鹿児島市街地からそう遠くない場所にあり、ぶらっと出かけてみたい場所の一つがこの美術館。
10万平米という広大な森の中にある小さな美術館は、遊歩道が整備され、竹林、栗林、梅、桜、楓など四季折々の自然を満喫できますが、この時期の楽しみは何といっても梅。
美術館へと続く遊歩道での散策が楽しめます。
今年の梅の開花がかつてないほど早かった!
「私は20年以上、ここの梅を見てきましたが、こんなに梅の花が早く咲いたのは初めてでしたよ。」そう語るのは、美術館職員の折田政昭さん。
折田さんおすすめの梅は、美術館前に咲く「薩摩紅梅」と呼ばれる品種です。
取材に訪れた今月14日には5分咲きといったところでした。
濃い紅色が目にも鮮やか。
梅の甘く優しい香りに包まれながら、家族連れが、散策を楽しんでいました。
敷地内のおよそ300本の梅は、34年前の美術館開館に合わせて植えられたものです。
数が少なく珍しい品種の「薩摩紅梅」は、開館当初、県内では手に入らず、宮崎から取り寄せたそうです。
少し遅れて咲く白梅も咲き始めていました。
「今年は色がとても良いですよ。梅ももちろん素晴らしいんですが、この広大な敷地に見られる植生の豊かさは、また素晴らしいんです。
夏には九州大学や鹿児島大学の植物学の先生方が毎年訪れて、昆虫や植物の研究をされるほど、魅力的な場所なんですよ。」と折田さん。
只今、郷土画家「庵跡芳昭・伊牟田經正・大嵩禮造展」開催中
児玉美術館は、海老原喜之助、大嵩禮造、山下三千夫ら鹿児島ゆかりの作家の絵画を中心に、薩摩の陶器や各地の焼き物、民芸陶器、児玉家に伝わる古文書や美術品など、およそ1000点の収蔵品を揃えています。
ちょうど、新春に合わせて郷土画家の「庵跡芳昭・伊牟田經正・大嵩禮造展」が開催されていました。郷土を代表する画家それぞれの個性あふれる大作が並び、見ごたえ十分でした。
樹々と語り、名画と語らう美術館
偶然にも、美術館を創設した児玉利武理事長にお会いすることが出来ました。
「四季折々の自然を愛でながら美術と対話できる場所を作りたいと、昭和60年にこの美術館をつくったんです。鹿児島市で初めての私立美術館でした。
ここにある自然をそのまま生かしたいと色々な工夫がしてあるんですよ。」
ガラス張りの中庭からは自然光が溢れ、その下を小川が流れています。
美術館のコンセプト『樹々と語り、名画と語る緑の中の美術館』をまさに体感することが出来ました。
「禮造のアトリエ」は、児玉理事長と親交の深かった大嵩禮造氏の自宅アトリエを当時のまま移設したものです。
美術館見学者には、お茶とお菓子の無料で頂けるという嬉しいおもてなしもあり、ゆっくりと寛げます。
見頃は2月上旬頃まで。紅白、両方楽しみたいなら今月中にお出かけ下さい
紅梅、白梅の両方が楽しみたい方は、今月いっぱいくらいまでとの事ですので、お急ぎください。
敷地内は遊歩道も整備されていますので、梅の香に包まれながら、名画と対話するひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
庵跡芳昭・伊牟田經正・大嵩禮造展~三者三様の個性的な画業~
児玉美術館
鹿児島市下福元町8251-1
電話:099-262-0050
開館:10:00~16:00
観覧料:一般 500円 高大学生 300円 小中学生200円
休館:月曜日(祝日の場合は翌日)12月11日~1月3日