新型コロナウイルスの影響で、学校が臨時休校になったり、催し物が中止や延期になったりして、これまで経験したことのない春になりました。
先の見えない不安で、おとなも子どもも心塞ぐ日々です。人混みや換気の悪い場所への外出は控えるようにとされていますが、体調に問題がなければ、広い公園や自然のなかへは出かけてもいいようです。
桜にはまだ早いとは思いながらも春の息吹を感じたくて、いちき串木野市の観音ヶ池公園へとでかけ、串木野麓や照島へも足を延ばしましてきました。
観音ヶ池公園へ
桜の名所として知られる、いちき串木野市の観音ヶ池公園。国道3号線からのルートもありますが、山あいをはしる日置広域農道から行くと、途中あちこちでヤマザクラが見られるのでおすすめです。
残念ながら今年はもう満開を過ぎていましたが、ヤマザクラのうす赤い葉もまた素敵です。芽吹き始めた木々の若葉が、すがすがしい気持ちにさせてくれます。
観音ヶ池公園には、まだ咲いているヤマザクラがありました。
なんという名前のサクラなのでしょう。濃い桃色のサクラが満開でした。
ソメイヨシノは、つぼみがだいぶ膨らんで…。
池のほとりにレンゲを見つけました。ツツジも咲き始めていて、春がいっぱいです。
イチョウの木をよく見てみると、小指の先ほどに膨らんだ木の芽から、2~3ミリほどの大きさの若葉が芽吹いていました。
小さいながらも、ちゃんとイチョウの葉の形をしています。こんなに間近で見たことがなかったので、感動しました。
串木野の麓へ
せっかくいちき串木野市にやってきたので、鹿児島の日本遺産「薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群麓を歩く~」のひとつ、串木野麓を訪ねてみました。
島津4兄弟の末っ子、島津家久が地頭として治めていた頃につくられたという串木野麓。
周辺の宅地化が進んで、当時の面影はところどころにしか残されていませんが、南方神社は風情あるお社でした。
苔むした階段を上っていくと、「文政9年丙戌」と刻まれた鳥居。あの西郷隆盛が文政10年生まれですから、ほぼ同い年です。
崩れ落ちる危険があるとのことで近づくことはできませんでしたが、幕末からここでずっと世の移り変わりを見続けてきたかと思うと、古老に出会ったような気持ちです。
このまま無事でいてくれるといいのですが…。人の気配に驚いて、狛犬さんのそばからカエルが飛び出してきました。
南方神社の近くには立派な武家門がありましたが、今もどなたか暮らしていらっしゃるので、そっと眺めるだけにしました。
海を見たくて照島へ
緑に囲まれた南方神社をあとにして、目指すは広々とした海。照島を訪ねました。
不老不死の薬を探しにやってきた徐福が上陸したと伝えられ、薩摩焼の陶工たちが初めて上陸したのもこの照島だそうです。
橋を渡ると遊歩道があり、のんびり散策していると照島神社が。さらに進むと東シナ海を一望できるところへでました。
春の日差しに輝く静かな海を眺めていると、心が晴れやかになっていくようでした。
地元のお店で食事をしたり、お土産を買ったりして、すっかり旅気分。陽の光や風を感じながらの散歩は、コロナ禍で日常が日常でなくなったような緊張感から少しだけ解放され、とてもいい気分転換になりました。
行く先々で、散策を楽しむ方々の姿を見かけ、みなさん「コロナ疲れ」を癒そうとしていらっしゃるのかなと感じました。
新型コロナウイルスの感染が一日も早く収束して、いつもの暮らしが戻ってくることを願うばかりです。