心の詩(うた)

病気の方、ハンディキャップを持った方、認知症の方、寝たきりの方…

私たちのまわりには、自分の思いを外に向かって伝えることが難しい人たちがたくさんいます。
そして、私たちはそんな方々の声を聴く機会がとても少ないように思います。

先日、てのんの人生図書館でご紹介した大坪敏夫さんの著書
歩きはじめた小さな天使たち
その中に、障がいを持つ子どもたちのいくつもの詩が掲載されていました。

言葉の一つ一つに力があり、考えさせられました。
私たちは、普段「生きる」という事をあまり意識せずに暮らしているように思います。

でも、ここに登場する子どもたちは、違っています。
「生きること」をより深く思い、考え続けています。
子どもたちの思いが、ひとりでも多く人のもとに届きますように…
そんな願いを込めて、本に掲載されている詩を一編ずつご紹介していきたいと思います。

「歩きはじめた小さな天使たち」より
(鹿児島教育出版(現在の沖縄教育出版)発行)

※登場する子どもたちの名前はすべて仮称です

生きる
生きる

生きる

小学部 まさみ

ぼくは 足が 悪い
でも 歩ける
普通の人のように 勉強も できる
しかし この足では
生きていくことは むずかしく
苦しいかもしれない
でも 人間は みんな
この苦しみをのりこえて
生きるのだ
ぼくも がんばろう 生きるために

見つめてください
見つめてください

見つめてください

高等部 ひろゆき

目をそらさないでください
私を見つめてください
不自由なからだが
悲しいのでは ないのです
あなたと同じ
人間として 見てほしいのです
どうぞ 気づいてください
あなたのひとみにうつる
この願いを

足を速めて
通り過ぎないでください
かざりたてたやさしさが
ほしいのではないのです
心の通う
お友だちになってほしいのです
どうぞ 心をひらいてください
あなたの胸をたたく
この思いに

ぼくらの夢
ぼくらの夢
ぼくらの夢
ぼくらの夢

ぼくらの夢

小学部 ひろゆき

僕は 大きくなったら
タイプを 買い
自分の考えを 詩につくり
曲をつけて 歌にしたい
多くの人に 口ずさんでもらえれば
ほんとうに すばらしい

 

小学部 こうじ

僕は 大きくなったら
父のあとをついで 牧場をひらきたい
広々とした 草原で
たくさんの牛を飼い
広々とした青空の下で
たくさんの牛と遊び
たくましい牛を 育ててみたい

きしゅくしゃ
きしゅくしゃ

きしゅくしゃ

小学部 あきひこ

ぼくは きしゅくしやに きた
一日めの ばん
ねないで ないた
二日め ねるときは あきらめた
まいばん ふとんの中で
おかあさんや おうちのことを
おもいだすときが いちばんたのしい
かんがえながら ねむってしまう
こんやも だろうなあ

もう少し
もう少し

もう少し

高等部 みどり

私は もう少し歩きたい
もう少し笑いたい
もう少し語りたい
多くの人とふれあって 生きてゆきたい
自分の心に忠実に 思いのままに 働きたい
でも そんな気持ちを かかえたまま
やっぱり 私は うつむいてしまう

走る
走る

走る

中学部 ごう

ぼくは 今 走っている
人生という道を
どこまでも どこまでも

その道の間には
出会い 別れ 喜び 悲しみ…
途中で いろんなことが
あるけれど
走り続ける

何度も何度もつまずき
ころんでも
それでも起きあがって
ぼくは 走り続ける
人生という道を

いつかは だちょうのように
いつかは だちょうのように

いつかは だちょうのように

高等部 みちお

速く 速く走りたい
誰よりも 速く走りたい
だちょうのように
風にのって 速く 速く走りたい
雲が笑っている
空も笑っている
みんな みんな笑っている
その中に ぼくは 思いきり
とけこんでいきたい
重い体をひきずって
それでも ぼくは 生きていきたい
きょうは きのうより速く
あすは きょうより速く
いつかは きっと
だちょうのように 走ってみたい

さだめ
さだめ
さだめ
さだめ

さだめ

卒業生 あけみ

生きています
たとえどんなに 苦しくとも
それが 私のさだめなら
この手足では
何も できなくとも
心には 小さい 灯がついています
生きています
たとえどんなに 険しい道でも
それが 私のさだめなら
話すことばは はっきりしなくとも
まだ 文字があります

本の中には、お母さんのことを詠った詩もたくさんありました。
「歩きはじめた小さな天使たち」より
(鹿児島教育出版(現在の沖縄教育出版)発行)

右手
右手

右手

しげる

ぼくの右手は いうことをきかない
もし この手がきいたら
食べ物を 食べたり
字を 書いたりできるのに
もしも 右手が いうことをきいたら
母さんよろこぶだろう
ゆめでは ないかと
ぼくの右手を さわるだろう

ありがとうね 母さん
ありがとうね 母さん

手足が不自由でえんぴつを握ることができないみずよさんは、指の先を使って、電動タイプでこの詩をつくりました。

ありがとうね 母さん

カンナの花の 咲くころに
生まれてあれから 十五年
悲しいことも あったけど
楽しい方が 多かった
ありがとうね 母さん

秋桜咲いてる 庭先で
はだしで歩く けいこした
小さな石に つまづいて
よろける体を 抱きとめる
ありがとうね 母さん

山茶花咲いている 朝の道
霜やけの手で 押していた
車いすにも 降りつもる
はじめて知った 雪の味
ありがとうね 母さん

桜の花も 咲きだして
ひばりも高く 鳴いていた
明るい陽ざし%

投稿者: てのん記者