きょうご登場いただくのは、鹿児島の寅さんこと小平田和博さん。
芸名「だいどう小平太」さん!「寅さん」まんまのいでだちで、丁々発止の掛け合いしながら、バナナを叩き売る。テンポ良い口上を織り交ぜながらの「バナナの叩き売り」が人気で、あちらこちらからお呼びがかかる鹿児島ではちょっとした有名人らしいのです。
はじめまして♪
だいどう小平太さん!
小平田さんは、年季物の寅さんカバンを持って現れました。
「寅さんが好きでね。私の世代は盆・正月になると、家族みんなで寅さんの映画を見るもんだったんですよ。私は、特に寅さんの名調子のあの啖呵売(たんかばい)や口上、あれに惚れ込んでね~自分もやってみたいとずーっと思ってたのよ。始めたの?40歳くらいの時からかなぁ。見よう見まね、独学で勉強しましたよ。」
憧れからの始まりでした。縁日などで露天商が、巧みな話術で客を楽しませ、いい気分にさせて売りさばく啖呵売(たんかばい)。
流れるような独得の口上は一種の話芸とも言われています。「バナナの叩き売り」を始めた頃、小平田さんはサラリーマンで、大手保険会社の営業職でした。宴会部長を務めるほどの芸達者でしたが、定年退職を迎えてからは、すっかりこれがライフワークです。
「大同生命にいたから、その『だいどう』と大道芸人の『だいどう』を引っ掛けて『だいどう小平太』っていう芸名にしたんですよ。本物のバナナの叩き売りはもう消えちゃったけど、すごく楽しい商売ですよね。いかに安く買って、いかに高く、たくさん売るか。そこを喋りで工夫するわけですよ。私は、そのお客さんとのやり取りが好きでねぇ。口上もオリジナル、あれを考えるのが、また楽しい。」
小平田さんのバナナの叩き売り!儲けが目的じゃないので、呼んでいただいた主催者にバナナを用意して頂いて、売り上げはすべて主催者の方にお渡しします。「良くてトントンか、少々の赤字になりますのであらかじめご了承ください!」とにっこり。「バナナの叩き売り」する面白い人がいると評判を呼び、いろんなお祭りやイベントに呼ばれるようになりました。慰問にも出かけます!
芸に欠かせない寅さんグッズを見せて頂きました。
寅さんコスチューム4点セット!
「今度、お寺の夏まつりに出るけど来ます?」
という事で、バナナの叩き売りをライブで拝見させて頂くことに…
チャ~ン♪チャララララララ~♪
バナナの叩き売りでお馴染みの口上「バナちゃん節」で口火を切って、ここからがお客さんとの掛け合い本番です。
「バナナの叩き売り」夏祭りライブ!
威勢良い声が響きます。「まずは、ひと房1000円から!」
「じゃ~600円でどうだい?」
(小平太)えーっ!いいの?
(客)厄落とし!厄落とし!
「さあさ、次は、300円でどうだ!」
「はい、これはサービス!あげちゃおう!」「今日は特別だよ!」
ポンポンとした掛け合いに、売る側も買う側も爆笑の渦!
「みんな笑顔になるでしょ。あれがあるから止められない。南九州市で川辺二日市(南薩に春を告げる市)ってあるでしょ。あそこにも毎年呼ばれてて、盛り上がる。盛り上がる。「川辺二日市、YouTube」で検索すれば、私のバナナの叩き売りが出てきますよ!」
※ ご興味がおありの方は、ご覧ください♪
サプラ~イズ♪
この「バナナの叩き売り」が評判を呼び、3年前には高級服飾メーカーイギンのクラッシックコンサートの前座に呼ばれ、サプライズ出演。サントリーホールでクラッシックを聴きに来た観客の前に突然、寅さんスタイルで現れ、「バナナの叩き売り」を披露。
皆をアッと驚かせました。
「もともとお笑い芸人になりたかったんですよ。だから舞台でみんなを楽しませたり、驚かせたりするのが好きなんです。イギンのクラシックコンサートで全国4ヶ所回りました。こんなことしたのは、きっと私が初めてでしょうね。」と嬉しそう!
バナナを買ってくれた人へのプレゼントとしていつも用意しているという、とっておきの3点セットを見せて下さいました。
- 「天下泰平」「笑顔来福」「笑売繁盛」など、めでたい言葉を書いたお手製のハッピーシール
- 叩き売りに欠かせないバナちゃん棒
- 口上集(練習してね!という思いを込めて)
渾身のバナちゃん棒!
「このバナちゃん棒は、完成するまで相当苦労しました。薄い広告の紙では、折れてしまってダメなんですよ。マンション広告なんかのちょっと厚手のチラシがあるでしょ。あれを何枚も重ねて、色付きのセロテープを巻いて、結構大変なんですよ!お客さんが多い時なんか、60本くらいは作りますよ。もう夜なべして必死ですよ。(笑)」
なぜにそんなに夢中に?
「実は、2年前に急性心筋梗塞で倒れて、2度の大手術をして、一度死にかけたんですよ。あれで人生観が変わりました。退院の日、青空を見上げた時、さんまさんじゃないけど『生きてるだけで丸もうけ』って心底思いました。そして、今からは好きなことをしよう。悔いの残らないようにしようと決めたんです。今は、これが私の一番の元気の源です。」
みんなも自分も笑顔になるために、サービス精神を惜しまない小平田さん!
ハマるものがあるってこんなにも幸せ!って改めて感じさせて下さいました。
笑顔の使者「だいどう小平太」さんは、鹿児島の「子ども食堂」にサプライズでバナナを届けたり、近く友人が開くという「西日本豪雨災害」のチャリティコンサートにも参加するなど、この夏も忙しそうです。
笑いと幸せを届けながら、さりげなく手を振り去っていくその姿はフーテンの寅さんそのもの。かごしまの寅さんが、この夏、笑顔を届けにみなさんの近くに、ひょっこり現れるかもしれませんよ。