「タケノコ食べる?」毎年この時期になると、ご近所さんから声がかかります。今年も、大きな大きなタケノコをいただきました。ありがたい旬の到来物。さあ、すぐにゆでなくちゃ!まるで急なお客さんがやってきたみたいにあたふたして、あく抜きの米ぬかを買いに走ります。タケノコをめぐる、いつもと変わらない春の一日。忙しないけれど穏やかな日常が、ことのほか胸にしみる今日この頃です。ゆでて、冷まして、料理して、時間も手間もかかるタケノコはちょっと煩わしいけれど、やっぱりおいしい!この春、もうタケノコは召し上がりました?
タケノコをのんびりゆでる
ご近所さんにいただいたのは、直径が17センチ、長さが40センチくらいの恰幅のいいタケノコで、抱きかかえるとずっしり。
タケノコをおいしく仕上げるには、一刻も早く、皮ごとまるごとゆでるのがいいというのは、ご存知の通りです。でも、こんなに堂々としたタケノコが収まるお鍋は、我が家にはありません。仕方なく皮をむいて、手持ちの鍋の中でいちばん大きな寸胴鍋でゆでることにしました。
タケノコは、米ぬかと赤唐辛子といっしょに水からゆでます。米ぬかは、この時期直売所や物産館などで売られていますので助かります。
今回は、タケノコの皮をむいてしまいましたので、3、4枚の皮も入れてゆでることにしました。タケノコをゆでる時間は1時間~1時間半くらい。お天気が良かったので、外のエコストーブでゆでることにしました。これは、以前取材でお世話になった黒葛裕紀さんが、ご厚意で譲ってくださったエコストーブです。

散歩の途中で拾って集めておいた小枝をくべながら、のんびり日向ぼっこ。火の番をしつつ、ただ待っているだけの時間が、なんだかとても贅沢です。
ゆであがったら火からおろして、あとは完全に冷めるまで、そのままにしておきます。
いつものタケノコ料理で幸せ
しっかり冷めたら、タケノコをゆで汁から取り出して、よく水洗いします。いい感じにゆであがりました。少し切ってかじってみると、みりりっとほんのりえぐみが感じられますが、嫌な感じではなく、タケノコらしい味わいです。

穂先と真ん中あたりは若竹煮と土佐煮に、固い根元は細かく切ってあいびきミンチと炒め、豆板醤や味噌、醤油で味付けして、ちょっぴり中華風に。家庭菜園で採れたサニーレタスに包んでいただきました。
ご近所さんのおすそわけで毎年同じ料理を作って、春だねえ、おいしいねえ、と語り合っているような気がします。
そんなささやかな幸せが、誰の暮らしにもあったはずなのに。このところのウクライナのニュースを思うと、胸の奥が痛みます。タケノコは、「いただきます」にたどりつくまでに長い長い時間がかかるので、ついついいろいろなことを考えてしまいました。旬の味がいつもにも増して心にしみる、今年の春。一日も早く戦争が終わりますように。