MBC-HP
「生き方」

ロングセラーの「かからん団子」をつくり続ける柏木のおじちゃんのおはなし


執筆者:

「かからん団子」といえば、鹿児島に伝わる郷土菓子。このおだんごに懐かしさや故郷を感じる方も多いかもしれません。その「かからん団子」が人気の和菓子屋さんが鹿児島市にあります。

あの名女優、山岡久乃さんにも長く愛され、海を越えてカリフォルニアやロサンゼルスまで届いているというから驚きです。つくっているのは、この道70年の菓子職人・柏木勲さん84歳。おだんごづくりを見せてもらいながら、お菓子と人が織りなすものがたりを聞かせてもらいました。

鹿児島に伝わる素朴なおやつ「かからん団子」

かからん団子は、鹿児島で「かからん葉」と呼ばれている葉っぱで包んだ草餅で、鹿児島に古くから伝わる郷土菓子です。

かからん葉で包んだ草餅「かからん団子」かからん葉で包んだ草餅
「かからん団子」

戦前は農村部の家庭でおやつとして手づくりされていたといいますから、どこか郷愁を感じさせるおだんごです。「かから(ん)」の葉は、サルトリイバラ(もしくは同属のサツマサンキライ)の葉っぱのことを言うそうですが、その茎には棘があるため「かからん」(鹿児島弁で触らない)という意味からこの名で呼ばれるようになったそうです。

かからん葉かからん葉

葉っぱには、殺菌、抗菌作用があることから痛みにくいと言われ、「病気にかからん(かからない)」という言葉にかけて、無病息災を願った縁起物としても重宝されてきました。家庭でつくって食べることはめっきり少なくなりましたが、さつまの味めぐり・ふるさとお菓子の歳時記には、「5月の節句に欠かせない『あくまき』の相棒の団子」と記されていて、この時期になると、私もヨモギ味の「かからん団子」を食べたくなります。

昭和感たっぷりのちいさな和菓子屋さん

私が柏木菓子店を知ったのは、6~7年ほど前のこと。知人から柏木のおじちゃんのつくった「かからん団子」をもらったのがきっかけでした。おしゃれなパッケージも包装もありません。

柏木菓子店のかからん団子柏木菓子店のかからん団子

小豆味とヨモギを練り込んだ2種類のかからん団子が5つずつ入っていて、とても素朴です。食べてみると甘さ控えめの味が優しく、一気にふたつ、みっつと食べてしまい、私もすぐにこのおだんごのファンになりました。お店の場所を聞くと、うちの近くにあることが分かり、行ってみたくなりました。3年前(2017年8月)の夏のことです。訪ねてみると、そのお店にまたびっくり。

柏木菓子店(鹿児島市東坂元2丁目)柏木菓子店
(鹿児島市東坂元2丁目)

鹿児島市の高台の住宅地にあって、目印といえば、看板がひとつだけ。失礼ながら、通り過ぎてしまいそうなちいさなお店でした。

手づくりのお菓子が並んでいました手づくりのお菓子が並んでいました

 

かからん団子もありました!かからん団子もありました!

ガラスのショーケースには、かからん団子やマドレーヌ、ようかんといったおじちゃん手づくりのお菓子が並んでいて、昭和感たっぷりのレトロな店の佇まいに、心惹かれてしまいました。

柏木菓子店を営むお菓子職人の柏木勲さん柏木菓子店を営むお菓子職人の柏木勲さん

「この店の隣で毎日、私、ひとりでつくっているんだよ。昭和45年の末に、長田町からここに引っ越してきて、もうかれこれ50年、ここで商売しいてるのよ。ここのお菓子でなきゃという人が結構いて、お客さんは絶えたことがないよ。中でも、かからん団子はうちの看板商品だよね。」

おはなしを聞いていると、なじみのお客さんがボツボツやってきます。

売り切れ御免のロングセラー

常連のお客さんが…常連のお客さんが…

「かからん団子は、まだあるけ~(まだあるね?)」
「あるよ。これが最後のひとつやった。」
「府が良かった(運がよかった)」

聞けば、おばあちゃんの家に遊びに来た高校生のお孫さんが「ばあちゃん、あの団子はないの?」と聞いてきて、お墓まいりの帰りに立ち寄ったんだそう。幸運にも最後の1パックをゲットして、お孫さんとおばあちゃんが仲良く帰っていきました。
幸運にも最後の1パックをゲットして、お孫さんとおばあちゃんが仲良く帰っていきました。
てっきりシニア層に人気のおだんごとばかり思っていましたが、こんな若い男の子も好きなんだ~と思うと、嬉しくなりました。

