これまで「晴れの日は洗濯物が乾く」とか「雨の日は洗濯物が乾かない」のは当たり前のことで、それ以上乾くという事について深く考えたことはなかった。しかし、今回、布が乾きやすいためにはどんな条件が必要なのか?(気温、湿度、光の強さ、風)という事が実験を通してしっかり理解することができたと思う。
また、色によって乾き方に違いが出るという点についても、実験を通して理解を深めることができた。
自分が予想していた通りの結果(例えば白より黒のほうが乾きやすいなど)が出たら、うれしかったし、楽しく実験をすることができた。
今回の実験で、「洗濯物を干す」という毎日の当たり前のことが、その日の天気や科学と深くかかわっていることを実感したし、太陽のエネルギーはすごいなあと思った。
なかなか夏休みにしか実験できないけど、季節によってどのくらい乾き方に違いが出るのか(空気の乾いている秋、寒い冬、湿り気の多い梅雨など)実験してみたいと思った。
最後に
以上が、実験の内容です。
季節によって乾き方に違いが出るのかを実験してみたいとまとめには書いてありましたが、結局、それは行っていません。もし、継続して実験を続けていたら、更に深い広がりのある自由研究になっただろうなあと思います。
この実験は、晴れの日、うすぐもりの日、雲の厚い日、と条件の違う3日間は最低必要です。さらに、10分おきに布の重さを量ったり、実験の日はそれにつきっきりになります。その頃は専業主婦で、夏休みにずっと子供と同じ時間を過ごせたので、こんなちょっと面倒くさいこともできたのだと思います。
なかなか、じっくり親子で自由研究をする時間のない方も多いと思いますが、これらの実験を参考にしていただき、何か自分たちの行う自由研究の糸口を見つけていただけたらいいなあと思います。









