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コンテスト

鹿児島県ビジネスプランコンテスト受賞者に聞く【高校生賞】市来農芸高校

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2019年12月15日に開催された、令和元年度鹿児島県ビジネスプランコンテスト。今年度は、一般部門に23件、高校生部門に13件の応募があり、書類選考による1次審査、プレゼンテーション形式による最終審査を経て、大賞、優秀賞、高校生賞が決まりました。

今回から3回にわたって、受賞した方々に、プランへの思いや今後の抱負などをうかがいます。まずは、高校生賞を受賞した、鹿児島県立市来農芸高校のみなさんです。

ビジコンでの受賞後の写真ビジコンでの受賞後の写真

快挙達成!

鹿児島県立市来農芸高校は、いちき串木野市にあります。地元をはじめ県内各地から生徒たちが集まり、農業や畜産、経営や農畜産物加工について、実習しながら学んでいます。

今回高校生賞を受賞したのは、生物工学科2年の川北実鈴さん、中川桃子さん、同じく1年の村上想さんです。プラン名は、『ねむっている「かごしま」をイノベーション 知ってもらおう薩摩鶏、活用しよう薩摩鶏」です。

薩摩鶏は、鹿児島の固有種で、国指定の天然記念物でありながら、住環境の変化や高齢化などで、飼育数が減っていることに着目。手軽に飼えるような飼育セットとシステムを開発することで、薩摩鶏飼育のすそ野を広げ、種の保存にも貢献しようというプランを発表し、みごと高校生賞に輝きました。

市来農芸高校は、昨年に続いての2連覇という快挙です。今回のプランについて、川北実鈴さんと中川桃子さんが話してくださいました。

川北実鈴さん(左)中川桃子さん

鶏に魅せられて

川北さんと中川さんは、動物が好きで市来農芸高校に入学しました。

川北実鈴さん

川北さん:私は、動物が人間に与える影響とか、動物の近くにいないと学べないようなことを知りたくて入学しました。

動物全般に興味があったんですけど、入学してすぐの授業で「翡翠鶏(殻が緑色の卵を産む鶏)のひなが生まれたよ。」と聞いて見に行き、すっかり鶏にはまってしまいました。

卵からいつ孵るかなぁと思いながら毎日毎日通って、ひなが生まれたときはうれしくて、どんどん成長していく姿を見るのも楽しくて、1年くらいずっと翡翠鶏のところに通っていました。そうしたら、そんなに興味があるならと(昨年度の高校生賞の)先輩たちに誘われて、鶏の研究班に入ることにしました。

中川桃子さん

中川さん:私は、もともとは牛に興味があったんですけど、初めて近くで牛を見たらちょっと怖くて。そんなときに鶏を見たら、かわいいなぁと思って、それで鶏の研究をすることにしました。

市来農芸高校では、授業や部活動とは別に、放課後を利用して生徒たちが自主的に参加する研究プロジェクトがあり、鶏の研究もその一つ。実際に飼育するなかで見えてきた課題について、自分たちに何ができるのかを考えてアイデアを出し、実証データが必要な場合は、鶏につきっきりで観察するなど、地道な活動を続けてきました。

その研究成果は、昨年の県ビジネスプランコンテストをはじめ様々な大会で、高い評価を受けています。そこへ、3年ほど前に、ある依頼が舞い込みました。

薩摩鶏を飼う

県薩摩鶏保存会から、種の保存のために薩摩鶏を飼ってほしいと声がかかったのです。当時、県内で飼育されている薩摩鶏はおよそ350羽と、ピーク時の3分の1にまで減少していました。

薩摩鶏薩摩鶏

ぜひ飼ってみたい!という先輩たちの熱意で、薩摩鶏がやってきたのが平成30年の5月。その翌年の3月には、薩摩鶏の品評会にエントリーして入賞しました。

昨年の薩摩鶏品評会の様子昨年の薩摩鶏品評会の様子

 

授賞式の様子授賞式の様子

さらに、「薩摩鶏の存在をもっと多くの人に知ってほしい。」という保存会の要望を受けて、薩摩鶏の羽根でキーホルダーを作り、お土産品として提案しました。

薩摩鶏の羽根のキーホルダーの試作品薩摩鶏の羽根のキーホルダーの試作品

薩摩鶏のためにできることって?

