「ぶらり旅」

甑島へ!コロナ下で踏ん張るひとり旅行社「旅ぱんだ」の山口さんと行く日帰り旅!


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「弊社もやっと、『牛歩』並みの活動が始まる予感です。今鹿児島県内で一番ホットな場所、『甑島』ツアーのお誘いです。」2年前、還暦目前にたったひとりで旅行会社を始めた山口陵子さんから、10月下旬にこんなメールをいただきました。

以前てのんにご登場いただいて以来、たびたびご縁のあった山口さん。コロナ禍で大変な思いをしていらっしゃるのではと気になりながらも、なんとなく気がひけてご連絡できずにいたところでしたので、うれしいやらほっとするやらで、二つ返事でツアーへの参加を決めました。

開通したばかりの甑大橋を渡っての、初めての甑島観光に興味津々!でも旅に出かける前に、まずは山口さんのコロナ下での日々をお聞きしなくてはと思い、お会いしてきました。

還暦目前で旅行会社を起業 人生山あり谷あり!思いきって新しい旅路をゆく「私、ひとりで旅行会社をしてるんです。」 鹿児島市の山口陵子さんに初めてお会いしたのは、てのん学校の日でした。 ボランティアで運...

4月にすべての予定が消えた!

久しぶりにお会いした山口さんは、以前と変わらず元気いっぱい!少し安心しましたが、お話をうかがうと、コロナ禍の影響は想像以上のものでした。

「3月までは、なんとか予定通りに動いていたんですけど、4月に入ってざざーっと、入っていた予約が数か月先まですべてキャンセルになりました。まったく仕事なしです。」

お花見ツアーをはじめ定番の人気ツアーから町内会や業界団体の旅行、修学旅行、そして個人の旅行まで、会社を支えていた何もかもがキャンセルになり、何かやっていないと「心が死んでしまいそうだった」と山口さん。とにかく何でもやってみようと、つてを頼ってマスクを仕入れて販売してみましたが、数千円の収入にしかなりませんでした。

「お得意先に営業に回ろうにも、こんな時に旅行なんてって思われそうで、気がひけてできませんでした。助成金の申請もしました。待ってるだけでは心が折れるので、新しい旅のプランを考えてみたりもしました。開業して3年もたたないうちに会社をたたんでしまうなんて嫌だ!負けてたまるか!とにかくその一心で過ごしていました。」

苦境が続いていた7月、山口さんにとって大切な場所、熊本県人吉市や球磨村が豪雨災害に見舞われました。この地方には、住民が守り続けてきた観音様が点在していて、春と秋のお彼岸には、その観音様が一斉にご開帳となり、お参りに訪れた人々を地元の方々がもてなす「相良三十三観音めぐり」があります。以前ひとりでお参りに訪れた山口さんは、その趣深い風景と人々の温かさに心打たれ、「相良三十三観音めぐり」ツアーを企画。今ではすぐに完売してしまう人気ツアーになりました。

「『相良三十三観音めぐり』は、私にとって原点なんです。大したことはできないけど、できることをしたいと思いました。いつもツアーの昼食でお世話になっているお店が水につかってしまって、それでも災害支援の拠点になって、炊き出しをしたりと頑張ってましたので、今何が必要かを聞いて、水を入れるタンクやタオル、せっけん、蚊取り線香など、何度も通って届けました。」

この中には、今回ですべてをめぐり、満願成就となるご夫婦もいらっしゃいました。
相良三十三観音めぐり 人吉球磨で市井の人々が守り続けた観音様に出会う旅春分の日、鹿児島市から高速道路で2時間ほどの熊本県人吉球磨地方に出かけてきました。春と秋のお彼岸にだけ御開帳となる観音様に会うためです。...

