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福岡で「ぐいパンプロジェクト」を立ち上げた 神戸海知代さんpart2

執筆:

福岡で広告の仕事をする傍ら、手ぬぐいから子供用のパンツを作る「ぐいパンプロジェクト」をスタートさせた神戸海知代さん。

「ぐいパンのおかあさん」という縫製で「ぐいパン」を支える人たちの輪を作り、ファッションデザイン専門学校の学生さんたちに「ぐいパン」を縫う授業を取り入れてもらうなど、さまざまな人と関わりながら、プロジェクトを展開しています。

「ぐいパン」は昨年度の福岡市トライアル優良商品認定事業の認定商品にも選ばれました。

手ぬぐいで作った子供用のパンツ「ぐいパン」
知人から譲り受けた博多山笠の手ぬぐいで、1歳半の息子さんにパンツを作ったのがきっかけでした。

神戸 海知代さん
神戸 海知代さん

「気持ちよさそうにはいている息子を見て、直感で、がんばったらいろいろ面白いことが出来るかも・・と思ったんですね」

手ぬぐいに着目したのは、生地の特性にもあります。

「手ぬぐいは綿100%で、洗うごとに布が柔らかくなって肌なじみが良く、通気性も優れています。また、布も丈夫で、洗たくしてもすぐ乾くので、着替えが多い小さいお子さんのパンツには最適だと思ったんです。
そして、家事や育児で忙しいパパやママが子育てをもっと楽しめるようにしたいと思ったんですね。」

神戸さんは、さっそく商品化に向けて動き始めました。

手ぬぐいを仕入れる

まず博多山笠の手ぬぐい。博多が生んだグラフィックデザイナー・童画家の故西島伊三雄さんの描いたものです。山笠の法被を着た子供などがデザインされています。

博多山笠のぐいパン
博多山笠の「ぐいパン」

商品化するにあたり息子の西島雅幸さんに手ぬぐいの使用許可をお願いしたところ快諾してくださったそうで、博多らしい「ぐいパン」を作ることが可能になりました。

また、他の様ざまなデザインの手ぬぐいは、大阪の老舗の手ぬぐいメーカー「宮本株式会社」と交渉。そこから仕入れることが決まりました。

次にパンツのデザインです。縫製の専門の方たちと相談し、子供のおしりに気持ちよくフィットするように、型紙の取り方など試行錯誤を繰り返しました。

そして、博多山笠の「ぐいパン」は、手ぬぐいに描かれた子供の姿がきれいに出るように、山笠の手ぬぐいを2枚使用し、豆絞りの手ぬぐいと合わせて合計3枚で作ることに決めました。

ほかの手ぬぐいは、カラフルな色の違った2枚の手ぬぐいを使って作る事にしました。

並んだぐいパン
並んだ「ぐいパン」

次に商品化するには、量産体制をどうするか?です。

「ぐいパン」のおかあさんの誕生

神戸さんは、縫製会社にお願いするという方法を取りませんでした。

仕立てや洋服のし直しなどを個人でしてらっしゃる方たちに発注して縫ってもらっています。神戸さんは、「ぐいパン」を陰で支える縫製の方たちを「ぐいパンのおかあさん」と呼んでいます。

知人が、またその知人を紹介していくという人のつながりの中で「ぐいパンのおかあさん」を集めました。

現在、「ぐいパンのおかあさん」は4人です。

その「ぐいパンのおかあさん」の一人、池辺一二三さん81歳です。

池辺一二三さん(81)
池辺一二三さん(81)

現在も現役で洋服・和服のお直し・仕立てなどをご自宅でされています。
60過ぎまでは会社にお勤めし、その後たっぷりある時間の中で、洋裁や和裁の仕立ての仕事を始めようと思い立ったそうです。

「私たちが若い頃は、既製品というものが少なくて、自分の服も子供の服も全部手作りだったんですね。だから長年洋服を作って来た技術が生かされるんじゃないかと思って始めたんですね。しかも、ミシンがもったいない。70年以上使っているんですが、まだちゃんと動くし調子もいいんです。私が洋裁しなくなったらミシンがもったいないでしょ。」

