「うちの銀杏の木のもとで集まって遊ぶんだけど、来ない?」との知人のお誘いを受けてお邪魔して来ました。聞けば、銀杏が色づき、黄金色になる頃、毎年お友達を呼んで銀杏を楽しむ集いをしているんだとか。
今年はちょっとまだ早いとの事でしたが、東京から帰省した同級生の里帰りに合わせて、同級生のみなさんが集まっていらっしゃいました。
みなさん70歳を超えた元気シニアのお父さん方。一杯?飲みたいと一時間近くかけて歩いてやって来た方もいらっしゃいました。
「もうちょっとすると、黄金色の銀杏が一面に広がるんだけどねぇ。」と、この会の亭主、梶原純一さん72歳。
「春にはここで桜の花を囲んでお花見会。ここであくまきづくり(子どもの日の頃に作る鹿児島の郷土料理)もするんだよ。ここは私のあそび場」とお話し下さいました。
自宅近くにある敷地を自分で切り開いて、畑を作ったり、季節の花々を植えたり、みんなで集えるゲストハウスまで自分で手づくりして、こうして四季折々の集いを仲間たちと楽しんでいるんです。
おもてなしの主役は、もちろん色づく銀杏ですが、帰省した同級生のために鹿児島らしいお料理のご用意もありました。
梶原さんの奥様手づくりの落花生豆腐にさつまあげ。
そして、梶原さんが前日の夜に作ったという豚汁。
豚汁は、男の料理っぽく野菜が大ぶりにゴロゴロと入っていて美味しそう!
「お~かごしま尽くしだぁ~」と帰省した同級生も嬉しそう!
あれ?あれ?この方、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。NHKの元アナウンサーの寺田道雄さん!故郷の鹿児島支局時代はテレビでもお馴染みでした。
関東在住で、今も向こうで朗読教室の先生やナレーションのお仕事でご活躍とか。故郷を離れて暮らす人にとって、両親が亡くなると故郷が遠くなってしまうもの。こうして同級生との再会が、故郷を感じるかけがえのない時間です。
芋焼酎のお湯割りでみなさんほろ酔い気分です。
時折、銀杏の葉が、テーブルやお皿にハラハラと落ちてきて、秋色に包まれます。
ご一同は、中高一貫の鹿児島屈指の男子進学校出身。古希を過ぎ、今は定年退職後の第二の人生を謳歌中です。
芋焼酎を酌み交わすと…話は、当時の初恋や失恋話など、青く懐かしいお話に…何だか、みなさん少年の頃に戻ったよう。
この日の亭主、梶原さん。
実は鹿児島市の平川動物公園の獣医さんとして長年勤めてきた方です。
在職中も野生動物の生態をこの目で見たいとアフリカ縦断したり、「コアラを鹿児島に連れてくる会」を作って、今から34年前、東京、名古屋と同時に日本で初めて鹿児島にコアラを連れて来るのに尽力した仕掛け人の一人でもあります。
今は、このあそび場を手づくりし、みんなと自然遊びをするのを楽しみにしています。
「鹿児島市内の住宅街の団地のすぐ近くに、こんな場所があるって知らなかったでしょ。ここで私は遊んでるわけ。仕事のしがらみやそんなの全然ない仲間がここに来て、遊んでいけば良い。この年になると、気の合う仲間同士こうして自然を楽しみながら、飲ん方、食べ方して和気藹々過ごすのが楽しいよ。」
梶原さんは、今シーズン、銀杏の木が黄金色に輝き、黄葉のカーペットに包まれる頃まで、あと6回、お友達を招いての銀杏を愛でる会を開くそう。
獣医の仕事は卒業。今は自由人となって、おもてなしの小さなゲストハウスを作ったり、自宅の横には石焼ビザ窯を作ったり、みんなを喜ばせ、集う場所づくりに忙しそうな梶原さん!
「春には、タケノコ堀りやあくまきづくりもするから、またおいでよ」
何だか楽しそうなところです。
定年退職後の男の居場所探しなんて言葉がささやかれていますが…
こんなシニアライフがあるっていいなぁ~
12月上旬には、このあたり一面が黄金色の銀杏の葉カーペットで敷き詰められます…