もうすぐ夏休みがやってきます。夏休みの悩ましい宿題のひとつに「自由研究」がありますが、そのヒントになればと我が家で取り組んだ理科実験や観察の記録を毎年夏休み前に紹介しています。
今回は、親子で自由研究をする楽しさを感じるきっかけとなった「かぶと虫の観察」についてお伝えします。
感動した「かぶと虫のかんさつ」
それまであまり熱心に自由研究に取り組んでこなかった私達親子が、「自由研究って面白い!」という気持ちに変わった経験がありました。それは、かぶと虫の卵を成虫になるまで1年間観察したことです。

飼っていたかぶと虫がたくさん卵を産んで、「この卵が本当にかぶと虫になるのかな?育ててみたい!」と子供が言ったので、「じゃあ育ててみるか」と飼育ケースに入れて育てることにしたのです。
子供が小学生だった頃ですので、10年以上前に取り組んだものですが、以下、親子でまとめた記録をお伝えします。
観察の流れ

かぶと虫が成虫になる1年前の卵と生まれてから2週間ほど経った2れい幼虫の写真です。1年前の8月は、卵と幼虫合わせて101匹もいました。この101匹のうち成虫になるのはほとんどいないんじゃないかと、この時は思っていました。
しかし、乗りかかった船、とにかく大事に育ててみようと、住んでいるマンションのベランダ北側にある倉庫に飼育ケースを入れて飼育しました。

幼虫は土をえさにして食べ、ふんをかなりの量出すので、3か月に1度土替えを行いました。その時に、どのくらい幼虫が育っているのかを確認しました。
すると卵が産まれてから2か月後の10月には幼虫の数は91匹。5か月後の1月も91匹と、101匹から10匹の幼虫は死んでしまいましたが、残りは元気に育っていました。
かぶと虫の幼虫は意外と強いことがわかりました。
そして卵から約9か月後の5月ごろから、幼虫が楕円形の部屋を作り始めました。
いよいよ幼虫からさなぎに変身し、そして成虫へと変化する時期を迎えました。
なんと77匹のかぶと虫の成虫が出てきた!!
そして10か月後の6月下旬、とうとうかぶと虫が土から出てきました。
6月19日は1日で13匹、6月26日は12匹も生まれました。
6月19日~7月6日までほぼ毎日生まれました。
その合計の数は、なんとオス40匹、メス37匹の合わせて77匹でした。

わかったこと
- 羽化した時期は、6月下旬から7月上旬のほぼ2週間に集中していました。どのかぶと虫も計算されたように同じ時期に羽化したのでびっくりしました。
- かぶと虫は1年前の8月上旬に卵からふ化し、それから育ってきました。どのかぶと虫も10か月から11か月近く土の中で生活し、成虫になっていることがわかりました。
- オス・メスの羽化の割合が、オス40匹、メス37匹とほぼ同じ数だったことにも驚きました。
はじめに101匹いた幼虫は、5か月後に91匹になり、最終的に77匹が羽化しました。
羽化したのが77匹、羽化しなかったのが14匹で、羽化した割合はおよそ80%です。
思っていたよりはるかに成虫になるまで元気に育ってくれました。こんなにたくさん我が家でかぶと虫が成虫になるなんて信じられない思いでした。
飼育した温度や湿度などの環境が良かったのかなあと嬉しい気持ちでした。
羽化しなかった幼虫はどうなった?14匹の行方・・
成虫が出てきた後の飼育ケースをひっくり返して土の中の様子を調べてみました。
すると、かぶと虫が作ったよう室(蛹室)の中に、ほぼ成虫の形をした羽化直前の死んでいるかぶと虫を見つけました。
角はまだやわらかい殻におおわれています。脱皮の途中に力尽きて死んでしまったんだと思いました。
他にも、メスのさなぎや、オスのさなぎの死がいも見つけました。
以上のように飼育ケースの中から、さなぎの死がいが14匹きっちり出てきました。という事は、成虫になる直前まで元気に育ってきたのに、あと少しのところで死んでしまったんだなあと思いました。

