夏休みが始まって早2週間。自由研究をもう始めている人、自由研究を何にするかまだ考え中の人、様々だと思います。
てのんでは、7月20日に小学生とその保護者を対象に自由研究のワークショップを開催しましたが、その続きで、夏休みの間、記事の中でも自由研究のヒントとなる情報をお伝えしていきます。1回目は、ものの浮きやすさの実験についてです。
7月20日の自由研究のワークショップでは、たまごの浮き沈みの実験を行いました。水の中に生たまごを静かに入れると、たまごはどうなるのか?そして、水に食塩を入れていくとたまごはどうなるのか?の実験です。

ワークショップでは、たまごの浮き沈みの実験しかしませんでしたが、その時に参加した子供たちから、「他のいろいろなものを入れて浮かべてみたい!」「もっと塩を入れていったらどうなるのか調べてみたい!」という声が上がりました。そこで、我が家で子供が小学生の頃に一緒にやった実験を少し紹介して、参考にしていただけたらと思います。
ものの浮きやすさの実験
水に入れて実験したものは、たまごの他に人参、スーパーボール、消しゴム、つみ木、金属製の洗濯バサミです。
※人参は、つみ木や消しゴムと同じような形に切っていますが、特に形にはこだわらなくて良いと思います。
そして、まず水の中に入れて、浮くのか浮かないのかを確かめた後、塩を入れていきました。
ワークショップの時には、時間の都合もあり、小さじ1杯ずつという方法で塩を入れていきましたが、我が家で実験した時は、水300mlに塩を1gずつ量って観察しました。
実験の結果
たまごの場合
たまごは、およそ30gの食塩を入れた時に浮きました。
人参の場合
人参は、水の時には底に沈んでいましたが、10gの食塩を入れた時、斜めに上がってきました。
そして、13gで縦に浮き、20gで縦に浮いていた人参が横に浮きました。
つみ木の場合
つみ木は、水の時から浮いていました。そして、食塩を入れていくと、10gでは水面より上になっている部分が水の時よりも多くなり、30gでは、水面より上がっている部分の方が、水面より下の部分よりも多くなりました。
スーパーボールの場合
スーパーボールも、水の時から浮いて、水面より少し頭が浮いている状態でした。そして、食塩を入れていくと、20gでは、水面より上になっている部分がさらに多くなり、30gでは、底にボールを沈めると、水の時よりも勢いよく浮くようになりました。
消しゴムの場合・・
食塩が水に溶けなくなるまで(およそ50gの塩)入れても、浮きませんでした。
金属製の洗濯バサミの場合・・
食塩が水に溶けなくなるまで(およそ50gの塩)入れても、浮きませんでした。
実験の結果を整理してみると・・
- 食塩水にしたら浮いた・・たまご、人参
- 水の時から浮いていて、食塩水にしたらさらに浮きやすい・・つみ木、スーパーボール
- 食塩水にしても浮かない・・消しゴム、金属製の選択バサミ
実験の結果からどんなことがわかるだろうか?
- 水に初めから浮くものと、浮かないものがあることがわかった。
- 食塩を入れることによって、浮きやすさに変化があることがわかった。
・初めから水に浮いているものでも、よりいっそう浮く度合いが大きくなった。
・食塩を加えると、水では沈んでいたものが浮かんでくるものがあった。
・浮かびやすさも、卵より人参の方が少ない食塩の量で浮いた。
・最後まで浮かないものがあった。
ところで、ワークショップでは、どうして食塩を入れたらたまごが浮いたのかをお話しました。
どうしてたまごは浮いたのでしょうか?
その事を考えるために、水と食塩水の重さをくらべてみます。
ワークショップでは、250mlの水にたまごを入れて実験したので、250mlの水と250mlのたまごが浮いたときの食塩水で重さをくらべました。
すると、水の重さが250gなのに対し、食塩水はおよそ270g。
水よりも食塩水が重い事がわかりました。
次に水と食塩水とたまごの重さの関係を説明すると・・
例えば、たまごと全く同じ体積の水と食塩水があったとします。
すると、たまごは水よりも重く、たまごが浮いたときの食塩水よりも軽くなるんです。あくまでもイメージですが、たまご、水、たまごが浮いたときの食塩水を天秤にのせてみるとこんな感じになります。
たまごと水を比べたらたまごが重いので沈む。たまごが浮いたときの食塩水とたまごを比べたら、たまごが軽いので浮く。という事になります。
難しく言うと、中学や高校で習う比重や浮力という事が関係していますが、小学生の時は、そういう難しい事がわからなくて当たり前ですし、まずは、親子で一緒になって「食塩を入れたら浮いたね!」「面白いね!」と実験や観察を楽しむことが大事だと思います。
これと同じようにして考えると、たとえば水の時でも浮いていたつみ木は、同じ体積で比べてみたら、こんな感じになります。
食塩を入れても浮かなかった消しゴムを、同じ体積で比べてみたら、こんな感じになります。
浮きやすいもの、浮きにくいもの、浮かないもの、物によっていろいろ違がある事が確かめられますよね。
さて、ワークショップでは、面白い実験もしました。
食塩水の方が水よりも重たいという事を説明しましたが、食塩水の中に水を注ぐとどうなるでしょうか?
水だとわかりやすいように、水にはインクで色を付けています。
食塩水の中に、ふちから静かに少量ずつ水を入れていきます。
すると、こうなります。

