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「食・レシピ」

手づくり酵素を作ってみた!秘伝の酵素ジュースで微生物パワーを体験


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コロナ禍でおうち時間が増え、新しいことを始めたという方も多いことでしょうね。私は今年の冬、夫の実家の柿が大豊作で、その渋柿を使って手作り酵素づくりに挑戦しました。

作り方を教えて下さったのは、酵素千年の会の前原一輝さん。酵素パワーに惚れ込んで、手づくり酵素づくりの普及に取り組んでいらっしゃる方です。

渋柿の酵素ってどうなの?

「実家で渋柿がたくさん生ったのですが、渋柿で酵素がつくれますか?」知人の紹介で、手づくり酵素インストラクターの前原一輝さんのもとにご連絡を入れたのは、昨年11月のこと。「渋柿は柿の原種ですから、とても良いですよ。最高の酵素が出来ますよ。」旬の果物野菜は栄養価が高く、質の高い酵素づくりに欠かせないとのこと。一気にワクワク感が増しました。

準備するものは、酵素の材料となる渋柿と同量の白砂糖、それに保存瓶。その作り方の手ほどきを受けることになり、材料を持参して早速ご自宅に伺いました。

手づくり酵素のつくり方を教えて下さった 酵素千年の会 前原一輝さん手づくり酵素のつくり方を教えて下さった
酵素千年の会
前原一輝さん

ご自宅にずらりと並ぶ酵素ジュース

前原さんのご自宅には、たくさんの手づくり酵素ジュースが並んでいました。ビワ、ショウガ、タケノコ、かぼちゃ…わぁ~なんだって酵素ジュースになっちゃうんだ~

あれも、これも酵素ジュース!あれも、これも酵素ジュース!

あれも、これも酵素ジュース!
「ここには、3年もの、5年もの、10年ものの酵素ジュースもあるんですよ。1年くらい経つと、熟成してアミノ酸になるんです。だから腐りません。酵素ジュースは、普通1週間から10日くらいで出来るんですが、生の食物を使うために、つくる過程でカビが生えたり、腐りやすいという問題があったんです。

その問題を乗り越えて、この製法の手作り酵素づくりを完成させるのに私の師匠は20年以上もかかったんですよ。(笑)」と前原さん。
何だかとっても奧が深そう…「酵素は体に良いみたい」くらいの知識しかなかった私、まずは前原さんから酵素パワーについてのレクチャーを受けました。

そもそも酵素って何?

酵素千年の会 前原一輝さん酵素千年の会
前原一輝さん

前原さんはこう話します。
「ヒトを含めたあらゆる生物は、酵素がなければ生きていけないんですよ。というのも呼吸や食べ物の消化・吸収・代謝・排せつといった生命を維持するために必要なあらゆる場面で、体の中にある酵素が働いて、そのおかげで私たちは生きているんです。

でも現代人は、食生活の変化や生活習慣の乱れによって体内にある酵素(消化酵素や代謝酵素)を使いすぎてしまって、慢性的な酵素不足に陥っているんです。一説には、体内で一生に作られる酵素の量は決まっていると言われていて、酵素不足が続くと健康を害してしまったり、病気にかかりやすくなってしまうんです。」

ヒトの体の不思議と酵素の豆知識

なるほど!酵素ってとても大事なものなんですね。私たちが食べ物を消化・吸収したり、代謝・排せつできているのは、体の中で正常な化学反応が起きているからで、この化学反応をスムーズにしてくれる潤滑剤のような役割を果たしているのが酵素なんだそうです。

酵素を大きく分類すると、体内で作られる消化酵素と代謝酵素、体外から取り入れる食物酵素があります。加齢とともに体内の酵素は減って、酵素を作る働きも衰えてくると言われていますから、不足しがちな酵素を外からうまく取り入れてあげることが健康維持に大切だというのです。

食物では、生野菜や果物、新鮮な魚介類、海藻などの他、みそや納豆、ぬか漬けといった発酵食品などにも豊富に含まれていて、特に発酵食品は酵素の宝庫と言われています。前原さんたちが提唱する手作り酵素ジュースもこの発酵食品の一種で、微生物の力で「生きた酵素」をつくって健康維持に役立てようというものです。

前原さん曰く、家庭でできる究極の微生物発酵食品なんだそうです。これだけ前原さんが酵素にハマることになったのは、前述した師匠と仰ぐ方との出会いがあったからです。鹿児島在住で「まるけん食農塾」という自然農法を主宰している原乃後誠さんです。

