新米シーズンですね。新米で炊いたごはんは、いちだんとふっくら艶やか。それだけでしあわせな気分になります。きょうご紹介するのは、そんなご飯のお供におすすめの一品。
お台所にいる時が一番しあわせと語り、お料理上手のスーパー主婦、田村欣子さん(87)のレシピからのご紹介です。ご飯と一緒に頂くと「止められない、止まらない」くせになる美味しさです。
新生姜の思い出
先日、ふらりと立ち寄った近くの物産館で新生姜を見かけました。「そういえば、新生姜の旬は、秋なんだっけ。」みずみずしくて柔らかそうな新生姜に秋を感じて、ある方のことを思い出しました。親戚の叔母さま、田村欣子さん87歳。ご高齢になって、今はお台所に立つことが出来なくなりましたが、お料理が得意で、手づくりのものを知り合いの方々におすそ分けするのを何よりの楽しみにされていました。
クルミやナッツ、ドライフルーツがいっぱい入ったこだわりのパウンドケーキも絶品でした。しっとり、ふんわりのパウンドケーキは大好評で、みんなの喜ぶ顔が見たいと、張り切って1日8本焼くほどでした。「新生姜の手づくりの佃煮、良く送って下さっていたなぁ」懐かしくなって、思わず2キロ買ってしまいました。
欣子さんの新生姜の佃煮レシピから
「よろしかったら召し上がって下さい。」と、いつもさりげなく送って下さっていましたが、ある年「どうやって作るんですか?」とお尋ねしたところ、自筆のレシピが送られてきました。もう何年もそのままになっていたのですが、きれいな新生姜と出会ったのを機に、欣子さんのことを思い出しながら、このレシピで新生姜の佃煮づくりに初挑戦することにしました。
材料(新生姜2キロ分の分量です)
- 新生姜(正味) 2キロ
- しょう油 400cc
- きび砂糖 400g
- 酢 360cc
- 酒 200cc
- ちりめんじゃこ (適量)
- 蒸しこんぶ (適量)
ちりめんじゃこ、蒸しこんぶは、2カップ弱くらい入れるそうです。
家に蒸しこんぶが無かったので、私はきざみ昆布で代用しました。
欣子さんの新生姜の佃煮のつくり方
せっかくなので、作り方は、お料理上手の欣子さんのレシピの記述通りにお伝えしますね。
- 新生姜は繊維に沿ってうす切り。水に次々と放ち、2回位水をかえて、ざるに上げる。
新生姜はパキパキ折って、切りやすい大きさに。スプーンで表面の汚れをこそげとります。あとはスライサーで、ひたすらスライス。欣子さんは、「新生姜の佃煮づくりは、切るのが一番大変で、これがひと仕事なのよ。」と嬉しそうに話していらっしゃったなぁ。確かに、この作業が一番大変かも… - ほうろう鍋かステンレス鍋に生姜を入れ(水はひたひた位)沸騰して15分(中火弱位)煮て、ざるに上げ、熱いうちにしっかりしぼる。
今回は、欣子さんからいただいた長年ご愛用だったステンレス鍋を使って作りました。このお鍋を使うと、何だか美味しく出来るような気がして…新生姜は水分が多いので、保存状態を良くするためにも、熱いうちにしっかりしぼるのがポイント。アチッ、チッ、と結構な熱さでしたが、ここが肝心!肝心!
- 調味料を沸騰させて生姜を入れはじめ、中央から煮ていく。
調味料が沸騰してくると甘酸っぱいいい香りが立ってきました。頃合いを見て新生姜を投入。レシピ通りの火加減で、煮詰めていきます。
- 早いうちにちりめん、蒸し昆布を入れ、弱火にしながら、汁気がなくなるまで様子をみながら煮ていく。焦がさないように…
弱火で煮詰めていくと、だんだんいい色になってきました。
いつもは、せっかち者の私ですが、「焦がさないように…」のひとことを心に留めて「ゆっくり、ゆっくり」を心がけました。
早速、新米にのっけていただきま~す!
欣子さんの佃煮には遠く及びませんが、見た感じは、あめ色のいい感じに仕上がりました。
ちょっとつまみ食いしてみると、美味しいです。新生姜の佃煮は、インターネットで検索すると色々なつくり方が出てきますが、欣子さんの佃煮は、甘すぎず、お酢の酸味が効いていて、あと口さっぱりの大好きな味です。
冷蔵庫に入れておいたら、味がしっとり馴染んできて、だんだんまろやかな味になっていく気がしました。早速、新米を炊いて、ますはシンプルにご飯にのっけて頂きましたが、ご飯がすすむこと、すすむこと。

お弁当に添えたり、おにぎりの具に入れたりもしていますが、炒め物や煮物の万能調味料としても使えるそうなので、この時期に、作り置きしておくと、とても重宝しそうです。今回は、冷凍保存しませんでしたが、ラップに小分けしてジップロックに入れて冷凍しておくと1年くらいは日持ちするそうですよ。
新生姜は日持ちしないので、手に入ったらすぐに調理することが大切。欣子さんは、この季節になると、いいものが手に入る度に少しずつ、何回かに分けて作り置きし、家庭の常備菜にしたり、親しい方たちにおすそ分けしていらっしゃったそうです。レシピを頼りに作ったら思いのほか、美味しく出来ました。
一枚のレシピにありがとう!
インターネットで検索すると、無数の美味しいお料理のレシピが出てくる時代になりました。私も困った時に、パパッとできる美味しそうなレシピサイトを活用させていただいています。でも今回は、それとは違った味わいがありました。自筆のレシピの中に、欣子さんのこれまで何十年も続けてこられた丁寧な台所仕事が詰まっているような気がして、一枚のレシピが宝物のように感じられてきました。
暮らしの中から生まれた「おいしいレシピ」はもっと身近なところにいっぱいあるんだろうな。レシピにまつわる思い出を辿りながら、宝のレシピ探しをまたしてみたくなりました。まずは92歳になった母のレシピから辿ってみようかなぁ…
欣子さんの思い出
欣子さんは長年、婦人之友・友の会のリーダーとして活躍され、家庭での生活を土台とした丁寧な暮らしの実践を続けてこられました。私が結婚した24年前、この本を送って下さいました。毎日の忙しさに紛れて、ゆっくりこの本を味わうことなく過ごしてきたことを反省。改めて読み返してみようと思いました。
作り置きにおすすめ!欣子さんご自慢の新生姜の佃煮
これから寒い季節がやって来ます。血行促進作用や体をあたためる効果があると言われている生姜。この時期に旬の新生姜の佃煮を作り置きしておくとすごく重宝しそう。食欲増進、疲労回復にも良さそうです。

欣子さんご自慢の新生姜の佃煮、とっても美味しいので、きれいな新生姜と出会ったら、ちょっと頑張って作ってみてはいかがでしょうか?