依頼があって縫われた博多山笠の法被
依頼があって縫われた博多山笠の法被
久留米絣を使って縫われたご自分のワンピース
久留米絣を使って縫われたご自分のワンピース

池辺さんの洋裁部屋です。
70年以上使い続けている池辺さんの相棒で、「ぐいパン」も縫われています。

池辺さんの洋裁部屋
池辺さんの洋裁部屋
70年使い続けているミシン
70年使い続けているミシン

「神戸さん、まだお若いのに本当に頑張ってらっしゃいますし、私もまだまだ体も動きますので出来るだけご協力したいと思っています。しかも年金暮らしの中で、少しずつお小遣いもいただけるし、この歳でも社会の中で何かお役に立っているという実感もありますので。」

「ぐいパン」が縫いあがったら神戸さんが検品も兼ねて「ぐいパンのおかあさん」の所に取りに行きます。

「ぐいパン」が縫いあがったら神戸さんが検品も兼ねて「ぐいパンのおかあさん」の所に取りに行きます。

「一二三さん、バリバリの現役ですよね。これからの時代、年金とかあまり頼れなくなりそうなので、どうやって現役を続けながらやっていくかという事が大事な時代になってくると思います。

その中で、例えば会社とか組織に入らなくても、「ぐいパンのおかあさん」と同じように、ネットワークの中で自分の得意な分野を生かしながら仕事を続けていくことが出来たらと思うんです。」

ネットワークの中で自分の得意な分野を生かしながら仕事を続けていくことが出来たらと思うんです。

「私も会社を辞めているんですが、子育てしながらこのまま会社を続けたらきついなあと思う時もあったんですね。でも仕事を辞めても、こうした人と人との繋がりの中で自分のペースで仕事ができ、収入も得られるようになったらいいなあと思うんです。

しかも「ぐいパン」は、その方にとってワンオブゼム(たくさんの中の一つ)でいいんです。

例えば「ぐいパン」でできたネットワークをさらに自分のジャンルにも生かすとか、何かそういうきっかけになればと思うんですね。」

そして、いよいよ販売の体制が整いました。

博多山笠の「ぐいパン」は、手ぬぐいを3枚使うので、3,380円~
そして2枚の手ぬぐいを使う「ぐいパン」は1,540円~と価格を設定し、2017年2月から、ネットショップでの販売をはじめました。

「ぐいパン」>>

ネットショップでの販売

短期大学などとのコラボが実現

ネットショップでの販売を始める一方で、「ぐいパン」を通してどんな事ができるのか、いろいろな可能性を求めて神戸さんは積極的に行動を始めました。

その中で実現したのが、福岡市の香蘭ファッションデザイン専門学校の生徒にぐいパンを縫う授業を取り入れてもらったことです。

「知人から専門学校の先生を紹介していただき、1年生の生徒さん30人に縫ってもらいました。「ぐいパン」は縫い方もシンプルですし、ミシンやロックミシンを使って縫うちょうど良い教材として使っていただき、ありがたかったですね。」

そして生徒さんたちが作った「ぐいパン」は、型紙と生徒からのメッセージとセットにして、先日の限定ショップでも販売しました。

ぐいパン手作りセット
ぐいパン手作りセット

香蘭ファッションデザイン専門学校のファッションショーに息子さんと参加

 

香蘭ファッションデザイン専門学校のファッションショーに息子さんと参加

「こうした授業を通して、若い世代に「ぐいパン」を知ってもらう機会にもなりますよね。それから、例えば池辺一二三さんが縫製のスペシャリストとして学生さん達に授業をするとか、今後、違う世代が交流できる機会も作っていきたいですね。」

さらに今後、香蘭女子短期大学の先生とコラボも計画中です。

「ライフプランニング総合学科という学科があるんですが、その授業の中で『どうしたら「ぐいパン」を広めていく事ができるか?』というテーマで、学生さんたちにいろいろ考えてもらう事になりました。

