これは面白い! 鹿児島の博物館の学芸員さんが書いた本「みんなの西郷さん」

大河ドラマ「西郷どん」が始まり、書店は西郷さん関連の本がズラリと並んでいます。

どれにしようかな~迷ってしまいます。
ふとしたことで手に取った西郷さんが主人公の一冊の本。分かりやすくて、読みやすくて、面白くて…一気に読み終えました。
本の名は「みんなの西郷さん」

この本を書いたのは、鹿児島ではとても有名な歴史博物館・尚古集成館の学芸員さんらしいのです…
興味津々!西郷さんのこと、本のこと、学芸員というお仕事のこと、色んなこと聞いてきました!

尚古集成館(鹿児島市吉野町)
尚古集成館
(鹿児島市吉野町)

島津家に伝わる資料を中心に凡そ1万点を収蔵・展示している鹿児島の歴史ある博物館です。

著者は、ここの学芸員さん!(この後ろ姿の方です!)
著者は、ここの学芸員さん!
(この後ろ姿の方です!)

お会いして驚きました。とても若くて綺麗な方。

この方が「みんなの西郷さん」を書いた小平田史穂さんです
この方が「みんなの西郷さん」を書いた小平田史穂さんです

普段は、博物館が収蔵する島津家や薩摩に関する資料の展示や調査研究、博物館が発行する学術雑誌の執筆などの仕事を行っています。

小平田さん、どうして西郷さんの本を書くことになったんですか?

尚古集成館の学芸員 小平田史穂さん
尚古集成館の学芸員
小平田史穂さん

仕事柄、小中学校の子どもたちに、幕末から明治維新にかけての歴史や西郷さんのお話をさせていただくことが多いんですね。でも、あの時代の歴史はすごく面白いけど、とても複雑。難しい言葉もたくさん出てくる。攘夷とか言っても、子どもたちはポカンとしている。

何かヒントになるような本は無いかなぁと思って探したんですが、大人向けの難しい本が多かったり、西郷さん愛が爆発していて読み物としては面白いけれど、本当かどうか良く分からないものも多かったりして。確かな史料に基づいた本当のことを分かりやすく伝える本があったらなぁと思ったんです。
書き上げた本の帯には親子で読める本と書いてあります。
書き上げた本の帯には親子で読める本と書いてあります。字が大きく、漢字にはすべてルビが振ってありとても親切です。史料を一つひとつ確認し、史実をもとにした大人も子どもも楽しく読める本が出来上がりました。

史料読みに約半年、執筆に約半年。昨年11月末に発行されました
史料読みに約半年、執筆に約半年。
昨年11月末に発行されました

当時の薩摩のこと、日本全体の動き、その中で西郷さんやその周りの人たちがどう動いたのか、なぜそうしたのか、とても分かりやすく書かれていますよね。

そうですね。「これから日本をどのようにしたらいいだろうか」と皆が真剣に考えていた時代ですよね。例えば西郷さんとの相性が悪かったと言われる久光(島津久光)にしても、調べていくと、兄の斉彬を尊敬し、その遺志を継いでその役割を果たそうとしている。それぞれの立場で、なぜそう動いたのかというところをしっかり描こうと思いました。だから、あまり悪者が出てきません。(笑)
例えば西郷さんとの相性が悪かったと言われる久光(島津久光)にしても、調べていくと、兄の斉彬を尊敬し、その遺志を継いでその役割を果たそうとしている。それぞれの立場で、なぜそう動いたのかというところをしっかり描こうと思いました。
例えば西郷さんとの相性が悪かったと言われる久光(島津久光)にしても、調べていくと、兄の斉彬を尊敬し、その遺志を継いでその役割を果たそうとしている。それぞれの立場で、なぜそう動いたのかというところをしっかり描こうと思いました。
本を書くにあたってこだわったことは何ですか?

鹿児島の先進性については触れたいと思いました。

鹿児島って「日本の端っこで庶民や武士の生活は貧しく、琉球や奄美を支配してイジメていた」そんな負のイメージがありますよね。でも、古くから、四方を海に囲まれた海洋国家だったんですよね。鎖国の時代も琉球を通して外国の文化や物がどんどん入ってきて、カステラも鹿児島で食べられていたんですよ。

鹿児島湾に色鮮やかな琉球の船が並んで、外国から様々な商品が入ってくる異国情緒漂う町だったんです。異国からの脅威に対する政策の先進性は、海洋国家薩摩だからこそ生まれたもので、明治維新の一つの原動力になっていったと思います。

「西郷さんのかっこよさ」とは?
「西郷さんのかっこよさ」とは?

本に、「あなたなりの『西郷さんのかっこよさ』を見つけてください。」とありますね。
小平田さんにとって『西郷さんのかっこよさ』ってどこにあると思いますか?

