MBC-HP
「福祉」

日置市の児童発達支援事業所「いいこえん」困り感をもつ子の育ちをサポート


執筆者:

児童発達支援事業所とは、何かしらの「困り感」を抱える就学前の子どもが、発達の手助けを受けられる施設のこと。

「いいこえん」は、日置市伊集院町飯牟礼、お茶畑が広がり時々キジがお散歩している自然いっぱいのところにあります。

ことばが出にくかったり、みんなとの行動が苦手だったりする、2~5歳の子どもたち19人が通っていて、保育士のスタッフ6人が、子どもひとりひとりの個性に合わせたカリキュラムをつくって育ちをサポートしています。

濱川さん、どうして「いいこえん」をつくろうと思ったのでしょう?

濱川智子さん(前列中央)とスタッフのみなさん濱川智子さん(前列中央)

スタッフのみなさん

私にできることが何かあるはず!

濱川さんは、2人の子どもを持つお母さん。子育てが一段落して働きはじめようと思っていたときに、特別支援教育支援員という仕事に出会いました。

特別支援教育支援員というのは、「困り感」のある子どもたちが安心して学校生活を送れるように、食事やトイレなどの介助、授業中のサポートをするもので、平成19年度から全国に配置されるようになりました。濱川さんが支援員になったのは、この翌年のこと。以来6年間、日置市内の小学校で、「困り感」があったり発達に「でこぼこ」があったりする子どもたちに接してきました。

「はじめは、どう接していいのかわからなくて。支援員をしながら大学で福祉の勉強をしました。そうするうちに、もっと小さいときからサポートできていたら、子どもたちはずいぶん楽に過ごせたんじゃないかなって思うようになって。できるだけ早く気付いて受け止めて理解して、じっくり支援する場がつくれたらという思いが強くなったんです。」

子どもたちのよりどころをつくることが、自分の役割だと直感した濱川さん。児童発達支援事業所をつくる決意をしました。

行けるとこまで行ってみよう!

平成28年6月、濱川さんは準備に取り掛かりました。

「事業所として借りられそうな物件を探したのですが、家賃も改装費もかかりますし、いっそ自宅を改装しようと。主人に話したら、あっ、やるんだ、いいよって言ってくれて。私の思いはわかってたんだと思います。そこからは、行けるとこまで行ってみようと。融資をお願いしに行ったり法的な手続きをしたりと、慣れないことばかりで大変でしたけど、行く先々で出会いに恵まれて…。本気でやっていれば、助けてもらえるんですよね。そのたびに、やりなさいって背中を押されている気がして。同じ思いの保育士のスタッフも集まってくれました。」

いいこえんいいこえん

みんないいこ!「いいこえん」は楽しいところ!

こうして平成28年11月、「いいこえん」がスタートしました。

「『いいこえん』には、三つの思いが込められてるんです。子どもはみんないいこ、子どもにいいこいいこってしてほしい、そして、いいご縁がありますように。とにかく全力で、子どもたちにとって居心地のいい楽しい環境づくりをしています。」

すべり台にハンモック、ボルタリングもできて楽しそう!すべり台にハンモック、
ボルタリングもできて楽しそう!

子どもたちは週に二日、午前か午後のコースに通います。登園から帰るまでの流れが、ゆるやかに決められていて、保育士さんがひとりひとりに合わせて準備した遊びを通して、「できた!」を積み重ねていきます。

ボタンをはめたりボタンをはめたり
穴に豆を入れたり穴に豆を入れたり
同じ色の仲間を見つけたり同じ色の仲間を見つけたり
できた!を感じられる手作りおもちゃがいっぱいできた!を感じられる手作りおもちゃがいっぱい

水曜日は、イベントの日。お散歩したり近くの直売所にお買い物に行ったり、JRに乗ったり。みかん狩りや芋掘りもあります。

「地域の方々が協力して下さるんですよ。直売所では、100円で買えるものを一か所に集めておいてくれたり、芋掘りのときは、子どもたちの力でもとりやすいように、いったん掘り出して埋め戻しておいてくれたり。ありがたいです。」

様々な体験と地域の見守りのなかで、子どもたちは達成感や社会性を育んでいきます。

畑は手前のスペース畑は手前のスペース
子どもたちが種をまいたひまわり子どもたちが種をまいたひまわり

「スタッフは、子どもたちの喜ぶ顔を思い浮かべながらカリキュラムを考えるんです。できた!という達成感を大切に、できないことは工夫しながら頑張ってみる。子どもたちが、自分自身のことをよくわかって自分を好きになってくれたらと思ってます。」

いつでも帰ってこられる場所に

「いいこえん」を巣立った子どもたちが、これから小学校、中学校、高校と成長していくにつれて、また新たに悩んだり壁に突き当たったりすることも出てくるのでは、と濱川さんは考えています。

「将来つまずいたとき、子どもたちが帰ってこられる場所でもありたいと思ってます。いろいろ難しいことはありますけど、『いいこえん』を長く続けて、子どものそばに居続けたいと思っています。」

支援員をしていた時に出会ったひとりの女の子に、何もできなかったとの思いが濱川さんの原点。発達の「でこぼこ」や「困り感」をもつ子どもの幸せのために、傍らにいて、いつでも力になれる存在でありたい。濱川さんの強い思いが伝わってきました。

児童発達支援事業所 いいこえん

住所:日置市伊集院町飯牟礼908-17
TEL: 099-292-0300
Email: iikoen1150@yahoo.co.jp
開所日時 月~金 9時~16時
◎毎月第三水曜日の午後は、サロンとして開放しています。どなたでも、子育ての話をしながらゆっくり過ごせます。(前日までにお電話を)

子ども食堂のことが分かる本!「森の玉里子ども食堂 奮闘記」のご紹介以前、「てのん」でご紹介させていただいた「森の玉里子ども食堂」 2年前の6月、鹿児島市で産声をあげました。当時は「子ども食...

この記事が気に入ったら
いいね ! してね

あわせて読みたい