今年は桜も藤もツツジも、あれよあれよという間に咲き終わり、初夏の清々しさもそこそこに、あっという間に梅雨入りしてしまいました。季節が小走りに駆けていき、なんだか心もからだもおいてけぼりにされた感じです。
そんな人間をよそに、我が家の家庭菜園の野菜はいたって元気。ソラマメは上々の出来で、こぼれ種から大きくなったセロリは花ざかり。育苗用のポットに種まきしてあったキュウリとミニトマトも大きくなりました。春野菜から夏野菜へ、小さな畑は場所のやりくりが大変ですが、雨の止み間をぬってなんとかリニューアルを済ませました。春から初夏の家庭菜園だより、お届けします。
ソラマメ大豊作!
3月、冬の寒さに負けず青々と茂ったソラマメは、たくさんのつぼみをつけました。全部花が咲いて実になったら、ご近所さんに配っても食べきれないかも…なんて、とらぬ狸のなんとやら。
やがて花が咲き始めると、思いがけずとってもきれいで、豆を食べることばかり考えていた我が身を反省…。ソラマメさん、おみそれいたしました! フリージアに似た甘くて優しい香りも心地よくて、庭に出るたびに楽しませてもらいました。
3月下旬になると、しぼんだ花が黒くなって、腐ってしまったのかしらと心配になりましたが、しばらくすると、ぷっくり小さなソラマメのさやが見えてきました。
ここからひと月ほどかけてゆっくり大きくなっていったのですが、驚いたのはさやが上向きなこと。あっちのさやもこっちさやも、目指すは空!とばかりに成長していく姿は、まさに「空豆」です。
畑に元気があふれかえっているようで、見るたびなんだか気分が明るくなりました。
実が充分に大きくなると、稲穂がこうべをたれるように、さやは次第に下を向き始めました。その膨らみ加減で、こっちは2粒かな、あちらは3粒かしらとさやの中の豆の数を想像しながら、収穫のタイミングを待ちました。
成長のスピードはそれぞれ違うので、収穫のタイミングもまちまちです。ソラマメを育てるのは初めてで、採りどきを見極めるのは難しかったのですが、4月の下旬に、これはというさやを採って食べてみました。
口の中でぷちんと水分がはじけて青い風味が広がる感じがとてもさわやか。甘みもあって、これはこれで美味しかったのですが、豆として味わうにはちょっと早かったようです。でも、いろんな時期のソラマメの味を楽しめるのが家庭菜園のいいところ。
日ごとに豆の粒が大きくなって、味も次第に豆らしくなって、やがてちょっと粉っぽく硬くなって…。どの時期にもそれぞれの良さがあり、ソラマメの味は一つじゃないんだなと、ますますソラマメが好きになりました。
たくましい!セロリの置きみやげ
畑の草取りをしていた夫が、小さな小さなセロリを見つけたのは、去年の冬のはじめ頃のことでした。種をまいた覚えはありません。どうやら昨年の春に花を咲かせたセロリが種になり、土にこぼれおちていたものが芽を出したようです。
よく見ると、畑のあちこちからセロリが顔を出していて、中には畑の縁石を飛び越えて芝生の間から芽を出した猛者もいました。せっかくだからと、夫がいくつかのセロリを畑の一角に移植、あとはそのままの場所で育てて、小さいうちはスープの浮き身に、少し大きくなってきたら炒め物にしたりしていただきました。
今は、大きく成長したひと株が花ざかり。花も食べられると知って、魚介料理やサラダのトッピングにしてみたら、香りが鮮烈で、よいアクセントになりました。
土の中でじっと時を待ち、たくましく成長したセロリ。今花を咲かせているセロリもまた、種をのこしていくのでしょうか。忘れた頃にひょっこり芽を出して、驚かせてくれるとうれしいです。
ミニトマトとキュウリの出番です!
夏野菜にもいろいろありますが、ここ数年我が家では、キュウリとミニトマトを植えています。今年も3月の下旬に、夫が育苗用のポットにミニトマトとキュウリの種をまきました。
順調に芽を出して双葉になり、成長を楽しみにしていたのですが、ある朝、キュウリが何者かに食べられてしまいました。まわりにきらきらした痕跡があったので、犯人はナメクジだと思われます。夜陰にまぎれて活動するナメクジは、野菜作りの手強い大敵。あれこれ対策をしても、毎度被害が出てしまいます。
仕方なくもう一度種をまきなおし、今度は無事に大きくなりました。キュウリにはつるが出てきて、ミニトマトにはつぼみがつきはじめ、そろそろ畑に植えどきかなと思っていたら、早すぎる梅雨入り。あわてて畑に植え付けました。
梅雨に入ってからは大雨が続いて、陽のさす時間も少ないので、このまま順調に育ってくれるか心配です。5月の末から6月のはじめ頃には収穫できるかなと楽しみにしていたジャガイモも、なかなか晴れ間がないので採れずにいます。
長雨の影響を受けていないか気になるところです。小さな家庭菜園でさえあれこれ気をもむのですから、農家の方々はなおさらだと思います。程よい雨を降らせて、早めに梅雨が明けしてくれたら…、そう願うばかりです。