あなたなりの「西郷さんのかっこよさ」を見つけて下さいね!
あなたなりの「西郷さんのかっこよさ」を見つけて下さいね!

それはもう人間らしいところですよね。自分に代わって西郷家をずっと支えてくれた弟の吉二郎が旧幕府軍との戦いで亡くなった時には、あまりの悲しさに号泣し、髪を剃り落としている。何でも「おいしゅうございます」と言って出されたものはすべて喜んで食べてくれる。褒められすぎてイトさん(3番目の奥さん)が照れてしまうほどだったそうです。とてもいい旦那さんですよね。

西郷さんは、本当に逸話が多い人なんです。こういう人いたらいいなぁ、素敵だなぁと、みんなが自分に引き寄せて身近に感じられてくる人間力がありますよね。

亡くなった後「西郷さんは星になった」と人々の間で噂された                 (「みんなの西郷さん」の挿絵より)
亡くなった後「西郷さんは星になった」と人々の間で噂された
(「みんなの西郷さん」の挿絵より)

西郷さんはどういうことをした人なのか。当時の薩摩藩とは。幕府や長州との関係は。明治維新という偉業はどのように成し遂げられたのか。複雑な歴史的展開の背景と人々の動きがとても良く整理され、頭の中にすんなりと入ってきます。あまり知らなかったエピソードも紹介され、西郷さんがより身近に感じられてきます。

西郷さんの「人間らしさ」に触れるコーナーも…
西郷さんの「人間らしさ」に触れるコーナーも…

こんな話も載っていました!
◆ 西郷さんの本当の名前は「隆盛」じゃなかった!?
明治に入り、「『隆盛』でよかが」となった
◆ 薩摩はすごく「大男」が多かった!その秘密は食べ物にあり!
最後の藩主・忠義は190センチ!アラビア人のようだった!
◆ 西郷さんは甘辛く味付けした豚肉や捕れた魚に酢みそをつけて食べるのが好きだった。釣りにはいつも酢みそを持参。みそやお醤油づくりも上手だった。
◆ 西郷さんには、於鶴と於松という名の妾がいた!?  等々…

研究者として多数の展示、講演、出版物等に携わっている尚古集成館の松尾千歳館長はこの本をこう評価します。

尚古集成館  松尾千歳館長
尚古集成館
松尾千歳館長

「難しいことを、専門用語を使わずに分かりやすく書く」これが一番難しい。本当に理解していないと書けないですからね。西郷ブームでいいかげんな本もたくさん出ていて、古い説の幕末ストーリーが堂々と使われていたりしている。新しい研究成果を反映させた子ども向けのしっかりした本の必要性を感じていました。

そのために、何度もダメ出しもしましたよ。(笑)あの時代、薩摩が何をしようとしていたのか、鹿児島の歴史文化の素晴らしさを伝える一冊になったと思います。

小平田さんは博物館学芸員としては、まだまだ駆け出し。大学卒業後、テレビカメラマンも経験するなど、その経歴も多彩です。

4年前には南日本文学賞を受賞するなど文芸活動でも活躍中
4年前には南日本文学賞を受賞するなど文芸活動でも活躍中

大学でも日本史を専攻していたわけじゃないんです。この仕事に就くまで世界史や基層文化(民俗学の対象となる文化)を中心に学んでいたんです。今、新しい世界の面白さを日々感じながら勉強中です。

この本は、子どもたちばかりでなく、私のようにこれまで鹿児島の郷土史や歴史に触れる機会が少なかった方にも、是非読んで頂きたいです。

これまで鹿児島の郷土史や歴史に触れる機会が少なかった方にも、是非読んで頂きたいです。
これまで鹿児島の郷土史や歴史に触れる機会が少なかった方にも、是非読んで頂きたいです。

「みんなの西郷さん」は、図書を扱う司書さんたちの間でも注目され、注文が相次いでいるそうです。

子供向け…と書かれていますが、これを機会に、幕末・維新ヒストリーを改めて整理して学んでみたいという人にもお薦めです。本は県内の書店などでお買い求めいただけます。ネットでの購入も出来るそうですよ。

「みんなの西郷さん」

定価1,000円+税
発行所:渕上印刷株式会社
〒891-0122
鹿児島市南栄3丁目1-6
TEL: 099-268-1002
振替口座:ゆうちょ銀行 02020‐3‐487

おわりに

小平田さんのバリバリとしたお仕事ぶりを見ていて、学芸員という仕事にも興味が湧いてきました。歴史を調査研究し、その面白さを伝える仕事に携わっている小平田さんに学芸員というお仕事の魅力などについて聞きました。

そのお話は、また次回お伝えしますね。

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投稿者: てのん記者