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てのん講座

小学生の自由研究のヒント~身長の不思議・体の不思議~


執筆者:

夏休みの悩ましい宿題の一つ「自由研究」。そのヒントになればと我が家で取り組んだ理科実験や観察の記録を紹介しています。今回は、1日のうち朝起きた時と寝る前では1~3センチも違う身長の不思議について、家族の身長を測ってわかったことをお伝えします。

身長の不思議・体の不思議

これは、息子が小学5年、娘が小学3年の時の自由研究で、一緒に取り組み、息子がまとめたものです。

  1. 観察の動機
    朝起きた時、背が伸びたような気がすることが度々ありました。そこで、それは気のせいなのか本当に伸びているのか調べてみたくなりました。そこで、ためしに寝る前と朝起きた時身長を測ってみたら、寝る前よりも朝の方が2.5㎝位身長が高くなっていました。1日でこんなに身長の差が出るなんて本当に驚きました。そこで、毎日身長は伸びたり縮んだりしているのか、他の人も伸びたり縮んだりしているのか調べてみたくなりました。
  2. 観察の目的
    ① 身長が1日でどの位変化するのかを調べ、人の体のことについて深く知りたい。
    ② 他の人の身長も測り、人によって差が出るのかどうか知りたい。
    ③ どんな事をしたら身長は変化するのか、また、体のどの部分が伸び縮みするのか知りたい。
  3. 調べる内容
    ① 朝、起きた時と寝る前の身長を測り、その差を調べる。(朝は、起きたらすぐ身長を測る)
    ② 家族(父、母、兄、妹)の分も毎日測る。
  4. 身長を測りにあたり、注意したこと
    ① 身長を測る時は、なるべく正確に測れるように身長計を買ってもらった。
    (かべに固定して上から頭のところまで下げると身長が測れる)
    かべに固定して上から頭のところまで下げると身長が測れる② 同じ人が測る・・人によっても測り方に差が出ると思うので、同じ人が統一して測るようにした。

    測る人お母さん測る人お母さん

    ③ 足の置く場所にも気を付ける。・・体が斜めになったりしないよう、一番体がまっすぐになるように心がける。
    足の置く場所にも気を付ける。※8日間続けて計測。そして、家族5人それぞれの朝起きた時の身長と夜寝る前の身長、そして、朝と夜では身長にどのくらい差が出たのか表にまとめた。

  5. 調べた結果
    (お父さんの身長の結果)・・当時50代前半
    お父さんの身長の結果※身長の差=朝起きた時の身長-夜寝る前の身長
    (お母さんとお兄ちゃんの身長の結果)・・母 当時40代後半 兄 当時13歳
    お母さんとお兄ちゃんの身長の結果(ぼくと妹の身長の結果)・・ぼく 当時11歳 妹 当時8歳
    ぼくと妹の身長の結果次に、計測した結果を折れ線グラフにして、身長の変化がわかりやすいようにした
    (ぼくの身長のグラフ)
    ぼくの身長のグラフ(妹の身長のグラフ)
    妹の身長のグラフ※父、母、兄の身長も同じようにグラフにまとめた。
  6. 調べた結果からわかること
    ① 家族全員、朝の身長の方が寝る前の身長より高いことがわかった。
    (夜寝る前の身長が、朝よりも高くなることは一度もなかった。)② 朝の身長・・ある程度一定している(日によって大きな差はない)
    寝る前の身長・・ある程度一定している(日によって大きな差はない)
    朝と寝る前の身長差も一定している。③ 5人の中では、お父さんの身長差が一番少なく、妹の身長差が一番大きかった。

    (朝と夜との身長の差ランキング)
    1位 妹  3㎝・・妹は朝と寝る前の身長差が3㎝もあって、びっくりした。
    2位 兄  2.4㎝  子供の方が身長差が大きい
    3位 ぼく 2.3㎝
    4位 母  1.7㎝
    5位 父  1.5㎝

    朝と寝る前では身長に差が出ることがわかった。
    では、体のどの部分が伸びたり縮んだりして身長に差がでるのか疑問に思った。
    そこで、家族全員の身長と一緒に座高も測ってみることにした。

    座高を測ってみて、身長と一緒に座高も縮んだら腰から上が縮んだことになる。
    逆に身長が縮んでも座高が縮まなかったら腰より下が縮んだことになる。

    (座高を測る方法)
    ① 丸椅子の座った状態の身長を測る
    丸椅子の座った状態の身長を測る② 丸椅子の高さを引く
    丸椅子に座った時の身長-丸椅子の高さ=座高