こうした先輩たちの活動を引き継いで、現在もオス1羽、メス2羽の薩摩鶏を飼育、種の保存と知名度アップのためにできることを考えてきました。

中川さん:種の保存のためには、たくさんの人に薩摩鶏を飼ってもらうのがいいんじゃないかと思いました。大人の鶏ではあまりかわいくないので、ひよこの時期から飼ってもらえるように、ひなが生まれる春先にスタートキットを用意して、給水器、給餌器、敷料(寝床用の稲わらもみ殻など)も提供したらいいんじゃないかなと考えました。

薩摩鶏のひな薩摩鶏のひな

スタートキットのケージの大きさは、薩摩鶏の1日の行動観察を繰り返したうえで、十分に動き回れるよう配慮して試作しました。

スタートキット試作品スタートキット試作品

このスタートキットにはユニークなシステムがあります。その名も「薩摩鶏残クレ(残高クレジット)システム」。ひなは半年ほどで成鶏(大人の鶏)になるので、その時点で、飼い続けるのか終了するのかを飼い主に判断してもらい、終了の場合は、薩摩鶏を含めすべてのキットを返却してもらうことで、半額程度キャッシュバックするというもので、より薩摩鶏の飼育にチャレンジしやすいように考えられています。これは、実際に薩摩鶏を飼っているからこその発想でした。

川北さん:薩摩鶏を育てるのは難しくはないですけど、おーよしよしよしって感じでかわいがることはできないので、犬や猫などのペットとは少し違います。採卵鶏のボリスブラウンっていう鶏は、時々つつくことがあっても、そこまで痛くはないんですけど、薩摩鶏の場合は、もろにとびかかってくるみたいな感じで、結構痛いです。保存会の方は、かわいがって育てた薩摩鶏ほどとびかかってくるとおっしゃっていました。

こうした点も配慮して、飼い続けるのはちょっと難しいと感じた飼い主からは、自分たちが引き受けて育てる。買い続ける飼い主には、継続キットを用意してアフターフォローを万全に。薩摩鶏にも飼い主にもできるだけストレスのかからない方法で、種の保存を図るシステムを考えました。

学校で飼っている薩摩鶏学校で飼っている薩摩鶏

このほか、知名度アップのために、毎年3月に開かれる薩摩鶏の品評会を、観光ツアーに組み込むことを提案。

品評会でリサーチしました品評会でリサーチしました

また、薩摩鶏の羽根を、地元いちき串木野市の指定無形民俗文化財の伝統行事「虫追い踊り」で活用してもらうアイデアも。

虫追い踊り虫追い踊り

「虫追い踊り」の踊り手たちは、カラフルな「矢旗」を身に着け、神社などを巡って踊りを奉納するのですが、その「矢旗」の飾りに羽根を使ってもらい、その“ありがたい”羽根でキーホルダーを作って商品化しようというのです。自分たちも担い手として「虫追い踊り」に参加していることから、このアイデアが生まれました。

虫追い踊りの練習風景虫追い踊りの練習風景

高校生賞を受賞して

中川 桃子さん 川北 実鈴さん 村上 想さん中川 桃子さん 川北 実鈴さん 村上 想さん

こうした盛りだくさんのプランを、ビジネスプランコンテストのプレゼンテーションでは、制限時間の5分にまとめて発表しなければならず、川北さんも中川さんも、練習に練習を重ねて本番に臨みました。

中川さん:すごく緊張しました。ほかの大会と雰囲気がぜんぜん違って…。審査員の方々が、質問だけじゃなくて意見もしてくださったので、普段できない経験ができて、よかったなって思います。

高校生賞の受賞は、薩摩鶏保存会のみなさんにも報告したそうです。

川北さん:コンテストで発表した内容を、保存会の方々にも見ていただいたんですけど、高校生がこれだけやってるんだから、我々もがんばりましょう!と言ってくださって、うれしかったです。」

二人を指導してきた草水博己先生はこう話します。
草水先生:この子たちが進路を切り拓いていくうえで、とてもいい経験ですよ。コンテストでは、審査員が手加減なしで辛辣な質問をしてくれて、これは高校生だけの大会ではなかなかないことなので、ありがたかったです。社会人と高校生が同じ土俵でやることの良さですよね。私自身も勉強になりましたし、楽しかったです。

まもなく三年生になる川北さんと中川さん。授業で養豚の専攻学習が始まるので忙しくなりますが、薩摩鶏をはじめ鶏の研究も続けていくつもりです。お二人に、将来の夢を聞いてみました。

川北さん:今は、アニマルウェルフェア(動物の幸せに寄り添う考え方・動物福祉)とか、アニマルセラピー(動物との触れ合いを通して心身の安定を目指す療法)とかに興味があります。でもせっかく勉強したから農業もいいかなとか…。いろいろ考えすぎて、まだ将来のことは定まってないです。

中川さん:せっかく農業高校という道に進んで、動物に触れあうことができたので、その経験を少しでも活かしていける仕事につけたらなあと思ってます。

じっくり考えながら、ひとことひとこと誠実に話してくださった中川桃子さんと川北実鈴さん。動物のことが大好きな気持ちが伝わってきました。

お二人が望む道に進めますように!応援しています。

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