お友達のお母様が、毎年この時期になると作っているという新生姜の甘酢漬け。
美味しくて子どもや孫にも大好評。日持ちするので、作り置きしておくと、魚やお肉料理の添え物やちょっとしたお酒のつまみにも大活躍するそうです。
夏バテしそうな時の食欲増進にも重宝しそう。新生姜は新鮮なうちに作ってしまわないとダメよ…ということでお台所にお邪魔してきました。
極ウマのらっきょうの即席漬けレシピまで教えてもらって、我が家の夏スパイスが増えました。美味しくて驚くほど簡単!みなさんも作ってみてはいかがでしょう?
新生姜の旬はいつ?
初夏から夏にかけて、みずみずしくて柔らかい新生姜が出回ります。てっきり新生姜の旬は夏と思っていましたが露地ものの旬は秋(11月の頃)なんだそうです。
夏の新生姜の多くはハウス栽培されたものですが、色が白く、赤い茎がついていることからほんのり桜色に染まる甘酢漬けをこの時期につくる方が多いようです。甘酢漬け…お寿司屋さんに常備されているいわゆるガリですが、殺菌作用がある他、食欲増進やお弁当対策など夏場に常備しておくととても便利な保存食です。
時政啓代さん(80)も毎年この時期に新生姜の甘酢漬けをまとめて作っています。夫の享さん(83)はもちろん、近くに住む娘や孫たちも大好きで、毎年これができるのを楽しみにしているんだそう。
みんなの分まで張り切って作ります。全国一の生姜の生産地、高知県からお取り寄せしたという新生姜を使ってその作り方を教えていただきました。
まとめて作っておけば、これは重宝!
啓代さんは、この甘酢漬けを「酢しょうが」と呼んでいます。焼き魚の添え物、煮つけの風味づけ、お寿司の具材にと…とにかく重宝して、夏の食卓に欠かせないそうです。
「新生姜は傷みやすいので手に入ったら出来るだけ早く作ることが大事よ。」と啓代さん。手慣れた手順で作り方を教えて下さいました。今年は2キロの新生姜を2回に分けて作りました。
「はちみつ」を使うのが私流
新生姜の甘酢漬けというと砂糖とお酢で甘酢をつくって新生姜に漬け込むという作り方が一般的ですが、啓代さんの「酢しょうが」は、はちみつとお酢をそのまま入れて、新生姜に漬け込むというとても簡単なもの。
甘酢をつくるひと手間が省けるので、何かと忙しい主婦にとっては、大助かりのレシピです。はちみつの優しい甘さでしょうがの辛味もまろやかになって、とても美味しい。味見させていただいて、私もこれは作ってみたい!と思いました。
啓代さんの新生姜の甘酢漬け(酢しょうが)のつくり方
- 新生姜を切りやすい大きさに折って、さっと洗います。皮はむかずにスプーンで表面をこそげとります。
- 薄く切る。出来るだけ薄く切った方が美味しくできるそうです。「スライサーを使うと便利よ。」と啓代さん。線維にそってスライスするとシャキシャキ感が出るそうです。
- たっぷりの熱湯にスライスした新生姜を湯通します。湯通ししたら、やわらかくなって味もしみ込みやすいとのこと。啓代さんは5分程度、ゆがくそうですが、新生姜の辛味を楽しみたいという方は、サッと湯通しする程度に。
- そのままザルに上げて自然に冷まします。
- 冷めたら、煮沸消毒したガラス瓶にしょうがを入れて酢とはちみつを注ぎ入れます。啓代さんは酢を7~8割。残りの2~3割、はちみつを入れているそうが、割合はそれぞれのお好みで調整して下さいとのこと。
- 冷蔵庫で保存。2~3日経てば、美味しく食べられるようになるということで、「冷蔵庫に入れておくと、軽く2~3ヶ月は日持ちするから、常備しておくと便利よ。」と啓代さん。
あっという間に出来てとても美味しかったので、私も作ってみました。しょうがをもっと薄くスライスしたら、啓代さんの酢しょうがみたいに美味しくなったのに…と思いましたが、それでも十分に美味しく出来ました。
甘みが足りないなぁと思ったら、漬け込んだ後からでも、味を見ながらはちみつを足していっても良いですよ。私も何度か、はちみつを加えて好みの味に仕上げました。
啓代さんのおっしゃる通り、この自家製ガリを常備しておくと、ことのほか便利で、そのまま食べたり、ご飯に刻んで混ぜたり、酢の物に入れたりと色々アレンジを楽しんでいます。あっという間に無くなりそうです。
漬け汁(シロップ)は調味料やジンジャードリンクに…
甘酢漬けのつけ汁は、すし酢やあえ物などの調味料として使えるそうですが、あたたかいお湯を加えて蜂蜜ショウガ湯にしてもよし、炭酸水で割ると、自家製ジンジャエールになって、ミントをいっぱい加えるとさらに爽やかな夏のドリンクになりそうです。
しょうがは古くから漢方の生薬としても用いられ、古書には「しょうが百邪を防御する」とあるほどです。日本古来のハーブとも言われ、体をあたため、血行促進や疲労回復、殺菌、食欲増進など様々な健康効果があると言われています。
「しょうがは、体にいいでしょ。今この時期にまとめてつくっておけば、みんなが暑い夏を乗り切るのに良いでしょ。」と啓代さん。毎年欠かさずせっせとつくる酢しょうがは、夫の亨さんや子どもや孫たちに代わって、家族の健康を願ってつくる愛情の一品なのです。
もう一品、これは簡単!らっきょうの即席漬け
「これもすごくおいしいよ。」と啓代さんが、冷蔵庫から取り出して見せて下さったのが、らっきょうの即席漬け。これも大人気の夏の常備食なんだそうです。
そのまま食べてもおいしんですが、そうめんのツユや冷ややっこの薬味として使ったり、納豆に混ぜたり、かき揚げに入れると一段と美味しくなるんだそうで、まとめて作り置きしていても、すぐに無くなってしまうそうです。
味見させていただいたらこれまたすごくおいしい。作り方をお尋ねしたら、「材料をまぜるだけよ。」(笑)え~っ!ほんとに~?ラッキョウ好きの我が家なのですが、今年もラッキョウを漬けるタイミングを逃してしまった私。これは作るしかない!と、早速作ってみました。
混ぜるだけらっきょうの即席漬けは、夏の万能薬味!