図鑑を見ると、よう室作りから成虫になるまではとても大事な期間で、振動などのショックを与えないように注意するようにと書いてありました。気を付けていたつもりでしたが、飼育ケースを動かしたりしたこともあったので、さなぎにストレスを与えてしまったのかもしれません。
さらに土の中の様子を詳しく見てみたら・・
かぶと虫が作ったよう室のあとが出てきました。よう室の中はきれいに固められていました。脱皮は慎重にしないといけないので、まだやわらかい角や羽がなにかにひっかかってうまく脱皮できないのを防ぐため、幼虫はかべに口から出した液体を塗り付けて、つるつるにするそうです。
また、他の幼虫の邪魔にならないように、きちんと間隔を空けてよう室が作られているのにも驚きました。

よう室からは共通するものが見つかった!
飼育ケースをひっくり返すと、どのよう室の底にも皮のようなものがありました。

そして、よう室を慎重に土から取り出すと、底に脱皮の時に脱ぎ捨てた皮と思われるものがありました。

写真はよう室の底にあった脱皮した脱け殻です。かぶと虫は脱皮した時、脱ぎ捨てた殻を足元にきちんとまとめていることがわかりました。
かぶと虫を身体測定してみる
この他にも、オスとメスのかぶと虫を何匹か選んで、身長と重さを測ってみました。

すると、オスの体長は4~5.3㎝。メスの体長は4~4.6㎝でした。
図鑑を見るとかぶと虫の成虫は3.2㎝~5.3㎝と書いてあり、我が家で育ったかぶと虫はどれも意外と大きいことがわかり嬉しかったです。
77匹のかぶと虫は、家ではとても全部は飼えないので、近所の保育園や学校で飼ってもらったり、たくさんの友達にあげたりしました。みんなとても喜んでくれました。
かぶと虫を育ててみて・・まとめ
1年前101匹の幼虫が生まれたので、いろいろくわしく観察記録を書くことが出来ました。
まず、101匹の幼虫のうち77匹も成虫になったことは本当に驚きでした。自然のなかではなく、街の中のマンションで77匹も生まれたんだなあと不思議な気持ちでした。
観察を通して、感動したことが3つあります。
1つ目は、暗い倉庫の中に入れっぱなしだったのに、ちゃんと幼虫たちは秋から冬、そして春と季節の移り変わりを感じ、夏の初めにはちゃんと成虫になって土から出てきたことです。しかも、6月下旬から7月の初めの2週間という短い期間に集中して羽化しました。自然の中のかぶと虫と同じ時期にちゃんと羽化するなんて本当に驚きました。
2つ目はよう室作りです。せまい飼育ケースの中で、まるでお互いを気遣うようにちゃんと間隔を空けてよう室を作っていました。
3つ目は脱皮です。どのかぶと虫も同じように体の足元に殻を脱ぎ捨てて置いて固めていました。小さな体だけど、いろいろな知恵を持ってかぶと虫は生きているんだなあと思いました。
かぶと虫は5年間も飼い続けているとても親しみのある存在です。だけど、かぶと虫の事を知れば知るほど新しい疑問も出てきます。
これからもかぶと虫の観察を続けていきたいと思います。
以上が、子供が小学5年の時に親子でまとめたかぶと虫の観察の記録です。
自由研究をする楽しさを知った
子供のためにと始めた観察でしたが、一緒にかかわることで親の方も感動や発見がありました。1年間通して観察したことは、生命の不思議を親子共に感じることが出来た貴重な体験となりました。この経験がきっかけとなり、親子で「ほかにもいろいろ観察してみたい、実験してみたい」と、自由研究に取り組む楽しさが芽生えたように思います。
それから、3人の子供たちの自由研究をいろいろしてきました。その一部については、これまでもいくつか記事にしてきました。
自由研究は、悩ましい夏休みの宿題ですが、我が家での取り組みを少しでも参考にしていただけたらと思います。