あれから3年8ヶ月。84歳になった柏木のおじちゃんは、今も元気!現役バリバリのお菓子職人です。

かからん団子づくり名人の柏木のおじちゃん(84)かからん団子づくり名人の柏木のおじちゃん(84)

「うちはね、こんなお客さんばっかりよ。一度も広告を出したことも宣伝したこともないんだけど、食べたお客さんが『美味しかった。美味しかった。』と宣伝してくれて、広めてくれるわけ。だから今も毎日、400個から500個はつくるよ。予約の注文が入った時は1000個近くつくるから忙しいよ。

日曜日には毎週かからん葉とヨモギを採りに行くから、私は一年中休みなしよ。添加物や保存料を一切使わないで、材料採りからつくり方、配達まで、私ひとりで全部やるんだから、こんな商売をやっているのは、私ぐらいのもんかもねぇ。」

このおだんごのファンは多いんだよ…このおだんごのファンは多いんだよ…

「かからん団子」を愛した山岡久乃さんからのおはなし

柏木のおじちゃんの「かからん団子」のファンにはびっくりするような方もいました。TBSの人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のお母さん役としても知られたあの名女優、山岡久乃さんもそのひとりです。お店には、山岡さんから送られてきた色紙が飾られていました。

女優・山岡久乃さんから届いた色紙女優・山岡久乃さんから届いた色紙

おじちゃんが、そのいきさつを話してくれました。

「話せば長いんだけどね、戦時中に鹿児島に疎開してきていた東京在住の人が同窓会で鹿児島に久しぶりに帰ってきた時、うちの『かからん団子』をみんなで食べたんだって。『わ~懐かしい』って話になって、東京に帰った時、知り合いの山岡さんにお土産として持っていったら、それをすごく気に入ったらしいのよ。舞台の合間に小腹がすいたときに、着物の袖にでも入れておいてパクっと食べられてるって。(笑)

舞台仲間への差し入れなんかにも使っていたみたいで、まとまって注文が入るようになってね。3ヶ月に1回くらい、1度に300個~400個ずつ、6~7年は続けて送っていたよ。それが病気で舞台に立てなくなる前まで続いたよ。

私は、山岡さんには会ったことも、しゃべったこともなかったから、知り合いに『ほんとに山岡さんが食べてるの?』って冗談みたいに聞いたら、ある日、山岡さん本人の自宅から自筆の色紙が届いてね。その時は、驚いたよ。ほんとにこのかからん団子を気に入って食べてくれていたんだなぁって思って嬉しかったよ。」

かからん団子はふるさとの味

こんな話もありました。

このおだんごに故郷を感じて…このおだんごに故郷を感じて…

「何十年かぶりに全国から集まって鹿児島で同窓会が開かれたんだって。その席に、うちのおだんごをお茶菓子に持って行った人がいたみたい。そしたら『懐かしかね~』『昔、おばさんたちがよくつくってくれおったよね~』って話が弾んで、小さい頃の記憶がパァってみんなの中に蘇ってきたんだって。

そうしたら、その中の1人、2人が、『どうしてん(どうしても)墓参りに帰らんといかんが。』って言いだして、墓参りをして来たって。その人たちがここに来てその話をするのよ。そして『ようやくこのお店が分かりました。お陰で墓参りまでできました。ありがとうございました。』ってお礼を言うのよ。もうびっくりしてね。

鹿児島を離れて都会で定年退職を迎えたような立派な男の人たちが『ありがとうございました。』って頭を下げるんだから、その時はもうこっちまで感激してね、涙が出たよ。」

手づくりの「かからん団子」の味が、それぞれの子どもの頃の思い出と重なり、遠く離れていたふるさとを一気に呼び戻してくれたのでしょう。柏木のおじちゃんの「かからん団子」は遠くアメリカへも渡っています。日系移民が多いカリフォルニアやロサンゼルスで暮らす友人に送りたいと買い求めるお客さんもいるそうで、日本やふるさと鹿児島への郷愁を感じるお菓子として、世代を超えて日系移民の2世や3世の人たちからも愛されているのです。
日本やふるさと鹿児島への郷愁を感じるお菓子として、世代を超えて日系移民の2世や3世の人たちからも愛されているのです。
「みんな飽きがこない、ホッとする味がするって言うよ。ふるさとに帰ったような気がするんだろうね。」

ピンチはチャンス!予約販売が大当たり!