色を付けていない食塩とインクで色を付けた水の2層になります。
分かりやすく言えば、重たい食塩水の上に食塩水より軽い水が浮かんでいるという事になります。
では、このコップの中にたまごを入れてみるとどうなるでしょうか?

たまごが真ん中に浮かびます。
食塩水の時はたまごは浮く、水だとたまごは沈む。だからちょうど真ん中の所で浮いているんですね。この実験でも、食塩水とたまごと水の関係確かめられると思います。
このような実験を出発点にして、小学生の皆さんの自由な発想で実験をさらに発展していったら、とても素晴らしい自由研究になると思います。
追記
子供が小学生の時にやった実験を振り返ってみたら、水300mlにおよそ30g入れたらたまごが浮いていました。
ワークショップでやった時には、250mlの水におよそ35gの食塩を入れた時にたまごが浮いています。
我が家でやった時の方が、少ない食塩の量でたまごが浮いていますよね。
少し調べたら、たまごは古くなればなるほど水に浮きやすくなるそうです。
なぜなら、たまごは古くなるほど二酸化炭素や水分が抜け、かわりに気室と呼ばれる部分(たまごのとがってない方)に空気がたまっていき、気室は古くなればなるほど広がるそうです。
空気が増える分、浮きやすくなるという事です。我が家でやった時は、少し古いたまごで実験したのかもしれません。
このように、たまごも採卵したてのものか、採卵してから期間が経っているのかによっても浮きやすさに違いが出ます。
また、人参も、今回記事を書くにあたって、もう一度実験しようと思って、水に入れてみました。すると、水の時から浮いてしまい「えっ?」と思いました。
今回実験に使った人参は、冷蔵庫にしばらく入れっぱなしのものでした。
冷蔵庫に入れた食材は乾燥しやすくなるそうで、長く入れていた人参だったので水分が抜けて軽くなり、水でも浮いたのかな?と思います。
このように、同じように実験しても、必ず同じような実験結果が出るわけではありません。
ですから、皆さんが実際行い、自分の目で確かめた実験結果が一番正しいものだと思いますので、その結果を曲げずに正しく書くことが大切ではないかと思います。
今回のたまごの件で、新たな実験のイメージもわきました。
例えば、採卵したてのたまご、採卵してから1週間後、2週間後、それよりも経ったもの、という様に卵の鮮度を変えて同じように食塩を入れていったら、どのくらい浮きやすさに違いが出るのか調べてみるのも面白いかもしれません。
もし、「私はこんな実験をしてみました!」「僕はこんな実験をしてみようと思います」とお知らせいただける方がいたら、以下の投稿フォームよりお伝えしていただけたら嬉しいです。そして、その情報をまた、てのんの中でも紹介出来たらなと思います。
