てのん学校トークショー開催

梅ほころぶ旧島津氏玉里邸庭園 近くにお由羅屋敷跡も!

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ひと雨ごとに春が近づき、日差しにも明るい光を感じるようになってきました。
寒さ和らぐお天気の日は、ちょっと散歩してみたくなる季節です。
そこで、きょうはあの大河ドラマ「西郷どん」のロケ地にもなった旧島津氏玉里邸庭園をご案内します。

島津氏の庭園というと真っ先に磯の仙厳園を思い浮かべる方が多いと思いますが、玉里邸庭園も市街地近くに、こんな静かで落ち着く場所があったのかと思うようなステキなところです。

鹿児島市の北部、愛宕山(あたごやま)の西の麓に位置する玉里邸庭園。

「旧島津氏玉里邸庭園」鹿児島市玉里町
「旧島津氏玉里邸庭園」
鹿児島市玉里町

玉里邸庭園はあの島津斉彬公の父、島津斉興(なりおき)公(第27代島津家当主)が天保6年(1835年)に別邸として造った大名庭園で、斉彬公に藩主の座をゆずってからこの場所を住まいとしてきました。明治に入り、邸宅は西南戦争で焼失してしまいますが、2年後に息子の島津久光公の手によって再建され、久光公も晩年ここを住まいとしてきました。

今は、鹿児島市立女子高校の校庭の一部になっていて、歴史を感じさせる石垣の向こうでは、梅の花がほころび、あまい香りが漂っていました。

石垣の向こうが旧玉里邸。鹿児島女子高校の校庭の一部となっています 
石垣の向こうが旧玉里邸。
鹿児島女子高校の校庭の一部となっています
梅の花の甘い香りが…
梅の花の甘い香りが…

ここが玉里邸庭園の入り口の黒門です。

黒門と呼ばれる正門
黒門と呼ばれる正門

この黒門は、島津久光公の国葬が執り行われた時に造られたものです。

明治20年(1887年)に国葬が行われた際に造られた正門
明治20年(1887年)に国葬が行われた際に造られた正門

その際、急遽この門から真っすぐにのびる国葬道路もつくられ、久光公のご遺体がこの道を通って福昌寺へと移送されたそうです。

黒門から国道3号線までおよそ700メートル真っすぐに続く「国葬道路」
黒門から国道3号線までおよそ700メートル真っすぐに続く「国葬道路」

黒門を潜り抜けると…

黒門を潜った先の石垣に刻まれは文字は…
黒門を潜った先の石垣に刻まれは文字は…

突き当りの石垣に、「石(せっ)敢(かん)當(とう)」と刻んであります。

「敢當(かんとう)」とは「向かうところ敵なし」の意味
「敢當(かんとう)」とは「向かうところ敵なし」の意味

これは中国大陸から伝わった魔よけのまじないです。道路の突き当りにある家には、悪魔が入り込むとされていて、門や塀にこれをたてて、悪魔を追い払ったと言われています。

中国大陸から琉球を経て薩摩に伝わった文化の名残です。

西南戦争の後、久光公によって再建された玉里邸でしたが、太平洋戦争で再び焼失。戦禍を免れた茶室、長屋門、黒門が今も残ります。

庭園内に入ってみましょう…
庭園内に入ってみましょう…

庭園は、書院造庭園の「上(うえ)御庭(おにわ)」と回遊式庭園の「下(した)御庭(おにわ)」の二つの庭園から成り、茶室のある下御庭が一般に開放され、散策することができます。

一般公開されている「下御庭」
一般公開されている「下御庭」

目の前に飛び込んでくるのが鶴の池。その向こうに茶室が見えています。池もまわりを歩きながら庭園全体を鑑賞できる回遊式の庭園です。池のまわりにはいたるところに様々な形をした石燈籠が配置され、茶室と調和してとても落ち着く美しい庭園です。

平成19年(2007年)に上御庭と下御庭が国指定名勝に
平成19年(2007年)に上御庭と下御庭が国指定名勝に
巨石(磯石)
巨石(磯石)

縦・横およそ3.5m、高さおよそ3mのこの巨石は、仙厳園のある磯の海中にあったものを53個に分解し、運び込み継ぎ固められたと伝えられています。

石塀の向こうの喧騒が嘘のように、静かです。
石塀の向こうの喧騒が嘘のように、静かです。

聞こえてくるのは、流れる水の音と鳥たちの声。

アオサギ、セキレイ、ヒヨドリたちもやってくるそう
アオサギ、セキレイ、ヒヨドリたちもやってくるそう
鳥たちの格好のえさ場です
鳥たちの格好のえさ場です
昔は池に船を渡して和歌などを楽しんでいたそう…
昔は池に船を渡して和歌などを楽しんでいたそう…

涸れることのない井戸水が流れる池と緑のあるこの場所は鳥たちの憩いの楽園なのかもしれません。梅が咲きはじめる頃からメジロも囀りはじめたそうです。
梅が咲きはじめる頃からメジロも囀りはじめたそうです。

戦禍を逃れた茶室が今も残る…
戦禍を逃れた茶室が今も残る…

茶室は、書院造り客間6畳、次の間6畳、控えの間6畳と縁側からなっています。

秀吉の伏見の茶室に倣って造られたといわれる茶室
秀吉の伏見の茶室に倣って造られたといわれる茶室
年16回、この場所でお茶会も催されています
年16回、この場所でお茶会も催されています

