鹿児島から介護改革プロジェクトを始動させている特別養護老人ホーム・鹿屋長寿園の施設長林田貴久さんとその仲間たち。その志については、これまで「てのん」でも度々ご紹介してきました。
そのプロジェクトメンバーの思いを伝えるセミナーが鹿児島の3ヶ所(鹿児島市・霧島市・鹿屋市)で開催されることになりました。林田さんは、コロナ禍で介護現場が戦々恐々している今だからこそ「当事者が主体となる介護を取り戻そう」と参加を呼びかけています。
プロフィール
林田貴久(はやしだたかひさ)氏
社会福祉法人恵仁会の特別養護老人ホーム鹿屋長寿園の施設長。
鹿屋市を拠点に27の福祉事業を展開する一大福祉法人の統括本部長として総勢420名の職員を束ねる。鹿児島の福祉界を牽引するリーダーのひとり。
セミナー開催までのいきさつ
9月の初め、林田さんから「てのん」に嬉しいメールが届きました。
「てのんの映像を見ていただいた鹿児島介護労働安定センターの支部長(前田和朗さん)から連絡があり、これをもとにしたセミナーを開催していただけることになりました。3回、鹿児島市、霧島市、鹿屋市で行います。これも全て『てのん』のとのつながりのお蔭です。感謝いたします。」
ウェブサイトでご紹介した小さな記事をきっかけに林田さんたちが呼びかけている介護改革プロジェクトのささやかなお手伝いができたような気がしてとても嬉しく思いました。林田さんには、これまで「てのん」を通して、介護職の人材流出にどう対応していけばいいのか、介護現場はコロナ禍をどう乗り切っていくべきなのかなど、様々な提言を伺ってきました。
中でもコロナ禍の中で、介護現場の最前線に立つ仲間たちと立ち上げた介護改革プロジェクトの話は興味深く「3K」「リスクの高い職場」「人手不足」など、ネガティブな話ばかりが先行している介護の仕事を「人がその人らしく生きていくことを支援する」誇りある仕事として見つめ直し、当事者(高齢者、家族、介護に関わるスタッフ)が主体となる介護を取り戻そうという呼びかけに希望を感じ、共感しました。


県内3会場(鹿児島市・霧島市・鹿屋市)でセミナーが開催
セミナーでは、介護改革プロジェクトのメンバー4人が【LIFE IS ONESELF~人生は自分自身のもの】をテーマにシンポジウムを行います。プロジェクトメンバーは、鹿児島を拠点にユニークな介護事業を展開したり、セラピストとして活躍する40代から50代の個性派揃い。
介護現場の最前線に立ち続けてきたからこそ、介護現場で働く同志に「伝えたいこと」「伝えられること」があり、後ろ向きでない未来につながる話を届けたいとしています。また各会場では、それぞれのフィールドで地域医療に力を注ぐ医師の講演もあります。
コロナ禍の中での新しい介護のかたちをどう構築していけばよいのか、医療の専門家の立場から貴重な最新情報も聴くことが出来そうです。
セミナーを介護職同士の気持ちが繋がる場に…
今回、林田さんにセミナー開催の話を持ちかけた介護労働安定センター鹿児島支部の前田和朗支部長はこう話します。
「これまでも鹿児島労働局の委託を受けて、介護分野の人材確保のための雇用管理や職場環境の改善などの啓発セミナーを開催してきましたが、今回、林田さんたちの介護改革プロジェクトの話を聴いて、これは良いなぁと思いました。コロナ禍で介護職離れがさらに加速するのではと危惧されている中で、本来のあるべき姿を見つめ直すことで、ピンチをチャンスに変えていけるのでないかと思っています。事業所の中だけで悶々と悩んでいる人たちが、この場に出てくることで、共通の悩みに気づき、刺激を受け、新しいコミュニケーションが生まれてくることを期待しています。」
介護や福祉の職場は、外からの情報や刺激が入りにくく、その閉鎖性が指摘されてきました。働く人たちは、自分の気持ちを吐露したり、悩みを吐き出せる場所が少なく、ストレスの多い職場環境の中で疲弊して、離職していくケーズも少なくありません。
前田さんは、介護の職場が魅力あるものとなるためには、事業所や働く者同士が互いの垣根を越えてコミュニケーションをとり、繋がり合うことが大切だと話します。組織に頼らず、個人として繋がり合い、当事者としての主体を取り戻すことを目指す介護改革プロジェクトから「気持ちで繋がる志のネットワーク」が広がっていくことを期待したいと思います。
遠く離れていても、同じ思いの人がいる…
先日、そのことを感じさせてくれる出来事がありました。林田さんたちの介護改革プロジェクトの記事を見て下さった方から、このようなコメントが届きました。遠く富山県の看護師さんからの声でした。
「富山県で介護保険課におります。コロナ禍で、とやまで活動し始めた仲間達の会話中で黒岩さん(介護改革プロジェクトメンバーのひとり)を知り、調べていたら、先に林田さんに辿りつきました。コーラの話、泣きました。同感です!いつか会える日を夢見て。10万人のひとりになるにはどうすればいいですか。」
林田さんのお話に共感して下さった想いが、ひしひしと伝わってきました。会ったことは無くても、同じようなことを考え、「何かを変えたい」と思っている人たちが全国各地にいることを肌で感じました。その人たちの声が繋がり合って、束になった時、今、介護現場の人たちが感じている「何か変?」を変えていく力になるのだろうなぁ…
セミナーに参加して、未来に繋がる話をしよう!
セミナーは、それぞれの会場が定員40名で、参加費は無料です。介護分野で働く人はもちろん、障がい者の福祉分野で働く人たちも参加することが出来ます。
「各会場でお話をして下さるドクターも、それぞれ地域の第一線で活躍されているすごい方ばかりです。コロナ禍で、みんなどこか内向きになっている今だからこそ、介護をめぐるネガティブな部分も含めて僕らの思いを伝えて『このままでいいのか?』という問いかけをしていきたい。この仕事の本質をみんなで再確認し、個人が埋没しない働き方を共に考えていければと思っています。一緒に未来に繋がる話をしましょう。」
介護という仕事の原点を見つめ直し、この仕事の明日を共に切り拓いていこうというセミナー、あなたも参加してみませんか?
セミナーのご案内
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