2022年もあっという間に1か月過ぎました。お正月にバタバタと鹿児島のおせち料理を作って、7日は七草がゆ、11日は鏡開きでぜんざい作り、そして、節分は豆まきに恵方巻とこの1か月の間、無病息災や家族の健康や幸せを願う行事食を作ることが多かったです。料理上手でも細やかな方でもありませんが、母が季節ごとに作ってくれていたものをちゃんと伝えていかなきゃという思いで何とか作っています。
鹿児島のお正月料理
コロナ禍で今年のお正月は鹿児島への帰省を控えました。季節ごとに工夫しながら料理や保存食を作っていた母も89歳になり、一人暮らしの不安もあって、昨年から介護施設に入りました。少し弱っていた体も回復し、今は、施設で楽しく過ごしているのでその点は安心しています。しかし、県外への移動自粛はもちろん、介護施設は面会が限られているため、母になかなか会えないのが残念です。鹿児島にお正月に帰省すると、母がテーブルいっぱいの正月料理を作って出して、子供たちと一緒に「おばあちゃんの作るおせちは美味しいね」と言いながら、お腹がはち切れそうになるくらい食べていたのですが、もうそれも出来なくなったなあと寂しい気持ちです。
今年のお正月は、ずっと福岡の家にいたので、母が作ってくれた正月料理をいろいろ作ってみることにしました。
小さい頃から食べていた母が作る鹿児島の正月料理は、大体こんなメニューでした。
- お雑煮・・焼きエビでだしをとって、さといもや豆もやしなどの具材を乗せる
- 煮しめ・・大根や人参、ごぼう、こんにゃくなどを大ぶりに切って煮しめる
- ぶつ切り鶏肉のうま煮・・地鶏を甘辛く煮つける
- 昆布巻き・・中身の魚は、サバをつかう。
- こが焼(魚のすり身、卵、豆腐、砂糖を混ぜて蒸したもので鹿児島の郷土料理。伊達巻に似ている)
- ぶりのお刺身・・出世魚のぶりは、照り焼きや、博多のようにお雑煮に入れるのではなくお刺身で食べる。
- おばいけ・・クジラの尾びれと身の間の部分の肉で、酢味噌で食べる。
- 煮豆・・十六寸(とろくすん)豆を煮たもの。鹿児島では黒豆よりも使われている。
この他にも・紅白かまぼこ・エビのうま煮 ・酢ばす ・金柑の甘露煮 ・田作り ・さつまいもきんとん・紅白なます ・菊花大根 ・数の子 などが出されていました。
全部は作れませんでしたが、母が作っていたのを思い出しながらいろいろ作ってみました。
お雑煮
鹿児島のお雑煮は「焼きえび」でだしを取るのが特徴です。作り方は、以前記事にしましたので、以下を参照してください。

昆布巻き
鹿児島では、昆布巻きにはサバを使うことが多いようです。母もサバを巻いていました。
鶏肉の煮つけ
祖母の家では、正月料理のために飼っていた鶏をさばいていました。その光景を見たことはありませんが、正月に出された鶏肉のうま煮は、そうやって作られたものなんだと何か感謝して食べないといけないんだと子供心に感じていました。以前書いた記事で、出征兵士へのもてなしの一番のごちそうが鶏の煮つけだったと書きましたが、昔は、鶏の煮つけはお正月などにしか食べられない貴重なものだったそうです。その祝いのごちそうとして鹿児島では多くの家庭で作られているようです。
煮しめ
大ぶりの大根や人参を煮しめるよりも食べやすいかなと思って、福岡の郷土料理の筑前煮を作りました。
煮豆
鹿児島の家庭では、黒豆よりも白い十六寸(とろくすん)豆を使うところが多いようです。スーパーに十六寸豆が売ってなかったので、白花豆を使って作りました。


田作り

おばいけ
他にも、干し柿を入れた紅白なます、さつまいものきんとん、酢ばす、えびのうま煮などを作りました。
いろいろ作ると砂糖も本当にたくさん使いました。甘い味付けをしたり酢などを使って、お正月の間中食べられるように腐りにくくする工夫もあるのかなと思います。
今では、重箱に入れるおせち料理が主流ですが、祖母の家でも、私の実家でも正月料理を重箱に詰めることはありませんでした。一つ一つお皿に盛りつけて家族分を置くと、テーブルに載りきれない程になりました。鹿児島の他の方にも伺ったのですが、ご実家などでは、やはり重箱には詰めないで、一人一人出していたそうです。
昔は一人前の食器と食べ物を乗せる「膳」に盛られていたそうですが、その風習が残っているのかも知れません。
重箱から好きなものを取り分ける方が、お皿を洗う手間も省けるし、ふたも閉められるので保存しやすいですが、一人一人盛りつける手間を惜しまない昔からの母たちのやり方を受け継いでいかないといけないなあと思います。
今年のお正月料理が出来ました。

一人分はこんな感じです。最初にお雑煮だけ食べているので、その他の料理です。
盛り皿には、えびのうま煮、紅白かまぼこ、伊達巻(こが焼の代わりに)、酢バス、昆布巻き、鶏のうま煮を盛りつけました。

いろいろ作るため、1日中台所に立っている感じでしたが、なんとか鹿児島のお正月料理を並べることができホッとしました。
1月7日は七草がゆ
こうして、残った正月料理などを食べたりしていると、すぐに7日になります。
7日は七草がゆを食べます。1年間の無病息災を願うとともに、正月のごちそうを食べて疲れた胃腸をいたわる意味もあるようです。最近は、「春の七草」をセットにしてスーパーなどで売っており、私はそれを使って作りました。しかし、以前はそんな便利なセットは売られていなかったので、母は、畑の春菊やホウレンソウ、三つ葉など、身近で手に入る7種類の野菜を入れて作っていました。
1月11日は鏡開き
鏡開きは、お正月に神様や仏様にお供えしていた鏡餅を食べる行事です。
2年前までは、母がついてくれていた鏡餅を飾っていましたが、今年は店で購入したものです。
1年の無病息災を願ってぜんざいにして食べました。
2月3日の節分は豆まきと恵方巻
そして3日は節分です。
豆まきは昔からの風習ですが、節分に恵方巻を食べる習慣が日本各地に広まったのは、二十数年前の事のようです。
節分の日に母は作っていませんでしたが、今は、恵方巻を食べるのが一般的になっていますので、私たち家族もスーパーで買ったり、自分で作ったりしながら毎年食べています。
今年は、母が、運動会の時に必ず作ってくれていた昔ながらの海苔巻きを作りました。
今年の恵方の北北西(正確には北北西微北)にむかって黙って恵方巻を食べ、豆まきもして、今年の節分も無事終わりました。
昔からおせち料理、七草がゆ、鏡割り、節分など無病息災や家族の健康や幸せを願う気持ちを込めた行事食が作られてきました。完璧には出来ませんが、その気持ちは受け継いで、忘れることなく大事にしていきたいなと思います。