7月の下旬には、安芸の宮島に行きたいという老夫婦からの依頼に応えて、久しぶりに仕事で旅に出た山口さん。感染予防のための対策をととのえて無事に旅を終えたことは、ちいさな希望となりました。

「このコロナのなかで旅に行くのか行かないのか、考え方は本当に人それぞれなんですよね。私としては、感染予防対策を万全にしてご提案するしかないと思いました。」

依然として仕事がないなか、10月1日に始まったGo Toトラベルは、山口さんにとっては、お客さんに戻ってきてもらえる大きなチャンス。申請手続き上の思わぬトラブルに見舞われて、出足が1か月ほど遅れてしまい悔しい思いをしましたが、甑島への日帰りツアーを売り出すとすぐに完売、追加のツアーを売り出すという、幸先の良いスタートとなりました。
さあ、それではいよいよ、甑島へ出かけることにいたしましょう。

はじめまして!甑島

ツアー当日の11月14日は、季節外れのあたたかい日で、そのうえ快晴。願ってもない旅日和となりました。検温を済ませてバスに乗り込むと、定員33人の中型バスにお客さんは16人。通路を挟んで二列に並ぶ二人掛けの椅子に一人ずつ、それぞれ左右の窓側に座って距離をとりました。みなさんマスクをしておしゃべりは控えめに、まずは甑島への高速船が出る川内港へ向かいました。

高速船甑島高速船甑島

高速船乗り場で再び検温を済ませて船内へ。これから50分ほどの船旅です。窓からは海面がとても近くに見えて、港を離れるにつれて、穏やかにみえた海にも少しうねりが出てきました。船とぶつかって立ち上がる波しぶきに陽が差して、きまぐれにあらわれては消える虹がとてもきれい。はるか遠くに、うっすらと薩摩半島最西端の野間岳が見えて驚きました。

夢中で外を眺めているうちに、美しい地層が連なる甑島の上甑島が見えてきました。里港に到着し、初めての甑島上陸です。

長目の浜を眺めに展望所へ

里港には、山口さんがあらかじめ手配していた中型バスが待っていました。早速乗り込み、いざ出発です。甑島には、上甑島、中甑島、下甑島という大きな島があって、それぞれにたくさんの見所がありますが、今回は、山口さんが初心者向けに選んだおすすめの場所を巡りました。まず向かったのは、上甑島の長目の浜を望む田之尻展望所です。

田之尻展望所からの長目の浜 右側がなまこ池田之尻展望所からの長目の浜
右側がなまこ池

山裾の岩盤が長年風や波にさらされてくずれ落ち、さらに波にもまれて大小の丸い石となって流れ着いたことで、この長目の浜ができたとか。およそ4㎞にわたって続く海岸に沿って、なまこ池、貝池、鍬崎池が並んでいます。

地球の営みがこの景色を創り出してくれたことに感謝!展望所から急な遊歩道を300メートルほど降りて海岸にでると、ゴロゴロとした丸い石でできているのがよくわかります。

遊歩道を下りていくと…遊歩道を下りていくと…
大きな岩や玉状の石がごろごろと広がる長目の浜大きな岩や玉状の石がごろごろと広がる長目の浜

 

展望所からは見えなかった景色も展望所からは見えなかった景色も

場所を移して、今度は長目の浜展望所からの眺めです。

手前左が鍬崎池 奥に見えるのがなまこ池手前左が鍬崎池
奥に見えるのがなまこ池

海岸沿いに細長く並ぶ3つの池は、水位も塩分濃度も透明度も、また住んでいる生き物もそれぞれ異なっていて、中でも貝池には、世界でも数か所でしか見つかっていないバクテリアが生息しているのだそうで、なんとも神秘的です。

武家屋敷跡にちょっと寄り道

甑島に着いて、素晴らしい景色に心満たされたところで昼食へ。里港近くにある「甑に東風 現在地」というお店で、キビナゴやタカエビ、カンパチなど海の幸満載の海鮮丼を、黙々といただきました。おなかも大満足です。

次の出発まで少し時間があったので、近くの里武家屋敷跡「里麓」を散策しました。ここは、鹿児島の日本遺産「薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群『麓』を歩く~」を構成する資産の一つになっています。長目の浜の海岸で目にしたような、丸い石を積み上げて作られた石垣が続く、静かなたたずまいです。

武家屋敷群『麓』
八幡神社八幡神社

 

亀城跡から里港を望む亀城跡から里港を望む

途中、土曜授業を終えて帰る小学生や中学生に出会いました。みんなニコニコしながらあいさつしてくれて、あたたかい気持ちになりました。甑島には高校がないので、子どもたちは中学校を卒業したら、親元を離れて島を旅立つ「島立ち」を経験するとききました。みんなの未来が幸せいっぱいでありますように…。