「あの美味しいおだんごはどうやってつくるんですか?」尋ねると「毎日つくっているから見に来るね?」ということで、名物の「かからん団子」づくりをみせてもらうことになりました。おだんごづくりは、毎朝、5時、かまどに火を入れ、蒸気が上がるのを待つことから始まります。まだ夜明け前、柏木菓子店の明かりが灯ります。

午前5時過ぎ午前5時過ぎ

早起きは15歳でお菓子屋さんに弟子入りし、菓子職人を目指してから、ずっと変わらない日課です。
早起きは15歳でお菓子屋さんに弟子入りし、菓子職人を目指してから、ずっと変わらない日課です。
22歳で自分の店を構えてからは、この店を妻のチヤ子さんとの2人3脚で切り盛りしてきました。かからん葉やヨモギを採りに行くのも、お菓子づくりも、店番もいつも一緒でした。

そのチヤ子さんが脳出血で倒れたのは8年前。長い入院生活があり、3年前に亡くなりました。いつもふたり一緒だった仕事場は、今はひとり。寂しい時もあるでしょうが、休まずコツコツ続けてきました。
いつもふたり一緒だった仕事場は、今はひとり。寂しい時もあるでしょうが、休まずコツコツ続けてきました。
いつもふたり一緒だった仕事場は、今はひとり。寂しい時もあるでしょうが、休まずコツコツ続けてきました。
「待っているお客さんがいるからね。休めないのよ。お客さんは私の大恩人だから。大型スーパーがどんどん出来た頃があってね、お菓子を卸していた小売店が次々と店を畳んで無くなったのよ。その時は困ったよ。得意先の店が無くなったんだから。でもね、その時、ひらめいたのよ。ラーメン屋がバイクで配達して回っているのを見てね、私もこれをやったらどうだろうって。自分でつくったお菓子を、注文が入ったら自分で個人宅に届けるという商売を始めたのよ。そしたらそれが当たってね。」

お菓子の宅配小売業のはじまりでした。卸しをやめて小売りの予約販売に切り替えたところ、「美味しかった。」「またお願いします。」と、どんどん注文が入るようになって口コミで評判が広がっていったのです。

「私がお願いしたわけでもないのに、食べたお客さんが宣伝してくれるんだから、有難いよね。広告料もいらないの。(笑)お客さんが助けてくれたんだよね。だからお客さんに恩返しをするつもりでお菓子をつくっているの。」今では、福祉施設やデイサービスのおやつ、敬老会などお祝いの席でのお茶菓子などに定期的に使う常連さんも増え、注文が途絶えることがありません。

手抜きなし!
長年愛されるおだんごはこうしてつくられる!

柏木のおじちゃんは「かからん団子」を今も昔ながらの製法でつくり続けています。「まず、かからん葉を蒸していくんだよ。蒸気が上がって10分ぐらい蒸すと生の葉っぱが、いい色に変わっていくからね。」
蒸気が上がって10分ぐらい蒸すと生の葉っぱが、いい色に変わっていくからね。
最近では市販のかからん葉の塩漬けを使ってつくるお店も多くなっていますが、柏木のおじちゃんは、かからん葉もヨモギも自分で採りに行きます。車で片道1時間半もかかりますが、長年通い続けているこだわりの場所があります。毎週日曜日、朝7時に出発して、帰り着くのは夕方になるそうですから1日がかりの仕事です。

ほら、いいのが採れたよ!ほら、いいのが採れたよ!

ほら、いいのが採れたよ!
「やっぱりあそこのかからん葉とヨモギじゃないとダメだよね。1度、帰り道にきれいなヨモギを見つけて、それでつくったことがあったのよ。そしたらすぐお客さんが『おじちゃん、なんか団子の味が変わったんじゃないね。味が違うよ。』と言われて…お客さんが教えてくれるんだよね。それからは、遠いけどやっぱりいつものところに採りにいくようにしているよ。」

かからん葉を蒸している間に、餡づくりです。小豆とよもぎ味の2種類のおだんごをつくりますが、ヨモギは湯がいて下準備をしておきます。よもぎ味のおだんごには白餡を使います。

