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「食・レシピ」

春の味覚!竹の子レシピ「竹の子のフライ」&「干し竹の子」


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春の訪れを感じる代表的な食材と言えば「竹の子」。「筍」とも書きますよね。
筍の漢字の由来は、10日間を意味する「旬」の字からきていると言われています。つまり地上に芽が出てからあっという間(10日間)で竹になってしまうということ。
春の短い期間にしか味わえない、新鮮な生のタケノコはまさに旬の味ですよね。

毎年この時期、友人から、御自宅の竹林で獲れた竹の子をたくさんいただきます。

しかも、友人宅にある大きな鍋で大量の竹の子をまとめてゆでるそうで、私がいただくのは「ゆでたけのこ」。

米ぬかなどをつかって自宅でゆでる手間がないので本当にありがたいと思っています。

ゆでたけのこ

この時期、竹の子の煮物はもちろん、竹の子ごはん、若竹汁、酢味噌和え、青椒肉絲・・と竹の子を使った料理をがんばって作ります。

竹の子独特のシャキッとした歯ごたえとほのかに感じる甘さ、美味しい春の味です。

竹の子の煮物

特に竹の子の煮物はたくさん作ります。
1日目~2日目は、そのまま煮物で食べますが、実はその後作る煮物のリメイク料理が我が家では大好評なのです。

我が家の一押し!!「竹の子のフライ」

それは

「竹の子のフライ」

です。

母が、私が小さい頃から作ってくれていました。
この「竹の子のフライ」が実家の食卓に出るようになったエピソードは・・

今から40年程前のこと。婦人会の集まりで、母がある方のお宅にお邪魔したら、テーブルに大皿に盛られた大量のトンカツ??が置かれていました。

母は他の参加者の方と一緒に「こんなにたくさんトンカツを用意して、材料費もたくさんかかったのでは・・」と恐縮していたら、食べてびっくり!!竹の子のフライだったのです。

招いた家の方も、母たちが食べるまではフライの中身を内緒にしていたそうで「トンカツと思ったでしょ?竹の子は自宅の竹林で獲れたものだから、材料費は0円よ!遠慮せんで食べてね!」と大笑い!
また、その竹の子のフライがとても美味しかったそうで、それから母が毎年作ってくれるようになりました。

竹の子のフライ

作り方はいたってシンプル。

竹の子の煮物(だし汁、醤油、みりんなどで、お好みの味付けで煮たもの)に、フライを作る要領で、小麦粉、溶き卵、パン粉を順につけ、揚げたら出来上がり。
竹の子に味が付いているので、そのままでも美味しくいただけます。

竹の子フライの完成!!竹の子フライの完成!!

こうして盛り付けると少しトンカツに見えますよね。

サクッとした衣の食感と味の付いた竹の子がとてもマッチして、煮物だけでは味わえない美味しさを感じますよ。
夕御飯のメインのおかずにも、お弁当のおかずにも最適です。

おばあちゃんの知恵!!「干し竹の子」

さて、鹿児島の85歳の母から時々届く宅配便。
先日届いたものの中に、「塩漬けの干し竹の子」が入っていました。

母から届いた干し竹の子母から届いた干し竹の子

最近は、スーパーなどで一年中真空パックの水煮の竹の子が売られていますが、昔は、竹の子の季節に、保存食として「干し竹の子」をたくさん作って、一年中食べられるように工夫していたんですね。

私からすれば祖母や曾祖母が作っていたというやり方で、母はこの時期「干し竹の子」を作ります。

これまで「干し竹の子」の作り方をきちんと教えてもらったことはなかったのですが、母も高齢になり、受け継がれてきたこうした昔の知恵を、書き止めておくことが大切だと思うようになりました。
そして、すぐには作れなくても、いつか作ってみようという時にできるようにしたいと思いました。

その気持ちを母に伝えると、母から丁寧に書かれた作り方がFAXで送られてきました。

母から丁寧に書かれた作り方がFAXで送られてきました。

それぞれのご家庭で工夫された作り方があると思いますが、母が作る「干し竹の子」の作り方を、簡単にご紹介します。

【干し竹の子の作り方】

材料  竹の子と塩(塩は多めに用意します)

用具 ・しっかり漬けられるバケツのような容器
・充分に重い重石(水を入れたペットボトルでも代用できる)

下ごしらえ
・竹の子の先端の柔らかいところと下部の固いところを切り離し、その間の部分を茹でないで生のまま使う。
(先端と下部の部分は、ぬかで軟らかく煮て惣菜の材料に・・)
・竹の子を1センチ位の幅に切る

漬け方
・容器の底に塩を多めにふり、竹の子を平らに並べ、その上にたっぷりと塩をふる。そして順にまた竹の子を平らに並べ塩と、繰り返して漬け込む。一番上は多めに塩をふる。そして、しっかりと重石をします。
・重石がしっかりしていたら、一晩で水が上がってきます。
・天気の良い日に、洗わないでザルに広げて干し(重ならなうように)、午前中干したら、午後は裏側を干します。
・次の日も同様にして干し、耳たぶくらいの柔らかさになったら、干し終わりです。
・干した竹の子を大きなボールなどに入れ、また、今度は軽く全体に塩をまぶします。そして密閉容器に入れ、空気が入らないようにしっかりと押し付けて冷蔵庫(野菜室)に保管します。

※天気が悪い時は、重石をしたらお天気の良い日まで待ちます。
しかし、あまり長く漬け込むと少し臭くなります。うすぐもりの日でも干しましょう。

干し竹の子の作り方

使い方

・使う前に10時間前後3~4回水を替えてもどします。
・もどしたら、水煮の竹の子のように煮物にしたり、炒め物に使ったり、いろいろな料理に使えます。
・干し竹の子を水に戻すと、マチクなどの竹の子を発酵させて作る「メンマ」に近い歯ごたえになります。

春夏秋冬、四季のある日本は、旬の食材や植物の成長などを通し、季節の訪れを感じる豊かな感性を育んできました。
同時に、冷蔵庫も何もない中、短い期間にしか出回らない食材の保存食を知恵と工夫で生み出してきました。

一年中食材が出回り季節感がなくなってきている中、「旬」を大事にし、あわせて先人からの知恵や工夫も受け継いでいかなければと思っています。

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