やってやれないことはない!がんばろう高山 知恵と力を出し合えば、これからもここで暮らしていける

過疎や高齢化。いずれは誰もが直面するこの課題に、住民総出で取り組んでいる地域があります。

日置市東市来町の高山地区。山あいに、桑木野、尾木場、郷戸、野下、高塚東、高塚西の6つの集落が点在していて、108世帯、174人が暮らしています。
過疎が進み、高齢化率67%、しかも全世帯のおよそ半分が、ひとり暮らしのお年寄りです。この地区を訪れると、家々に黄色い旗が揺れています。
過疎や高齢化。いずれは誰もが直面するこの課題に、住民総出で取り組んでいる地域があります。
過疎や高齢化。いずれは誰もが直面するこの課題に、住民総出で取り組んでいる地域があります。
この地区を訪れると、家々に黄色い旗が揺れています
この旗は、何の合図なんでしょう。高山地区公民館長の立和名徳文さん(68)が教えてくれました。

立和名さん宅の庭先にも
立和名さん宅の庭先にも

「今日も元気ですよって知らせてるんです。出てないと、近くの人が声をかけに行って、あら、忘れとったーってなったり。お互い気を付けるようになってね。朝出して、夕方入れる、これを覚えておくだけでも頭を使うし、体も動かすし、いいんですよ。」
実は、ここ高山地区には、住民全員が会員というNPO法人「がんばろう高山」があります。お年寄りの暮らしの支援や送迎、農地の保全などを積極的に行えるようにと、平成25年の3月に発足。この黄色い旗も、「がんばろう高山」の活動の一つです。立和名さんは、その「がんばろう高山」の代表でもあります。

「地域のことは地域で、自分たちのことは自分たちで、できることは、元気な人がね、みんなで助け合ってやっていこうと。そしたら、みんな気持ちがあがってね。」

その元気の源になっているのが、「がんばろう高山」ブランドでの野菜の生産です。それまで、身内で食べたり、知り合いに配ったりしていた自家製の野菜を、東市来の大きな物産館・江口蓬莱館に出荷しているのです。農家の高齢化で野菜の品薄に悩んでいた江口蓬莱館と、野菜を作ることでやりがいと収入を得られる高山地区のみなさん、どちらにとっても良い関係がスタートしたのは平成27年のこと。現在、22人が野菜を生産しています。

野菜の集荷は週に2回、小型の保冷車が地区内を走り回ります。
運転するのは、桑木野勝夫さん(66)。
運転するのは、桑木野勝夫さん(66)
10年前に、母親の介護のために大阪からUターン。3年前から、野菜の集荷を担当しています。

「初めのうちは自分の車でやってたんやけどね。今はこの保冷車がきたからね、去年かな。」
もともとは軽トラックで運んでいましたが、雨の日は濡れて野菜が痛むため、平成29年、「がんばろう高山」で保冷車を購入。県の事業を活用しました。

2月10日、朝から冷たい雨の降る中、この日も、桑木野さんの運転する「がんばろう高山」号が出発しました。

「車が運転できる人は、集落の公民館に持ってきてくれとんの。車がない人んとこは、家まで取りに行って。そこはもう、そん時そん時で。」
野下集落の公民館には、もうみなさん集まっていらっしゃいました。
「がんばろう高山」で保冷車を購入。県の事業を活用しました
「がんばろう高山」で保冷車を購入。県の事業を活用しました
「がんばろう高山」で保冷車を購入。県の事業を活用しました。
「はらあ、よか大根なあ。」
「白菜もよかのができたなあ。植えたとはいつごろな。」
お互いの野菜を見ては、品種をたずねたり、育て方のコツを教わったり。情報交換も活発です。
お互いの野菜を見ては、品種をたずねたり
「野菜を作るのが楽しみで、畑で頑張ってるの。こんなことがないと、寒くて家の中に座ってるかも。」と立和名タエ子さん(80)

立和名タエ子さん(右)
立和名タエ子さん(右)

雨脚が強くなり、急いで出発。

「あ、またタエ子さんだ。」
桑木野さんのポケットから栄養ドリンクが出てきました。

「みんな、野菜をくれたり飲み物をくれたり。そんなことしたら、せっかくの儲けが減るからいらんよって言うんやけどね…。中学を出てすぐ高山を離れたから、地元の集落のこと、道とか、どんな人が住んでるとか、知らんかったんよね。あちこちまわるうち、みんなと親しくなって、心が通じて。大変だけどやりがいあるよね。」
心が通じて。大変だけどやりがいあるよね。
次は、郷戸集落の立和名静雄さん(87)のお宅です。キャベツとほうれん草が待っていました。
次は、郷戸集落の立和名静雄さん(87)のお宅です。キャベツとほうれん草が待っていました。
「やっぱり楽しみだよね。やりがいもあるしね。わたしは車がないから、こうして取りに来てくれると助かるよね。」

立和名静雄さん(右)
立和名静雄さん(右)

桑木野美代子さん(75)のお宅にも。
「今日はあんまりなかったんだけど、ふきのとうがあったから。」
桑木野美代子さん(75)のお宅にも。
桑木野美代子さん(75)のお宅にも。
「今日はコーヒーがなかったからこれね。」今度はジュースの差し入れです。
「今日はコーヒーがなかったからこれね。」今度はジュースの差し入れです。
最後に着いたのは、尾木場の公民館。みなさんお待ちかねでした。
最後に着いたのは、尾木場の公民館。みなさんお待ちかねでした。
最後に着いたのは、尾木場の公民館。みなさんお待ちかねでした。
最後に着いたのは、尾木場の公民館。みなさんお待ちかねでした。
「戦後、昭和30年代は、尾木場の白菜といわれて、有名だったよ。それからいちご、高級品として別セリにかけられるほどだったよ。」と語る野上操さん(91)。育てた野菜への誇りがにじみます。

1時間半程かけて、集荷は終了。地区公民館で、それぞれの方の希望価格を確認しながら、値札を張っていきます。
希望価格を確認しながら、値札を張っていきます
希望価格を確認しながら、値札を張っていきます
野菜満載で、江口蓬莱館に到着です。

江口蓬莱館
江口蓬莱館

江口蓬莱館
頑張ろう高山シールの野菜がいっぱい頑張ろう高山シールの野菜がいっぱい頑張ろう高山シールの野菜がいっぱい

頑張ろう高山シールの野菜がいっぱい

「今年は、野菜が少なくて大変なんですが、高山のみなさんにはたくさん持ってきてもらって、助かってるんです。高山の野菜が入荷する水曜日と土曜日を目当てに訪れるお客さんも多いんですよ。」江口蓬莱館の柿本久人支配人。

高山地区公民館館長で、NPO法人「がんばろう高山」の代表でもある立和名さんはこう話します。
「がんばって野菜を作って、売れれば少しでも収入がふえるでしょ。生きがいにもなるし。孫にお小遣いをやれば、しょっちゅう来るようになって、ふれあいも増えるのよ。みんなやる気があって前向きだよ。」

できることを生きがいにしながら、できないことは助け合って、みんなで暮らしを守っていく。「がんばろう」は、高山のみなさんが、自分たちを鼓舞して前を向くための掛け声なんだと実感しました。
高山地区の取り組みは、これだけではありません。今度は、移動販売車がやって来る日に訪ねることにしました。
その様子は、また次回に!

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投稿者: てのん記者