ヨモギには白餡ねヨモギには白餡ね

こし餡やヨモギ、砂糖、調合しただんごの粉など、それぞれの材料を混ぜ合わせてこねていくのですが、分量や粉の調合、水の加え加減によって出来が違ってきます。
こし餡やヨモギ、砂糖、調合しただんごの粉など、それぞれの材料を混ぜ合わせてこねていくのですが、分量や粉の調合、水の加え加減によって出来が違ってきます。

水を加えながら、固さを調整します水を加えながら、固さを調整します

長年の手と舌で覚えた熟練の技で、あのしっとりもっちりのおだんごができるのです。

ほら、いい色が出たでしょほら、いい色が出たでしょ

ほら、いい色が出たでしょ
「よもぎのきれいな色が出てるでしょ。春の香りが立っておいしいのが出来るよ。」練りあがるとおだんごを丸めていきます。手際よく、段取りが進みます。
「よもぎのきれいな色が出てるでしょ。春の香りが立っておいしいのが出来るよ。」練りあがるとおだんごを丸めていきます。手際よく、段取りが進みます。
おだんごは、計ってないのに、どれもきっかり50グラム。さすがです。かからん葉が蒸し上がりました。

蒸しあがったかからん葉蒸しあがったかからん葉

蒸しあがったかからん葉
艶やかな深緑色になります。ここからは、丸めたおだんごの形を整えながら、1つひとつ蒸し器に並べていきます。
艶やかな深緑色になります。ここからは、丸めたおだんごの形を整えながら、1つひとつ蒸し器に並べていきます。
艶やかな深緑色になります。ここからは、丸めたおだんごの形を整えながら、1つひとつ蒸し器に並べていきます。
夜が明け、あたりが明るくなってきました。
夜が明け、あたりが明るくなってきました。

「かからん団子」づくり名人の柏木のおじちゃん(84)「かからん団子」づくり名人の柏木のおじちゃん(84)
おだんごを蒸し上がるのを待ちますおだんごを蒸し上がるのを待ちます

「はい、これで第2段階が終了。こんな風に、おだんごをつくる工程を全部見せたのはあんたが初めてだよ。これまでにね、おだんごのつくり方を教えて下さいって言ってきた人が何人かいてね。レシピを教えてあげたことがあるのよ。完璧なものができたのは3人だけ。あんたは素人みたいだからできるかね。あとでつくり方を教えてあげるからやってみなさいよ。」

蒸気があがってからおよそ30分、おだんごが蒸しあがるのを待ちます。夜明け前から続く仕事は、結構な重労働です。
蒸気があがってからおよそ30分、おだんごが蒸しあがるのを待ちます。夜明け前から続く仕事は、結構な重労働です。
冬の寒い日や夏場の暑い日など、しんどい時もあるのではと思いました。尋ねてみると…
冬の寒い日や夏場の暑い日など、しんどい時もあるのではと思いました。尋ねてみると…
「前はふたりでしていたけど、今はひとりでしょ。加勢する人がいないから、結構忙しいし、大変だよ。でもね、休もうとは思わないよ。うちの(妻のチヤ子さん)が亡くなった時も、亡くなった日の1日だけ休ませてもらったけど、次の日にはお店を開けたよ。やっぱり好きなんだろうね。好きじゃなきゃこの仕事はできないよね。お客さんを大事にすること、これが私が商売で1番大事にしていること。お客さんが、私がつくるお菓子を『美味しい。美味しい。』と言って食べてくれるのが、1番の楽しみ。」

今度は、蒸しあがった「かからん葉」を1枚1枚拭いて、形を整えていきます。
今度は、蒸しあがった「かからん葉」を1枚1枚拭いて、形を整えていきます。
今度は、蒸しあがった「かからん葉」を1枚1枚拭いて、形を整えていきます。
丁寧な手仕事が続きます。おだんごが蒸しあがりました。
丁寧な手仕事が続きます。おだんごが蒸しあがりました。
できたてほやほやのおだんごは、ホッカホカでモチモチ、きめ細やかでつやつや光っていました。

蒸しあがったおだんご蒸しあがったおだんご

最後に、蒸しあがったおだんごをかからん葉で包んでいきます。

1枚1枚丁寧に…1枚1枚丁寧に…

1枚1枚丁寧に…
大きな葉っぱは1枚、ちいさな葉っぱは2枚で包みます。
大きな葉っぱは1枚、ちいさな葉っぱは2枚で包みます。
朝5時に起きて、3時間半。この日も8時半の開店前に500個の「かからん団子」ができ上りました。

つくり終えてホッと、この笑顔!つくり終えてホッと、この笑顔!

