高齢であっても、障がいがあっても、小さい子ども連れであっても、行きたいところに気兼ねなく出かけられる社会であってほしい…
前回は、そんな思いに共感した人たちによって作られたバリアフリー旅を紹介しました。
(バリアフリーな旅・同行記・前編 ~誰だって旅に出かけられる!~をご覧くださいね)
今回は、そのバリアフリー旅の舞台裏から、伝わってきた思いの声をお伝えします。
サポーターのひとりとして参加した堤玲子さん
トラベルヘルパー1級の資格を持ち、自ら介護旅行ナビを立ち上げ、お一人での外出に不安のある人たちへの同行サービスやユニバーサルツアーをプロデュースしています。鹿児島でその道のプロとしてユニバーサルツーリズムを牽引するひとりです。
「旅行会社に断られても『絶対に必要だ』とバリアフリーツアーを続けてこられた水口さんたちの想いに賛同して、お手伝いさせていただいています」
「私のところはデイサービスなどの高齢者の介護事業をやっていて、福祉についてはプロなんですが、旅については素人。協力者が必要でした。何社か旅行会社に話を持ち掛けたんですが、なかなか理解してもらえなくって。諦めずに交渉を続けた結果、たどり着いたのが地元の旅行会社Tabi&Coco.(タビココ)さんだったんです。」
Tabi&Coco.(タビココ)の東さんは…
「これまで旅のお客さんを元気な人を中心に考えてきたけれど、これからはそうじゃないんじゃないかなぁって。社会の流れは変わってきている。どんな人にも楽しい旅を提供出来たら良いなぁと思いました。そのためには、介助したりサポートしてくれる人の手が必要。そこは福祉に長けたみなさんに力を貸してもらって…」
両者の得意分野を生かしてのコラボが動き出しました。
次の問題は、行先でした。過去数回のツアー経験はありましたが、バリアフリー旅を継続してお付き合いしてもらえるところを探していました。すると鹿児島市のお隣の日置市が手を上げてくれました。
日置市観光協会の古川安代さん(写真右)は…
「以前、日本一のバリアフリー観光地を目指す伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの中村元理事長のお話を聞いたことがあったんです。うちの町でも、そんな事が出来たら良いなぁと思っていた時、堤さんの紹介で、水口さんたちのバリアフリー旅のお話を聞き、とても良いチャンスだと思いました。それに、良い所がいっぱいある日置のことをもっと知ってもらいたかったですし…」
どこを、どう回ったら安全で満足する旅を提供できるのか…
バリアフリー環境を一つひとつ確認しながらの打ち合わせが続きました。
現地を下見しながら、旅のコース、スケジュールなどを検討、凡そ3ヶ月かけて、何回もすり合わせしてきました。
そして今回、地元でのおもてなし隊となったのが、日置市ガイド協会のみなさん。
「日頃の観光ガイドは慣れていましたが、車椅子など介護が必要な方々をお迎えするのは初めてでしたから、最初はやはり不安でした。」
そこでトラベルヘルパーの堤さんをお迎えして「シニア向けの旅のおもてなし講座」まで開きました。
こうして実現した「初詣といちご狩り」の一日バスツアー。
大丈夫かな?満足してもらえるかな?それぞれに不安もあったそうですが…
いつも通りの自然体。体当たりの、触れ合いツアーとなりました。
そこかしこで、さりげなくサポートする光景も見かけました。
数時間も経つと、すっかりお互いの距離感が縮まって…
「不安を人の手で乗り越えた感じがありました。みなさんの笑顔ですよね。あれを見て、またお迎えできるという自信がついたし、こんな機会が増えると、町のバリアフリー化も進んでいくんじゃないかなぁ。きっと、それはここに暮らす人たちのためにもなると思うんです。」
日置市観光ガイド協会の久保治永会長(写真・右)は…
「お話しすると、私たちの方が刺激を受けたり、勇気づけられたりする。経験を重ねて、バリアフリー旅に行くなら日置!って言ってもらえるようになるまで頑張りたい。」
「良い思い出になりました!」
6時間半の日帰りバスツアー。あっという間に時間は過ぎ、お別れの時間です。
時折小雪が舞うとても寒い日でした。
バスが見えなくなるまで走りながら見送って下さった「おもてなし隊」のみなさんの温かい気持ちが伝わってきてちょっと涙が出そうになりました。
旅はまだ終わりではありません。
こうして、日帰りバリアフリー旅が、無事終了しました。
バリアフリー旅を企画した水口義夫さんは…
「自分だけの力じゃ難しいけけど、僕らを利用したら旅に出かける可能性が広がる。そんな風に利用してもらって、少し介護で疲れてしまっている家族、体が不自由になって旅を楽しむなんてもう無理だって諦めている人たちを元気にしたい。そんな人がどんどん外に出ていくことで、バリアフリー旅が特別なことではなくなり、社会が変わっていくと思うんです。」
誰もが「したいこと」を諦めずに、当たり前に出来る社会の実現。
バリアフリー旅は、一人ひとりの旅のお手伝いをしながら、誰にとっても住みやすい町が増え、やさしい社会が作られていくことを目指しています。
その旅に同行させていただいて、一人ひとりの小さな経験の積み重ねから、社会が少しずつ変わっていくんだなぁと実感。これからもこんな方たちの活動を応援していきたいと思いました。
バリアフリー旅のご案内
~メモリーサポートツアーのご案内~
水口さんたちの会社では、ご紹介したようなツアーの他に、個人や家族での旅のお手伝いもしています。思い出の旅行をしたいけど、介護が必要な家族がいて自分たちだけでは不安、相談したい…等の要望にお応えしています。
旅の下見、計画、同行などをお手伝いします。
詳しくは下記までご連絡ください。
ご連絡先
健口株式会社 ライフサポート事業部 メモリーサポートツアー
鹿児島市郡元1丁目15-5 井手ビル
TEL: 099-297-4425
~堤玲子さんの介護旅行ナビのご案内~
介護や介助が必要な方の外出の同行サービスを致します!お買い物やランチ、冠婚葬祭、同窓会など皆さまの様々なシーンへのおでかけをサポートしています。
その他、「車いすに乗ってみよう」ワークショップや「シニアへのおでかけの勧め」などの講演や講座なども行っています。
詳しくは下記までご連絡ください。
ご連絡先
介護旅行ナビ(おでかけ同行サービス)
鹿児島市船津町1-11-3階
TEL: 099-811-2795 まで
Tabi&Coco.(タビココ) 株式会社タジマ旅行事業部からの旅のご案内
タビココさんでは、ユニバーサルツーリズムの他、みしま村アイランドツアーや西郷どん大河ドラマ館及び世界文化遺産めぐりなど地域に密着した様々な素敵な旅をご提案をしています。
ツアーに関するお問い合わせはこちらまで…
営業時間(平日:9:30~16:30)
TEL: 0996-44-2334 まで