「ぐいパン」はまだ正直儲かっていないんですが、例えばどうしたらもっと売れるか?とか学生さんたちにマーケティング戦略を考えてもらったり、また、「ぐいパン」を通して、子育てや家事も楽しみながら、働くための新しい女性の生き方を考えてもらったりしてほしいと思っています。」

「ぐいパン」が福岡市トライアル優良商品に・・

福岡市は、優れた新商品を「福岡市トライアル優良商品」として認定する事業を行っていますが、「ぐいパン」は昨年度の優良商品に選ばれました。

福岡市トライアル優良商品に認定
福岡市トライアル優良商品に認定

福岡市トライアル優良商品に認定

「知人から事業の事を聞いて、申請してみようと思って書類を出したら、選んでいただいたんですね。本当に幸運でした。認定商品に選ばれると、市のホームページに掲載してもらったり、市役所が開催する展示会へ出店できるなど、福岡市が広く㏚してくれるメリットがあるんです。」

モノづくりフェアー2017に参加
モノづくりフェアー2017に参加

また、先月23日~29日には、大阪高島屋で「ぐいパン」の期間限定ショップも実現させました。

大阪高島屋での期間限定ショップ
大阪高島屋での期間限定ショップ

身寄りも知人もいない福岡に来てまだ2年半という短い期間の中で、コピーライターとしての広告の仕事も軌道に乗り、それと並行して「ぐいパンプロジェクト」も着実に進展しています。

神戸さんは周囲の方を取り入れながら物事を成し遂げていく巻き込み力のある方なんだと思います。

「『仕事の仲間』とか『ママ友』とかいうセグメント(分割とか部分という意味)された集まりではなく、いろいろな職種・立場・世代の人が交わりながら仕事ができる社会が理想ですかね。

「ぐいパンプロジェクト」にいろんな方を巻き込んでいますので、その方たちが楽しみながら、しかもきちんと収入があるように、体制を整えていかなければと思っています。

「ぐいパン」の試みがこれからの女の人の新しい生き方の選択肢の一つになっていけたらと思っています。」

大人ぐいパンへの挑戦

「大人の場合、手ぬぐいが4枚~5枚必要で、単価も高くなるとは思うんですが、「大人ぐいパン」もやってみたいですね。「大人ぐいパン」は、クラウドファンディングという新しいアプローチで挑戦してみたいと思っています。」

※クラウドファンディング・・こんなものを作りたいなどのアイデアやプロジェクトを持つ発案者が、専用のインターネットを通じて世の中に呼びかけ、共感した人から広く資金を集める方法。

現在は、3歳の息子さんを保育園に預け、仕事をこなす神戸さん。
家事や育児をご夫婦で協力しながら、お子さんと過ごす時間も大事にされています。

「会社にいた頃は、どうやって時間を作るか精いっぱいの毎日でしたが、今は、24時間をどう使うか自分で設計できるようになりました。それが福岡に来て進化したことですね。」

取材を終えて

妊娠・出産を機に、「会社の枠にとらわれない別の生き方もしてみたい」と漠然と思い描いていたことを、福岡という新天地で、少しずつ具現化している神戸さん。

会社組織にいたら思い通りに動けない部分も多かったと思いますが、今、神戸さんは、自分の判断・行動力で自由に新しい生き方を模索し、一つ一つ形にしています。その自分で生み出す楽しさを感じてらっしゃるように思いました。

柔らかでふんわりとした優しい母親の一面ものぞかせながら、ご自分の信念もしっかり持ち行動できる素敵な女性だなあと思います。

神戸さんの生き方は、会社を辞め、20年間主婦をし、「てのん」の活動をアラフィフで始めた私たちにも、エールを送って下さったような気がしました。

今後も神戸さんの取り組み、ご紹介して行けたらと思います。












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投稿者: てのん記者