出かけたのは、鹿児島市にある臨済宗のお寺。
実家の菩提寺ということもあり、良く足を運んでいますが、とても落ち着く場所です。
禅寺のお庭の静かで整った佇まいは、気持ちを穏やかにさせてくれます。
そろそろ梅の花が咲き始める頃と思って出かけました。
冬の寒さに耐えながら、一輪、また一輪と花を咲かせるその姿は、凛とした美しさが魅力。お正月の神社仏閣めぐりも良いですが、少し落ち着いて静けさを取り戻したこの頃のお寺もとても良いものです。
庭に足を踏み入れると、蝋梅(ろうばい)が迎えてくれました。冬から春にかけて、蝋細工のような半透明の花びらが甘い香りを放ちます。
まだまだ厳しい寒さが続くけれど、年が明け、春がじきにやって来るような気がしてきます。
水を用いず白砂や石を水に見立てて景色を表現する「枯山水」の庭は、室町時代の禅宗寺院で生まれ、限られた空間で大自然を表現するという日本庭園の様式美を伝えるものです。
人の手によって、熊手で砂紋(さもん)が描かれています。
いつ来ても、整った庭の佇まいに触れていると、自然と心が落ち着いてきます。
ちょうど光明禅寺の前住職、松本憲融先生にお会いしました。
「砂紋は、「波」「波濤」をあらわしているんですよ。禅の庭は、その時、どう見えるのか各々の心をあらわす庭だと思います。去年、梅の強い選定をしたので、今年は梅の花付きはいま一つだけれど、他の花も見て行ってね。」
庭を見渡すと、清浄な空気を感じて、日頃の慌ただしさも忘れてしまうようでした。
先生が境内の中もご案内して下さいました。
境内に掛かる軸も見せて頂き…
「極めて誠実なこと、またその心。まごころ。」
相国寺の管長・有馬頼底師の書
「勇気をもって、物事に屈せず前に進め。その心が大事。」
京都清水寺 森清範管主の書
「常に今この時が大事、良し悪しに一喜一憂することなく、今この時を大事に、日々を大切に生きる。」
一つひとつの言葉が、今の自分に贈られた言葉のように感じられました。
また、奈良東大寺の清水公照師(華厳宗管長)のこんな言葉も教えて下さいました。
「もっとアホになったらええ」煩悩がないというのは人間でない。
悩んだらよろし 悩んで悩んで 悩みぬいたときに出る心の汗が
自分の人生を浄めてくれるのだ。
清水公照(奈良東大寺)
忙しい現代人にとって、日常的にお寺との接する機会が少なくなってきていますが、その門の中には、多くの教えがあることを改めて感じました。
臨済宗・相国寺派 光明禅寺の座禅会のご案内
開催日:毎週火曜日 午後6時半~8時
会費など無料
住所:鹿児島市草牟田1丁目9-29
TEL:099-223-6434