~出征兵士が無事に帰ることを願って~
なた豆というマメ科の植物を知っていますか?
最近では、栄養がたくさんあるので健康食品としても知られていますよね。
漢字では刀豆と書きます。サヤが刀に似ているからです。

このなた豆、江戸時代に日本に渡来したとされ、特に鹿児島では広く栽培されるようになったそうです。鹿児島では「タッバケ」と呼んでいます。
このタッバケにまつわる話をおばあちゃんに聞いたことがあります。
タッバケのツルは、上へ上へと伸びていき、そして必ず、今度は向きを変えて根元の方に向かって伸びるそうです。そこで、戦争中、夫や息子が出征した家では、タッバケを植えたそうです。「帰ってきてほしい」と口に出しては言えないけれど、タッバケのツルのように無事に戻って来てほしいという願いを込めたんですね。

鹿児島の地域によっては、サヤが刀に似ていることもあり、タッバケの種を、お守りとして出征兵士に持たせたところもあるようです。
これからも、戦争にまつわる人々の日常の思い、出来事を、細やかに少しずつ掘り起こし、残して行けたらと思います。