原乃後さんは20年以上にわたって独学で酵素の研究を続け、安全に安定した発酵がすすむ手作り酵素をつくる独自の方法を考案しました。この考えに共感した前原さんは、そのつくり方を指導しながら普及しているのです。

水にこだわった手づくり酵素

つくり方は、水とその他の材料とを混ぜ合わせて、あとは微生物の力で酵素をつくるというシンプルなものですが、こだわっているのが「水」です。前原さんによりますと、この酵素づくりの考案者である原乃後さんは、試作と試行錯誤の連続の中で、この方法に辿り着いたそうです。

というのも酵素は生の食物を使うため、季節や環境によって、腐敗してしまったり、できあがりにばらつきが出たりして失敗の連続だったそうです。それが、ある時、知人から分けてもらった「南極の氷」で酵素をつくったところ、酵母菌が驚くほど活発に活動をはじめ、この時「完璧な酵素ができた」と確信したそうです。酵素づくりには、自然界がつくり出す混じりけのない水をつかうことが欠かせないと確信した原乃後さんは、それから全国各地の水を取り寄せ、酵素をつくる試作を重ね、ある水に辿り着きました。

それは、水道水に天然の鉱物から抽出したミネラルを加えて極微細のフィルター(活性炭入り)でゆっくりと時間をかけてろ過した水。こうすることで、水道水に含まれている不純物が取りのぞかれ、微生物が生息・繁殖できる最適な条件が整うのだそうです。

また、この水を使うと発酵の過程で起きやすい腐敗も防ぐことができました。原乃後さんたち手づくり酵素研究会では、この製法でできた水を「機能水」とよび、この水を使っての手づくり酵素を提唱しているのです。

整水器で機能水をつくります整水器で機能水をつくります

渋柿でつくる手づくり酵素ジュースを体験

前原さんの指導のもと、その秘伝の手づくり酵素ジュースづくりを教えていただきました。持参したのは、渋柿2キロと同量(2キロ)の白砂糖。材料となる食物と同量の白砂糖で作るのが基本です。機能水やミネラルの分量は、使用する材料によって多少変わりますが、渋柿の酵素ジュースは下記の分量でつくりました。

渋柿2キロと白砂糖2キロでつくりました渋柿2キロと白砂糖2キロでつくりました

材料

渋柿(酵素を作るための材料)  2キロ
不純物を取りのぞいた機能水   2リットル
白砂糖             2キロ
ミネラル 10㏄

用意するもの

保存瓶

白砂糖を結構たくさん使うんですね

「発酵をスムーズに進めるには、白砂糖が最適なんです。これが黒砂糖やきび砂糖などでは上手くいかない。ビタミンやミネラル等、ショ糖以外の成分を多く含んでいるので、発酵が止まってしまったり、異常発酵してしまったりするんです。

白砂糖は不純物をほとんど含まない完全な砂糖の結晶ですから、植物の細胞膜に浸透しやすく、中の成分を壊さないでエキスを引っ張り出すことができるんです。微生物が白砂糖をエサにして発酵がどんどん進むんですよ。」

浸透圧を利用することで、白砂糖が植物の中の酵素を吸い出す役割を果たしているんですね。しかも発酵で微生物による分解が行われ、最終的にはブドウ糖と果糖に変化するため白砂糖としては残らないんだそうです。

手作り酵素研究会の酵素ジュースのつくり方

  1. 材料を水洗い、機能水で消毒する
    仕込み作業の前に、容器や採取した植物や材料などの衛生処理をしっかり行います。水洗いした後、機能水で使用する道具や材料を洗って、衛生処理(除菌・消毒)しました。

    食材や道具をしっかり衛生処理します食材や道具をしっかり衛生処理します

    食材や道具をしっかり衛生処理します
    「これから(スギナ、ヨモギ、ドクダミなど)春の野草のシーズンですよね。芽吹きパワーで素晴らしい酵素ジュースができるんですが、出来れば排気ガスや農薬などのかかっていないものを採取してくださいね。最近では食物が農薬や大気中の有害な化学物質の影響を受けていることが多いんです。万が一、食中毒菌などが混じっていたら酵素といっしょに増殖してしまうかもしれませんからね。」