■材料(らっきょう1キロ分の分量)
無農薬のらっきょう1キロ
漬け汁の材料 ザラメ200g 酢1カップ
塩昆布2袋(約130g) かつおパック6袋 ごま適量
らっきょうの旬は5月から7月。今年も甘酢漬けや塩らっきょうを漬けたよという方も多いかもしれません。旬も終わりの頃でしたが、らっきょうが手に入ったので、即席漬けだったら、今からでも間に合うと啓代さんのレシピに倣って2キロのらっきょうで作りました。
らっきょうの即席漬けのつくり方
- 【下処理】(これは甘酢漬けや塩ラッキョウの時と同じです。)
大きめのボウルにらっきょうを入れて、流水にさらしながら軽く揉み込むように洗います。洗っている間に薄皮が剥がれます。残った皮は手でむいて、先端の茎とひげ根を切り落とします。もう一度洗って薄皮をきれいに取り除きます。 - 【しっかり水切り】
ざるに上げて、キッチンペーパーで水気をふき取ります。保存状態を良くするためにもしっかり水切りすることが大事です。 - 【漬け汁をつくる】
漬け汁の材料をすべて合わせて、かき混ぜます。この段階でザラメは完全に溶けていないかもしれませんが漬け込んでいるうちに、溶けて馴染んでくるそうです。塩昆布とカツオパックでいい出汁が出てきます。
- 【漬け汁を注いで保存】
殺菌消毒したガラス瓶にらっきょうを入れて、漬け汁を注ぎ入れ冷蔵庫に保存。1週間もすると、生っぽさが消えて、カリカリ歯ごたえの即席漬けが出来上がります。そのまま食べて、夏場の疲労回復や滋養強壮に、またスパイスとしてお料理のアレンジに活用すれば、食欲増進にもひと役かってくれそうです。
美味しくできるワンポイント
啓代さんによると、らっきょうは小ぶりでキュッとしまった形ものを選ぶと食べやすくて漬け汁もよくしみ込んで美味しくできるそうですよ。どのくらい日持ちしますか?と尋ねたら、「無くなるまでよ。」(笑)そのくらいすぐに食べ終わってしまうみたいです。確かに、本当にすぐに出来て、私の家でも夏が終わる前に、あっという間に食べ切ってしまいそうです。夏に最適の万能薬味、らっきょうが苦手じゃない方には、とてもおススメです。
啓代さんの台所ごよみ
主婦歴60年の啓代さんのお台所から生まれたレシピは、どれも難しくなくて、すぐに役立つものばかり。お友達に聞いたりして良いなと思ったものをつくってみて、自分なりにアレンジして、わが家流の味にしてきました。特に季節ごとにつくる保存食は欠かせない台所の年中行事です。
今年漬けた梅酒もありました。「2~3ヶ月もしたら飲めるようになるよ。」と嬉しそう。梅のエキスが出やすいと聞いて、今年は24時間冷凍した梅を使った梅酒づくりにも挑戦。毎年、少しずつ工夫と改良を加えています。
秋になると手づくり味噌をつくり、そのお味噌を使って鹿児島の郷土料理の豚味噌もつくるんだそうです。つくったものは、仕事や子育てに忙しい子どもや孫たちにもお裾分けしています。
人から人へ伝えていきたい「ことづけ」をお伝えしている「てのん」ですが、啓代さんから教わったレシピの一品をつくりながら、それぞれの家庭にある「レシピ」の中には、しあわせがいっぱいつまっているんだろうなぁと思いました。
どのお家にもお台所の数だけとっておきのレシピがあるんでしょうね。レシピにまつわるものがたりをお聞きしながら、またどこかのご家庭を訪ねてみたいなぁと思いました。