手間暇かかることを、手間暇かけて、休まずやり続けるってすごいなぁ。お菓子職人になって70年。この道ひとすじを貫く柏木のおじちゃんの気骨ある姿がとてもステキでした。日日、数多くの新商品が生まれ、進化し、消えていく目まぐるしい時代にあって、宣伝もしていないのに静かにヒットし続けている柏木のおじちゃんの「かからん団子」はまさにロングセラーのお手本。きっとこれを「ほんもの」っていうんだろうなぁ。それにしても、お客さんの口伝えのシェア力には、ただただ驚きました。

お店には、また常連さんが…
お店には、また常連さんが…
「この人はもう私の子ども、いや孫みたいなもんよ。」
「うちの子どもたちの祝い菓子はいつもおじちゃんに作ってもらってきたものね。うちの子たちが元気に育ったのはおじちゃんお菓子のおかげ。かからん団子もおいしいけど、うちはおじちゃんのつくる生菓子が好きなの。」
うちはおじちゃんのつくる生菓子が好きなの。
なじみのお客さんとのやりとりも心地よい時間です。
なじみのお客さんとのやりとりも心地よい時間です。
嬉しいことにショーケースに並んだお菓子のお値段は、この店ができたときから変わっていません。
嬉しいことにショーケースに並んだお菓子のお値段は、この店ができたときから変わっていません。
「かからん団子は1個60円。昭和45年にここに店を構えた時からだから、50年前から値段は変わっていないよ。お客さんから『おじちゃん、値段を上げたらね。』って言われるんだけど、これでやっていけるからね。お客さんにたくさん買ってもらって、食べてもらえばいいんだから。(笑)」

柏木のおじちゃんの手づくりお菓子は、かるかん100円、マドレーヌ60円、ようかん(6切れ入り)400円とどれもリーズナブル。『おいしいお菓子をみんなが手の届く値段で…』これが柏木菓子店のモットーです。84歳のひとり菓子職人、柏木勲さん。待っていてくれるお客さんがいる限り、まだまだ現役続行です!
待っていてくれるお客さんがいる限り、まだまだ現役続行です!

ふるさとの味を遠く離れた人に…

柏木のおじちゃんは今、あくまきづくりに大忙しです。この時期、遠く離れている子どもさんやお孫さん、鹿児島出身の知人にと、かからん団子とあくまきをセットで送るお客さんが多いんだそうです。

今年の春は、コロナ禍でゴールデンウイークも帰省できなかった方も多かったことでしょう。お菓子をつくる手にもいっそう力が入ります。

「来年の春は、あくまきづくりを取材させて下さいね。」と言うと、「生きていればね。」と茶目っ気たっぷりに答えて下さった柏木のおじちゃん、届ける人の顔は見えなくても、1つひとつ心を込めて手づくりしたお菓子に、心の中にあるふるさとを思い出す人が多いんだろうなぁと思ったら、じんわりしあわせな気持ちになりました。

お菓子づくり名人が教えるお家でできるおいしい「かからん団子」レシピ

取材をしていた時、柏木のおじちゃんが「あんたも家でかからん団子をつくりたいなら作り方を教えるよ。やってごらん。」と言って、家庭でもできる「かからん団子」のつくり方を教えて下さいました。分量は…

小豆餡

  • あすきの練り餡 1キログラム
  • さとう 150グラム
  • 団子の粉 500グラム

ヨモギ餡

  • 白餡 1キログラム
  • 湯がいたヨモギ 250グラム
  • 砂糖 250グラム
  • だんごの粉 500グラム

プロの菓子職人のおじちゃんに、つくり方のコツまで教えていただいたので今度、ぜひ挑戦してみたいと思っています。おじちゃんが山から採ってきてくれた「かからん葉」を見るたびに「ほら、つくってみらんね。」と声をかけられているような気がします。

柏木のおじちゃんにもらった「かからん葉」柏木のおじちゃんにもらった「かからん葉」

おだんごづくりは初心者ですが、お家でできる「かからん団子」づくりをそのうちご紹介できたらと思っています。
手づくりのかからん団子にまつわるステキなお話をいっぱい聞かせて下さってありがとうございました。

柏木菓子店の連絡先

住所:鹿児島市東坂元2丁目30-7
TEL:099-247-6861
定休日:日曜日(祝祭日は電話でご連絡下さい)
営業時間:8時半~夕方

この記事が気に入ったら
いいね ! してね

あわせて読みたい