  2. 材料をカットする
    持ち込んだ材料を適度な大きさにカットしていきます。渋柿は皮のまま、ザクザクとカットして、ネットに入れます。

    皮ごと、このくらいにザクザクカットして…皮ごと、このくらいにザクザクカットして…
    ネットに入れますネットに入れます

    「『柿は医者いらず』っていう言葉があるでしょ。それくらい栄養価が高くて、捨てるところは無いんですよ。葉っぱもお茶として飲んだりするでしょ。渋柿は柿の原種だから、いい酵素ができますよ。」

    材料は、果物、野菜、山野草など、旬のものを新鮮なうちに使うように心がけて下さいとのこと。

  3. 保存瓶に白砂糖+機能水+材料(渋柿)を投入
    まず、保存瓶に機能水と白砂糖を混ぜ合わせます。私は、保存瓶2個を準備してきたので、それぞれに渋柿1キロずつの酵素ジュースを作ることにしました。

    1つの保存瓶に機能水1ℓと1つの保存瓶に機能水1ℓと
    白砂糖1キロを入れます白砂糖1キロを入れます

    そして、ここで前原さんたち手づくり酵素研究会秘伝のミネラルを5プッシュ投入。(水1ℓに対してミネラル5㏄)

    除菌効果がアップするとのこと除菌効果がアップするとのこと

    この段階で、鉱物ミネラルを入れることで、水が中性(PH7)から強酸性水(PH3~PH4)になり、除菌作用が高まって、カビが生えたり、腐りやすい状態を防ぐことができるんだそうです。

    攪拌して、仕込み完了!攪拌して、仕込み完了!

    そして仕込んだ瓶の中に、先ほど準備した渋柿をそれぞれ1キロずつ入れました。

    渋柿を1キロずつ入れますよ!渋柿を1キロずつ入れますよ!
    こんな感じで仕込みが終わりましたこんな感じで仕込みが終わりました

    すると前原さんは「これからはあなたの番ですよ。これから素手で毎日かき混ぜて、自分だけのオリジナル酵素ジュースを作って下さいね。良いのが出来ますよ。」とにっこり。どういうこと?

  4. 素手で混ぜる
    これは、ぬか漬けが、作る人の手によって仕上がりや風味が微妙に違ってくるのと同じ発想です。素手で混ぜることによって、その人がもともと持っている常在菌も溶かし込み、発酵の手助けをしながら、世界に一つだけしかない、その人ならではの酵素ジュースができあがるというわけです。まさに手作りならでは…ということで、ここからは仕込んだ保存瓶を持ち帰って、自分で発酵を見守りながら育てていくことになりました。

    かきまぜ方を教えてもらって、自宅に持ち帰りましたかきまぜ方を教えてもらって、自宅に持ち帰りました

    酵素ジュースで微生物パワーを体感

  5. 毎日1回、素手でよく混ぜる(20回)
    「嫌、嫌ながらじゃなく、ありがとうの気持ちをこめて混ぜてね。そうすると発酵が早く進みますよ。イライラしてやると酸っぱくなったりしますよ。」と前原さん。半信半疑ながら、ここは素直に、その言葉を思い出しながら、毎日かき混ぜるのが日課になりました。1週間から10日ほどで酵素ジュースが出来上がるとのことです。2~3日経つと表面に小さな泡が出てきました。

    2~3日後2~3日後

    この泡が日に日に大きくなっていきました。これは微生物が、糖をエサにして活発に動き始めている証なんだそうです。

    同じようにしていても、右と左では発酵のスピードが違うから不思議同じようにしていても、右と左では発酵のスピードが違うから不思議

    4~5日目あたりから泡はますます大きくなり、ブクブクが膨れ上がっていきました。ふたを開けると甘い香りが広がります。
    ブクブクが膨れ上がっていきました。ふたを開けると甘い香りが広がります。
    この小さな容器の中で微生物たちが今、たくさんの酵素をつくってくれているんだなぁ!
    この小さな容器の中で微生物たちが今、たくさんの酵素をつくってくれているんだなぁ!
    発酵食品マイスターの認定試験などを行っている日本安全食料料理協会によると、発酵とは「微生物の代謝を利用して、体に良い成分を得ること」「人にとって有効な微生物が働くことによって起こる現象」とありました。

    そのプロセスを小さな容器の中から見ることができて、微生物の不思議なパワーを実感。前原さんの「ありがとうの気持ちを込めてつくってね」とおっしゃっていた言葉の意味が分かったような気がしました。1週間も過ぎると、だんだん容器の中が静かになってきました。

    1週間目1週間目

    これがそろそろ酵素が出来上がってきたサインです。置き場所や夏や冬といった季節によって発酵のスピードは微妙に違ってくるそうですが、そのまま置いておくと成分が変化してしまうそうで、頃合いを見て引き上げます。私は写真を前原さんにお送りして、完成のタイミングを教えて頂きました。

    かき混ぜ始めて9日目。そろそろ完成かな?かき混ぜ始めて9日目。そろそろ完成かな?