お天気に恵まれたこの日は、西郷どんのロケ地めぐりに来たという県外からの若い男性グループや長い間近くに住んでいるけど、初めて来てみたと言う家族連れなどがいて、写真を撮ったり散策したり、思い思いに寛ぎの時間を過ごしていました。

西郷どんのロケ地めぐり
西郷どんのロケ地めぐり

一回りしても20分くらい。大きい庭園ではありませんが、自然に溶け込んでゆっくり
散策できるステキな場所です。

自然に溶け込んでゆっくり 散策できるステキな場所です。
自然に溶け込んでゆっくり
散策できるステキな場所です。

江戸時代末期に島津氏の別邸として造られた庭園は、当時のままの佇まいを残しています。薩摩藩の時の最高権力者だった斉興公や久光公が晩年を過ごしたと言われる玉里邸。久光公は公武合体運動を推進し、幕末から明治のはじめ、政治の表舞台に立ってきました。

しかし明治維新のあとは新政府の急進的改革に批判的で、生涯髷(まげ)を切らず、帯刀(たいとう)和装を止めなかったと言われています。晩年は、政治から離れて島津家に伝わる史料の収集、整理に勤しみました。

晩年を暮らしたこの邸宅で、この庭を眺めながら、時代の激変をどのような思いで受け止めていたのでしょうか。

庭園が出来て183年目の春です 
庭園が出来て183年目の春です

庭園が出来て183年目の春です 
庭園が出来て183年目の春です 

【旧島津氏玉里邸庭園のご案内】

入園料   無料
開園時間  午前9時~午後5時
休園日   毎週火曜日(休日の場合は翌平日)
年末年始(12月29日~翌1月1日)
駐車場   専用駐車場を無料でご使用いただけます。

☆ お茶会のご案内
玉里邸では年16回、お茶室での茶会を催しています。参加料500円でどなたでも参加できます。呈茶の時間は午前10時~11時~12時~3回。お抹茶とお菓子を頂けます。(いずれも先着15名まで)今度は3月18日(日)と3月21日(水・祝)詳しくは、旧島津氏玉里庭園のホームページの年間行事予定でご確認ください。

☆ 「上御庭」公開のご案内
鹿児島市ではこれまで公開されていなかった上御庭を今年度から年3回公開
しています。今年度最後の一般公開が3月25日(日)に予定されています。

【お問い合わせ先】
旧島津氏玉里邸庭園管理事務所
鹿児島市玉里町27-20
TEL:099-222-2627まで

【玉里邸近くにあるお由羅屋敷跡】

最後にもう一つ、玉里邸の後方にある知られざるある方のお屋敷跡をご紹介します。
玉里邸のすぐ近く伊敷病院の駐車場を登って行ったその先にあるのは、お由羅の方のお屋敷跡です。

玉里邸の裏から200メートルほど歩いていくと…
玉里邸の裏から200メートルほど歩いていくと…

お由羅の方は、明治維新の直前の慶応2年(1866年)に亡くなりましたが、それまで住んでいたお屋敷が、当時の面影を残したままありました。

お由羅屋敷跡(鹿児島市下伊敷)
お由羅屋敷跡
(鹿児島市下伊敷)

お由羅の方は、江戸の町人の娘で、生まれは大工の家だったとか、舟宿、八百屋と諸説あり、生年月日も分かっていません。島津斉興公に見染められ、寵愛を受け、側室となり、久光公を産んでからは「御国御前」とも呼ばれ、重んじられました。

その後、跡継ぎをめぐって斉彬派と久光派に分かれて対立する「お由羅騒動」が勃発。斉彬派からは、このお家騒動を引き起こした張本人の悪女と強い恨みをかいました。屋敷跡は立て看板も無く、今は民家となっていますが、その所有者の方が案内して下さいました。

色々、古いものが残っていますよ
色々、古いものが残っていますよ

前庭には石を敷き詰めた池があり、歴史を感じさせる石燈籠や手水鉢は当時のままの形で残されています。お由羅の方がこの手水鉢を使い、お庭を眺めたりしていたのかと思うと、歴史の中の人が、実在した一人の女性としてリアルに感じられてきます。

前庭の石燈籠
前庭の石燈籠
屋敷横に置かれた手水鉢
屋敷横に置かれた手水鉢

ゆかりの地を訪ねて、江戸から遠く薩摩に渡り、藩主の側室となり、政争に巻き込まれながらも久光公の母として自らの「信」に従って生きたお由羅の方もまた、侍の時代が終焉へと向かう激動の時代を一途に生きた一人だったのだと感じられてきました。

ここでお由羅の方が亡くなって、152年になります
ここでお由羅の方が亡くなって、152年になります

【お由羅屋敷跡について】

現在、お由羅屋敷跡は、伊敷病院が所有、管理しています。
民家として使われているため一般開放は行われていませんので、見学をご希望の方は、伊敷病院にご連絡の上、お訪ねください。

【見学希望の方のご連絡先】

医療法人 有隣会 伊敷病院
鹿児島市下伊敷2丁目4-15
TEL:099-220-4645

【お由羅屋敷跡アクセス】

鹿児島市下伊敷2丁目4


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投稿者: てのん記者