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「ぶらり旅」

南さつま市の金峰山で秋の空をながめてみました


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いつまで続くのかと思われた暑さがようやくおさまり、秋が深まってきました。久しぶりにどこかへ出かけたくなって、南さつま市の金峰山に登ってみることにしました。

金峰山は、本岳、東岳、北岳の三つの峰からなる標高636メートルの山で、九州百名山にも選ばれているそうです。ふだん遠くに望む金峰山は、稜線が「山」という字のような形に見えるのですが、麓に近づくにつれて見え方が変わって、しなやかで優美な姿になります。

どちらもとても美しい姿です。山頂近くまで車で行くことができて、そこから20分ほど歩けば頂上とのことで、しっかり歩ける靴をはいて出かけました。

金峰神社から本岳山頂へ

金峰山の頂上近くにある金峰展望所へは、南さつま市金峰町大坂(「おおさか」じゃなくて「だいざか」なんです)から、迷うことなく行くことができました。駐車場に車を止めて、いざ出発です。今回は3つの峰のうち、金峰神社の先にある本岳に登ることにしました。

入り口に鳥居がたっています入り口に鳥居がたっています

神社までの道は舗装されていて、なだらかな上り坂です。木々に囲まれて、少しひんやりとします。もうツワの花が咲いていました。

ツワの花ツワの花

 

なんの実なのでしょう、赤く色づいていましたなんの実なのでしょう、赤く色づいていました

5分ほど歩くと、立派な狛犬さんと鳥居が現れました。石段の先にお社が見えます。

石段の先にお社が見えます。

鳥居のそばの古い石燈籠には、たくさんの植物が生えていて蓬髪のようです。燈籠に彫られた文字はかなり風化していましたが、寛政5年と読めました。調べてみてわかったのですが、寛政5年は今から228年も前のこと、石燈籠はゆっくりと自然に還っていくのかもしれません。

寛政5年は今から228年も前のこと、石燈籠はゆっくりと自然に還っていくのかもしれません。

石段を登っていく途中、それはそれは立派な大木が出迎えてくれました。

カメラにはとても収まりきれませんカメラにはとても収まりきれません

苔をたくわえた幹にそっと手を当てると、思いのほか柔らかくしっとりとしていて、あたたかみを感じました。

苔をたくわえた幹にそっと手を当てると、思いのほか柔らかくしっとりとしていて、あたたかみを感じました。

お社に着くと、神様にごあいさつ。お社の左脇から入る、山頂に通じる道を歩き始めました。

登山道はきれいに整備されています登山道はきれいに整備されています

登山道は、階段状に整備された道で比較的歩きやすいのですが、途中からは少し勾配がきつくなり、よいしょどっこいしょという感じです。明日には足が笑うこと、うけあいです。ふうふう言いながら5分くらい登ると、本岳山頂に到着です。

ふうふう言いながら5分くらい登ると、本岳山頂に到着です。

ただ、ここは草木の丈が高くて、周りを見渡すことはできません。少し先に「鶴の展望台」との案内板がありましたので、もうひと頑張りすることにしました。ここからはごつごつした岩場の道になり、足元をしっかり確認しながら慎重に登っていくと、ようやく視界が開けました。

展望台には鶴のオブジェが展望台には鶴のオブジェが

うっすらと靄がかかってはいますが、素晴らしい見晴らしです。あたりは鳥の声と虫の羽音が聞こえるばかりで、とても静かです。切り立った高い場所に身一つで立っていると、爽快なのを通り越して少し怖いくらい!でも、日頃のこまこまとした悩み事は吹き飛んでしまいました。

うっすらと靄がかかってはいますが、素晴らしい見晴らしです。
こんな高いところにもチョウがいました。トンボもいました。こんな高いところにもチョウがいました。トンボもいました。

南へ渡る鳥たち

山を下り、駐車場にある展望台に上ってみました。

向こうにみえるのは吹上浜向こうにみえるのは吹上浜

展望台の上で、双眼鏡を手に鳥の観察をしている方に出会いました。この時期、サシバやハチクマという鳥たちが、南に渡っていく姿が見られるのだと教えてくださいました。しばらく目を凝らしていると、すっと黒いものが見えて、それがみるみる大きくなって、鳥だと気づきました。はるか頭上で、翼を広げたまま、ゆっくりと大きな円を描きながら高く高く昇っていき、やがて姿が見えなくなりました。

ひどいピンボケ写真でごめんなさい!こんな感じに見えましたひどいピンボケ写真でごめんなさい!こんな感じに見えました

サシバなのかハチクマなのか、はっきりとはわかりませんでしたが、上昇気流をとらえながら高く昇って風に乗り、南へ渡っていくのだそうです。鳥たちの長旅の無事を祈りながら、長いあいだ空を見ていました。自分の知らない世界を思うと、こころが広がってゆきます。

金峰山と秋の花々

帰り道、道路沿いの畑の一角に、見事なコスモス畑を見つけました。近くに行ってみると、「みんなのコスモス園へ」という看板と子どもたちの写真があって、地元のみなさんが種から育てた様子が見てとれます。夏の終わりの長雨や、長く続いた暑さに気をもみながら、大切にお世話なさったにちがいありません。

コスモス畑の向こうは金峰山コスモス畑の向こうは金峰山

 

色とりどりのコスモスが風に揺れて色とりどりのコスモスが風に揺れて

隣にはそばの畑があって、白くて小さなかわいらしい花を咲かせていました。

そばの花そばの花

 

コスモスとそばの花と、そして金峰山コスモスとそばの花と、そして金峰山

色とりどりのコスモスと白いそばの花、その向こうには金峰山。ひとの暮らしと自然がつくりだした美しい風景が、とてもありがたく感じられました。この日を境に北風が強まり、出水にはツルもやってきて、また少し、秋が深まりました。季節の移ろいを感じられる小さな行楽に、また出かけてみたいと思います。

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