    「いい感じですよ。そろそろ良いでしょう。」とのお答えをいただいて、オンリーワンの渋柿の酵素ジュースの完成です!

    柿を濾して、酵素エキスを取り出します柿を濾して、酵素エキスを取り出します
    トロ~リ、甘い香りが広がりましたトロ~リ、甘い香りが広がりました

    こうして200mlのペットボトルに8本分の柿の酵素ジュースができました。今回の柿ではできませんでしたが、薬草でつくった酵素ジュースでは、酵素ができた後の薬草をお風呂に入れて楽しむと、いい香りに包まれてお肌もスベスベになるそうですよ。

    渋柿でつくった酵素ジュース渋柿でつくった酵素ジュース

酵素ジュースの飲み方

さて、出来上がった酵素ジュースは、どんな飲み方をすればいいのでしょうか?
前原さんによると目安は、朝25~50㏄、夜25~50㏄を食前に水で割って(4~5倍に希釈)飲む方が多いとのことです。私は1日1回、食前にこんな感じで飲みました。

4~5倍に薄めて、食前に飲みました4~5倍に薄めて、食前に飲みました

甘くておいしいのでついついたくさん飲んでしまいそうですが、カロリーは結構あるので飲みすぎには注意。毎日少しずつ飲むことを心がけました。高齢の義母や母にもおすそ分けしましたが、健康維持のために大切に飲んでいるみたいです。

手づくり酵素づくりを教えて下さった前原一輝さん手づくり酵素づくりを教えて下さった前原一輝さん

「加熱していない酵素ジュースは、酵素も微生物も生きたまま腸に届くので、善玉菌を増やして消化を助け、免疫力を高めてくれるんです。これからも微生物パワーを生かしてつくる手づくり酵素ジュースの魅力をみなさんにお伝えしていきたいです。」と前原さん。

微生物の奥深い世界

出来上がった酵素ジュースについて前原さんから幾つか注意事項を伺いました。「冷蔵庫で保存して下さい」ということと「長く置いておくと成分が変化しやすいので、早めに飲んでください」ということ。

そして「ジュースは発酵が続いているので、容器の蓋は緩く締めていてください」ということ。ところがある時、大失敗。蓋は緩く締めていたつもりだったのですが、冷蔵庫から何気なく取り出して蓋を開けたところ「プシューッ、シュポ、シュポ…」蓋の中から勢いよくジュースが溢れ出して、ジュースは半分くらいになってしまいました。

「わぁ~これぞ、微生物パワー。微生物たちの働きで、この中でまだ発酵が続いているんだ!」微生物たちがつくってくれる生酵素のバワーを実感するできごとでした。取材をさせていただいた時、前原さんからとっておきの自家製酵素ジュースをいただきました。

聞けばブルーベリー、りんご、レモングラス、渋柿、ヨモギ、ドクダミ、スギナをブレンドした特製のブレンド酵素ジュースとのこと。飲んでみると甘さの中に複雑な深い味わい。何か元気が出てくる味でした!目に見えないちいさな生きもの微生物の世界ってまだまだ謎が多くて奥が深い。

その入り口を覗かせてもらって、手づくり酵素づくりには、人の体にとって有益なものを生み出してくれる微生物たちに感謝しながら健康づくりをしていく醍醐味があるのかなぁと思いました。「これからも酵素生活を楽しんでくださいね」とのメッセージをいただき、今度は春野草の酵素をつくってみようかなぁと思っているところです。

手づくり酵素サロンのご連絡先

私は今回2キロの渋柿を持参し、機能水やミネラルは前原さんにご準備していただいて2000円で酵素ジュースのつくり方を教えていただきました。前原さんは、酵素を自分でつくってみたいという人たちに、そのつくり方を教えています。

ご興味のある方は、下記の手づくり酵素サロンにご相談ください。
手づくり酵素サロン
TEL:099-213-0272(前原一輝さんまで)

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