19日、サムライジャパンが南米の強豪コロンビアを破り、日本中が熱狂しました。この勢いのままに、セネガル戦でも快進撃を!と期待が集まっています。第二戦、目前です!
ワールドカップを全身全霊で応援する鹿児島の熱きサポーター・梅貴範さんのところに行ってきました。
梅貴範さん40歳。鹿児島市の団地の商店街で人気の理容室のオーナーさんです。
梅さんは3年前、日本サッカーを応援するサポーター集団「teamRAISE」(レイズ)を立ち上げ、日本サッカーを全力で応援してきました。梅さんにとって4年に一度のワールドカップは特別な夢舞台。ワールドカップ開幕の一週間前からお店のウィンドーには、応援フラッグを掲げ、身も心もワールドカップモード全開で、コロンビア戦に備えました。
第一戦のコロンビア戦では、お店を開放。
サポーター仲間が集まる、パブリックビューイングとなりました。
「いやぁ、鳥肌が立ちました。もう店の中はこんな感じ。」
いよいよ始まったワールドカップですが、梅さんのワールドカップは、すでに一昨年の9月から始まっていました。ワールドカップ出場をかけたアジア最終予選10試合中、7試合は仕事をやりくりして、国内外のスタジアムに足を運びました。
「出場が決まるまでの道のりも決して楽ではありませんでしたから。一緒に戦ってきた感じです。国内戦の埼玉スタジアムは、皆勤賞でしたよ。(笑)特に去年は、まず日本代表の試合日程を先にスケジュールに入れて、残りの時間をやりくりして、その分、仕事もしっかり頑張る!と言う感じの1年でした。」
去年6月には鹿児島に帰省した大迫選手にも会い、直接激励しました。まだ日本がワールドカップ出場にできるか決まらず、強豪国とギリギリでせめぎ合っている時でした。
「5分くらい喋ったんですが、とても落ち着いていて、礼儀正しい。ほんと九州男児という感じでした。実は僕、鹿児島城西高校時代にも会っているんです。その時から技術はもう別次元。それこそ半端なかったですよ。(笑)でも、高校サッカーでは、準優勝で全国制覇できなかったんですよね。でも、あれがあったからこそ、あのストイックでハングリーな精神がつくられていったんじゃないかなぁと思います。…今思い出しても、この前のゴール、嬉しかった!」
それにしても、これだけの半端ないサッカー愛!どこから生まれてくるの??…梅さんをぞっこん虜にさせたサッカーとの出会いから今に至るまでの諸々のお話を伺いました。
サッカーとの出会いは?
「小学校の時に地元のスポーツ少年団に入ったんです。でも正直、足もそう速くないし、今よりちょっと丸々っとしてて、あんまり上手じゃなかったんです。当時団員が120人もいて、レギュラーにもなかなかなれなくて、応援団専門でした。でも、その時、先生に『お前、応援の時、いい声出ているぞ―』って言われて。今思うと、あれが原点かなぁって思いますね。(笑)」
なるほど!ちょっと切ない話ですが、控えから大きな声で応援していた少年が、後に強力なサポーターになっていくんですね。
サッカーの金の卵たちとの出会い!
その後、卓球で頭角を現した梅さんは、鹿児島実業高校への推薦入学を果たします。そこには、後に日本サッカーを背負って立つスター選手たちが勢ぞろいしていました。
「2年上に城彰二選手、2年下に遠藤保仁選手など…同世代にすごい人たちがいたんです。鹿児島実業高校のサッカー黄金期。ちょうどJリーグも始まって、世の中、サッカーで湧き立っていて、もうハマるっきゃない環境でした。」
家業の床屋を継いで、理容師になる決心をした梅さんは、高校時代に理容師の国家資格を取得。大阪に武者修行に出かけます。そこはセレッソ大阪の本拠地。本格的なスタジアムでサッカー観戦する機会が増え、みんなで弾けて応援する楽しさを覚えました。
ドイツワールドカップでサポーター本気度がマックスに‼
その後、鹿児島に帰省。24歳で、父から独立し理容店を開業しました。それから3年後の2006年。ドイツワールドカップに行ったことが、梅さんのサポーター人生を本気にさせました。たまたまチケットが手に入り、友人と2人で行った旅でした。観戦したのはクロアチアと日本の予選。結果は0-0のドローでしたが、初めて触れたワールドカップの舞台は刺激的でした。
「凄かったです。地響きのようなウォーという観衆の歓声と熱気。世界の一流選手たちのプレイの迫力とオーラ。圧倒されてシビレました。」
それからは、もうサッカー愛、まっしぐらです。
僕らサポーターもワールドクラスに…
「スタジアムを90分間、全速力で走り続ける選手の姿を観たらもう何も言えなくなりますよね。こちらも全力で応援するしかない。特にワールドカップに出てきている選手たちは、しのぎを削って、削って、この場所に立っている。もうリスペクトですよね。僕らは自分の声を出して、とにかく選手の背中を押す。これがサポーターの役割だと思ってます。僕らが作った「teamRAISE」(レイズ)は非難もしない。細かいしきたりも言わない。ただ勝利を信じて声を出して応援することに徹します。これが僕らの流儀です。」
梅さんは、選手を応援しながら「そこに至るまでのそれぞれの選手のサッカー人生」まで見てしまって胸が熱くなってしまうそうです。「全身全霊、全力投球」の梅さんのサポーターぶりは、小学校の頃に、声を嗄らしながらレギュラーの選手たちを応援していた梅さんの少年時代と重なります。
ワールドカップを応援することは…
「小学校の時に、控えの選手だった僕にとって、サッカーのワールドクラスで活躍する彼らは、憧れ・リスペクト・輝きの象徴なんです。彼らを応援することで、僕の人生のモチベーションを上げてくれる。元気の源です。輝いている彼らの頑張りが、今度は自分の背中も押してくれているんです。
梅さんは、息子の大翔(やまと)くんとのふたり暮らし。シングルファザーとして仕事に、主夫業、小学校のPTA会長に、おやじの会と一人何役も担いながら、奮闘しています。
夢に向かって全力疾走するサムライたちが、梅さんの人生の背中を押してくれる応援団でもあるのです。
最後に「今度のセネガル戦、夜遅いですね」と声をかけると…
「代表選手が日本を背負って頑張るんです。寝不足になるからって見ないわけにいかないですよ。日曜日も夜も、もちろん店にサポータ仲間が集まります。相手が、ドイツでもブラジルでも僕はいつも勝つことしかイメージしていません。サポーターは「信じきること」4年に一度の最高の舞台、「信じきって」選手と一緒に戦います!」
清々しい笑顔に惚れ惚れしました。梅さんのワールドカップは、これから…
まだ始まったばかりです。
