「食・レシピ」

はったい粉とさつまいものおやつ  香ばしくてやさしい甘さのおだんご、できました

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買い物の途中、陳列棚にひとりぼっちの「はったい粉」を見つけました。その棚には商品名も値札もなくて、「はったい粉」はなんとも所在なげに見えました。今日の買い物リストに「はったい粉」とメモしている人がそうそういるとは思えませんでしたし、このまま売れ残ったらどうなるのかしらと妙に気にかかり、買って帰ることにしました。

大麦を炒って粉にした「はったい粉」。そういえば、おすそわけにいただいたさつまいもがあったなあ。「はったい粉」と合わせておだんご、作ろうかな。

「はったい粉」と合わせておだんご、作ろうかな。

はったい粉って?

それにしても「はったい粉」って、なんだか不思議な響きです。辞書で調べてみると、「焦がした大麦をうすでひいて粉にしたもの。砂糖を加えてそのまま、または湯で練って食べるほか、干菓子の材料にもする。麦こがし。香煎。」との説明があり、「糗粉」「麨粉」という、見たこともない漢字で書かれています。

今度は漢和辞典を引っ張り出して、「糗」を調べてみると「①いりごめ(煎米)。また、炒って粉にした食品。②ほしいい。かれい。」とあります。漢字の右側のつくりの部分「臭」はにおいの意味で、左側の米偏と合わせて香ばしいいり米を意味しているのだそうです。

もうひとつの「麨」の字は、「むぎこがし。はったい。香煎(コウセン)」と、まさにそのものを表す漢字です。偶然“目が合って”我が家にやってきた「はったい粉」が、いろんなことを教えてくれました。

はったい粉でおだんご

さてさて、そろそろおだんご作りにとりかかりましょうか。参考にしたのは、鹿児島で昔から食べられてきたお菓子のレシピが載っている本「さつまの味めぐり ふるさとのお菓子歳時記」(鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会発行)です。

もう30年近く前の本ですが、折に触れてこの本を開いては、いろんなお菓子を作ってみました。私の“本棚のおばあちゃん”です。この本によると、用意する材料は、はったい粉とさつまいもと黒砂糖。分量がキログラム単位で書かれていましたので、買ってきたはったい粉の量に合わせた割合で計算して作ることにしました。

用意する材料は、はったい粉とさつまいもと黒砂糖。分量がキログラム単位で書かれていましたので、買ってきたはったい粉の量に合わせた割合で計算して作ることにしました。

材料

はったい粉 200g
さつまいも 300g
黒砂糖   140g(粉状の黒糖が便利です)

はったい粉は、袋を開けただけで、麦茶のような香ばしいにおいがふわっとひろがります。黒砂糖からも甘い香りがただよってきて、作る前からおいしい気分になります。

まずは、さつまいもを蒸します。じっくりゆっくり火を通すと甘みが増すので、時間があるときは蒸すのがおすすめですが、電子レンジでもいいと思います。竹串を刺してみて、すっと通るくらいまで蒸します。さつまいもの大きさによって蒸す時間は変わりますが、今回のさつまいもは一個で400gをこえるビッグサイズでしたので、40分くらい蒸しました。

しっとり蒸しあがりました!しっとり蒸しあがりました!

黒砂糖は、お湯で溶かしておきます。本には「煮溶かす」と書いてありましたが、水の分量は書かれていませんでしたので、はったい粉の袋に書かれていた別のお菓子のレシピを参考に、熱湯80㏄で溶かしました。

溶けにくいのでよく混ぜてくださいね。溶けにくいのでよく混ぜてくださいね。

蒸したさつまいもは皮をむいて、すりこぎで粗くつぶします。あとからはったい粉と合わせてこねるので、ここではざっくりとつぶす感じでいいと思います。

蒸したさつまいもは皮をむいて、すりこぎで粗くつぶします。

つぶしたさつまいもに溶かした黒砂糖を加えて軽く混ぜます。

つぶしたさつまいもに溶かした黒砂糖を加えて軽く混ぜます。

そこにはったい粉を加えて、手でよくこねます。はじめは全体を混ぜ込むように、だんだんまとまってきたら、親指の付け根の、掌の厚いところでぐっぐっと押すようにして、しっかりとこねます。

はったい粉を入れてはったい粉を入れて
はじめはぼそぼそしていますが…はじめはぼそぼそしていますが…
しっとりむっちりとまとまりますしっとりむっちりとまとまります

適当な大きさにちぎって、大きめに広げたラップにのせ、巻き寿司をつくるような感じで、ラップに包みながらお好みの太さの棒状にします。

直径4㎝くらい、長さが14~15㎝のおだんごが3本できました。直径4㎝くらい、長さが14~15㎝のおだんごが3本できました。

しばらくおいてなじませてから、お好みの厚さに切っていただきます。はったい粉の香りと黒砂糖の力強い甘みをさつまいもがやさしくまとめてくれていて、絶妙な塩梅です。おだんごと羊羹のあいだのような、むちむちしっとりした食感のせいか、とてもよく噛みますので、ますます滋味があふれます。あたたかいお茶と、お漬物など塩気のものを添えると、言うことなしです。

大根葉とちりめんじゃこのつくだ煮をそえて大根葉とちりめんじゃこのつくだ煮をそえて

地味だけど滋味いっぱい

むかしは、子どものおやつや農作業のお茶うけによく作られていたというはったい粉だんご。さつまいもと黒砂糖を混ぜ込むなんていかにも鹿児島らしくて、ひと汗かいて小腹がすいたところにぴったりな、栄養満点のお菓子です。80年くらい前に子どもだった父にたずねると、よかぁおやつだったよ、とにっこり。

母は、大好きだったおばあちゃんが石臼で挽いて作っていたはったい粉が懐かしい、としんみり。私が年老いたころには、こうしておしゃべりしたことを思い出して、じんわりするのかな…。はったい粉がくれた、おいしくてやさしい時間でした。

秋はさつまいもがおいしい季節。地味だけど、素材のうまみがたっぷりのはったい粉だんご、いちど作ってみませんか?

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