赤いボディーにカラフルな猫のマークが目を引くこの車が、上村さんの窯焼きピッツァのお店moconeco(モコネコ)。
昨年11月3日にオープンしました。平日は主に、日置市伊集院町徳重で開店中です。
手ごねの生地にシンプルな具材をのせたナポリ風ピッツァを、窯焼きの出来立てで楽しんでもらえたら、そんな思いで移動販売を始めた上村さん。車内の窯は自分で作ったというから驚きです。俄然、上村さんに興味がわいてきて、お話をうかがうことにしました。
なにかをつくって自分の力で生きていきたい
「ずっと、なにかやりたいなあと思ってたんです。もともと、物を作るのが好きで、ひとりでやっていけるようなお店ができたらなって。」
これまで、レストランやパン屋さんなどで働いてきた上村さん。レストランでのピッツァ作りの経験を生かせないかと、まずは自宅の庭に窯をつくったのが4年ほど前のこと。レンガを買ってきて、あれこれ調べながら自力でつくりました。
「仕事が休みの日にピッツァを焼いて、近所の方や知り合いに食べてもらいました。そのうち、地域の子ども会とかの行事で焼いてみたら、と声をかけてもらって。みんながおいしいって言って下さるのがうれしくて。」
子供からお年寄りまで幅広い年代の方が、うれしそうにピッツァを頬張る姿にも励まされ、焼き立てをどこででも楽しんでもらえる、移動販売車での開業を目指すことにしました。
トラブル発生!ご難続きの移動販売車
「自分の力でやらなきゃと思って、誰にも相談せずに、インターネットで見つけた業者から車を買ったんですけど、もう大変なことになってしまって。」
貯金をはたいて車を買ったのは、おととし2016年6月のこと。ところが、待てど暮らせど車は届かず、さんざんやりとりした挙げ句にようやく届いた車は、使い物にならない、とんでもない代物でした。購入してから半年以上が経った、昨年1月のことです。
「庭に停めっぱなしの車を見て心配した方が知恵をかしてくれたり、外食中、隣の席にいた人がたまたま車関係の方で、力になってくれたり。いろいろなご縁があって、何とか使える車にすることが出来ました。ひどい目にはあったんですけど、始めからうまくいっていたら出会わなかった方々にすごく助けられたんです。」
ふだん店を出している場所も、窯の薪も、厚意で提供してもらっているという上村さん。
支えてくれるたくさんの人のためにも、長く続けていけるお店にしたい。
そんな願いを込めてつけた店名がmoconeco(モコネコ)。
上村さんの心の友である猫と自身の名前を組み合わせました。
出会いを力にピッツァを焼く!
ピッツァ生地の仕込みは夜。イベント会場へ出向く前の晩は、10㎏の粉を、徹夜でこね続けることもあります。見込み通りにいかず、大量の生地を抱えて落ち込むことも。もちろんうれしいこともあります。
「給料日だからって買いに来て下さったお客さんがいらしたんです。そんな大切な日にうちのピッツァを…と思うとありがたくて。その方がまた来てくださったときは、うれしかったです。」
「大変なことが多いですけど、たくさんの出会いがあって、いろんなことを教えてもらって、心はどんどん豊かになってる気がします。」
焼き立てピッツァをどこへでも
上村さんが思い描いている理想のスタイルは、日々違うまちでの店開き。呼ばれれば、外食がなかなかできない場所や、焼き立てのピッツァを食べてみたいお年寄りの寄り合いにも出かけていきたいと思っています。
「今はとにかく、作って焼いて…。手助けしてくれた方たちのためにも、頑張るだけです。」
お話中、しばしば感謝の言葉が出てくるのが印象的だった上村さん。お客さんのおいしい笑顔を励みに、きょうもどこかでピッツァを焼いています。
Pizza moconeco
(ピッツァ・モコネコ)
TEL: 090-2968-7310
Instagram@pizza_moconeco
平日は主に、日置市伊集院町徳重 コープ伊集院店向かいの空き地にて営業日によって変わることもありますので、あらかじめ電話やインスタグラムでご確認ください。
パーティーやお花見など、イベントへの出張もできます(出張料金別途)