橋から橋へ、そして甑大橋

ふたたびバスに乗り込み、南下して下甑島を目指します。最初に渡るのは、上甑島と中島という小さな島をつなぐ甑大明神橋。橋のたもとから、甑島の「甑」の由来になったといわれる大きな岩が見えます。

右に甑大明神橋、鳥居のある大岩が甑大明神としてまつられています右に甑大明神橋、鳥居のある大岩が甑大明神としてまつられています

 

地球の歴史を感じさせる地層地球の歴史を感じさせる地層

しばらく行くと、今度は中島と中甑島をつなぐ鹿の子大橋を渡ります。

鹿の子大橋鹿の子大橋

 

橋の下から見える岩肌も独特の地層を見せています橋の下から見える岩肌も独特の地層を見せています

そしていよいよ、8月29日に開通したばかりの甑大橋を渡って下甑島へ。この橋ができたことで甑島が一つになり、今までよりも短い時間で行き来ができるようになって、医療や物流、災害時の支援など、様々な面で便利になったそうです。

もちろん、こうして観光に訪れる人々にとっても、眺めてよし、渡ってよしの、ありがたい橋です。甑大橋の開通で役目を終えた鳥ノ巣山灯台とともに、写真に収めました。

鳥ノ巣山展望所からの甑大橋 手前が鳥ノ巣山灯台。お勤めご苦労様でした!鳥ノ巣山展望所からの甑大橋 手前が鳥ノ巣山灯台。
お勤めご苦労様でした!

 

大海原が広がります大海原が広がります

車窓から眺める下甑島は、一段と山が深く緑が濃く感じられました。海沿いを走っていると、ときおりバスが細道へ。よく見ると、もともとの道路は大きくえぐられてくずれ落ちていました。

山口さんが、この被害は9月の台風10号によるもので、今も復旧作業中なのだと教えてくれました。おだやかな晴天に浮かれていましたが、荒れた天気の厳しさもまた、甑島の自然なのだと思い知らされました。

そして最後の目的地、森進一さんの歌「おふくろさん」の歌碑に到着です。

森進一さんのお母様が下甑島のご出身なのだそうです。実際にメロディーが流れます森進一さんのお母様が下甑島のご出身なのだそうです。
実際にメロディーが流れます

ここからバスは、帰りの高速船の出る里港へ向かいます。途中、「コシキテラス」に立ち寄って、おいしいと評判のパンやお豆腐を買い、ふたたび甑大橋へ。今度は橋に降りて景色を楽しみました。あまりの高さに縮みあがりましたが、海鳥になったような気分でした。

コシキテラス

駆け足で甑島をめぐった今回の旅。“初級入門編”ではありましたが、甑島の魅力に触れることができて、もっともっと知りたくなりました。珍しいカマスの塩辛、おいしいお豆腐にあおさのつけあげ、焼酎などなど、お土産もたくさん買い込んで、家でも甑島を楽しみました。

またいつか、今度は泊りがけで訪ねてみたいです。

withコロナの旅~おわりに~

山口さんがGo Toトラベルを活用して作った今回のツアーは、旅先で使える地域クーポン券もついていて、とてもお得でした。ただ、私にとってはコロナ下での初めての旅でしたので、少し緊張して出かけました。

「感染しない、させない」を念頭に、消毒液を持ち歩いて頻繁に手指を消毒、乗り物の中や屋内ではできるだけ無口をこころがけました。ツアーに参加した方々も、みなさん気をつけていらっしゃったようです。今までとは勝手の違う旅でしたが、こうして久しぶりに出かけてみると、旅ってやっぱりいいなあとつくづく思いました。

折しも、東京や大阪をはじめ、全国的に感染が拡大し始め、山口さんのところには、再びキャンセルが入り始めたそうです。コロナと折り合いをつけながら旅をするにはどうすればいいのか、ほんとうに悩ましいですが、もし、どこかに出かけたくなったら、ぜひ、山口さんに相談してみてください。きっといい旅を提案して下さると思います。

お問合せ先

旅ぱんだ
株式会社 Fun Fan企画
TEL:099-813-7671
FAX:099-813-7672
フリーダイヤル:0120-026-828

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