  7. 身長と一緒に座高も測った結果・・父・母・兄の分は省略
    (ぼくと妹の身長と座高の変化)
    ぼくと妹の身長と座高の変化表ではわかりにくいので、朝と夜の身長の差と座高の差を棒グラフにして比較してみた。
    緑色の棒が身長の差で、ピンク色の棒が座高の差。(ぼくの場合)
    ぼくの場合

    (妹の場合)
    妹の場合

    (座高を測ってみてわかったこと)
    ① 身長が縮むにしたがって座高も縮むことがわかった。

    ② 5人の家族の結果を総合すると身長の縮み方に座高の縮み方は近いので、身長が縮むときは主に腰から上の部分が縮むことがわかった。しかし、常に身長の差の方が座高の差よりも大きいので、腰から下の部分も少しは縮むことがわかった。

新たな疑問1
なぜ、身長が朝より夜の方が縮むのか?

そこで、全身骨格や背骨の仕組みを調べてみた。
すると、背骨はたくさんの骨がつながってできていて、となりの骨と骨をつなぐクッションとして椎間板があることがわかった。
全身骨格や背骨の仕組みを調べてみた。
背骨はたくさんの骨がつながってできていて、となりの骨と骨をつなぐクッションとして椎間板があることがわかった。

椎間板は、ゼラチン状の物質などからできていて骨よりも柔らかく、このため力がかかると椎間板の厚さが減少する。つまり、日中立って活動していると、体の重さや重力がかかり椎間板の厚さが減少するので身長も縮む。しかし、きちんと横になって睡眠をしっかりとると椎間板の状態はもとにもどる。このような体の仕組みで、1日のうちで朝は身長が高く夜は身長が縮むということがわかった。

また、椎間板は20代から老化が始まって弾力がなくなってくるそうだ。
朝と夜の身長の差が父母の方がないのは、椎間板のクッションが少なくなっているからだと考えられる。

新たな疑問2
1日でどのように身長が縮んでいくのか?

母・ぼく・妹の朝起きてから寝るまで1時間おきに身長を測ってみる。
母・ぼく・妹の朝起きてから寝るまで1時間おきに身長を測ってみる。

折れ線グラフにすると・・母は省略
(ぼくと妹の1日の身長の変化)
ぼくと妹の1日の身長の変化

(1日の身長の変化を調べてみてわかったこと)
① 母・ぼく・妹3人とも起床して1時間で一気に身長が縮んでいる。起床して2~3時間の身長の縮み方が激しい。

② 身長の縮みは午前中でほぼ止まり、午後からの身長の変化はあまりない。このことから、身長はゆっくりと徐々に縮むのではなく、一気に縮むことがわかった。

このほかにも、いろいろ試してみた。

身長を1日のうちで伸ばす方法があるのか?

実験1 昼寝をする

実験1 昼寝をする

結果・・詳細なデータは省略するが、30分~40分横になっているだけで、0.6㎝~1.2㎝身長が伸びた

実験2 体を引っ張ってみる

実験2 体を引っ張ってみる

結果・・2~3分体を引っ張ると、1cm前後身長が伸びた。

短時間に身長が縮む方法があるか?

実験3 ジャンプしてみる
実験3 ジャンプしてみる

結果・・朝起きてすぐジャンプを2~3分くらいしたら、身長が短時間で縮んだ

(身長を測ってみて感じたこと・わかったこと)
「朝起きた時、なんか背が伸びたような気がする」こんな疑問から始まって『人間の身長』に注目して計測を続けたが、身長の事だけでも実に多くの事がわかって本当に面白かったです。これをきっかけにもっと人間の体のなぞについていろいろ知りたいなと思った。

途中、省略した部分もありますが、以上が身長の伸び縮について親子で取り組んだ自由研究です。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページの中で以下のような事が書かれていました。
~身長は、普通直立した姿勢で測定する。地上でこの姿勢をとっている時は、常に頭から足の方向に重力が働き、私たちの体は圧縮されている。しかし、無重力ではその『圧縮された分』が解放されて身長が伸びる。宇宙飛行士の中には7センチ以上背が高くなった例もある。向井千秋宇宙飛行士や毛利衛宇宙飛行士も5センチほど背が高くなったらしい~

普段重力なんて意識したことはありませんが、自分たちの身長の1日の変化を測定するだけでも、人間は地球の重力などの影響を受けながらも、その環境に順応しながら生活していることがわかりました。
改めて人間の体ってすごいなあと親子で感じた自由研究でした。

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