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「食・レシピ」

甘くてもっちりした鹿児島のお菓子「いこもち」を作ってみました


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高齢の父が運転免許を返納してから、両親と一緒に出かけることが増えました。買い物や通院など暮らしを支える外出ばかりですが、時々お菓子屋さんに立ち寄るのがちょっとした楽しみになっています。おいしそうなお菓子を選んで、家に帰ってみんなでおやつ。ほっとなごむひとときです。

いこもちは父の好物で、昔懐かしい素朴な味わいのものが好みのようですが、今は上品な仕上がりのものが多くて少し残念そうです。そういえば、いこもち粉をスーパーで見かけます。父の思う味になるかどうかはわかりませんが、試しに作ってみることにしました。

意外に簡単いこもち作り

いこもちは鹿児島の郷土菓子のひとつです。もち米とうるち米を煎って粉にしたものから作られます。「煎った米の粉の餅」から「いこもち」の名がついたとか。お餅ともおだんごとも違うむっちりとした食感で、やさしい甘さのお菓子です。いろいろ調べていたら、宮崎県の都城市には、いこもちとよく似た「いりこ餅」というお菓子があるようです。鹿児島ではスーパーでいこもち粉が販売されているので、手軽に手作りすることができます。(いこもち粉はネットで購入することもできるようです)

いこもち粉いこもち粉

いこもち粉のパッケージの裏に記されている作り方によると、材料は砂糖と熱湯だけ。とてもシンプルです。まず、いこもち粉一袋分250gに同量の砂糖250gを加えてよく混ぜます。砂糖はきび砂糖にしました。今回は2色のいこもちを作ってみようと思い、いこもち粉に砂糖を混ぜ込んだところで半分に分け、片方に鹿児島産の粉茶大さじ1強を混ぜました。

2色のいこもちを作ってみることにしました2色のいこもちを作ってみることにしました

まず、いこもち粉と砂糖だけを混ぜたボウルに熱湯150mlを加え、へらでよく混ぜます。

初めは粉っぽいですが、だんだんまとまってきます初めは粉っぽいですが、だんだんまとまってきます

全体にまとまってきたら、手でよく揉んでこねます。熱いので気をつけてください。手にくっつくので時々少しだけ手水をするといいです。耳たぶくらいのかたさになってきて、表面につやが出てきたら完成です。

できあがり。粉茶を入れた方も同じようにこねましたできあがり。粉茶を入れた方も同じようにこねました

できたいこもちの表面に薄く片栗粉をまぶし、ラップを敷いた型に入れて形を整えます。

いこもちらしくなりました!いこもちらしくなりました!

30分ほどで出来上がりました。こねるのに少し力がいりますが、蒸したり焼いたりする手間がないのでとても簡単です。見た目はうまくできたと思いますが、味はどうでしょう。父に食べてもらうことにしました。

懐かしい味に憩うひととき

いこもちを手土産に実家へ。早速みんなでお茶の時間です。見栄えよく厚めに切りたいところですが、うっかりのどに詰まらせるといけませんので薄切りにしました。「こいじゃ、こいじゃ。(これだ、これだ)」とうれしそうな父。娘が手作りしたとあっては、ほめないわけにはいかないのでしょうが、おいしそうに食べてくれました。

「こいじゃ、こいじゃ。(これだ、これだ)」とうれしそうな父。「こいじゃ、こいじゃ。(これだ、これだ)」とうれしそうな父。

懐かしい味に遠い昔を思い出したのか、父が若い頃に自分でいこもちを作ったことがあると言うのでびっくり。母も初耳だったらしく、これまたびっくり。いこもちをお茶うけにおしゃべりもはずみ、楽しいひとときとなりました。こんな風に一緒に過ごす時間は、あとどれくらいあるんだろう。このところ両親の老いを感じる場面が多くなったせいか、ふとそう思って切なくなりました。穏やかな二人の暮らしが1日でも長く続いてくれたらと思います。

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