コッペパンは母の味

「あなたのソウルフードはなんですか?」と聞かれたら、私は迷わず母が作ってくれるコッペパンと答えます。

小さい頃からおやつとして食べてきたコッペパン。50年経った今でも母は、私や孫たちのために焼き続けています。

皆さんは学校給食などで出される紡錘形のパンを想像するかもしれませんが、私の家では丸くて少し硬めのホットケーキのようなものをコッペパンと言っています。

私の家では丸くて少し硬めのホットケーキのようなものをコッペパンと言っています。

あまりにも身近にありすぎて、作るようになったいきさつを最近まで知りませんでした。子供のおやつとして当時の料理本に載っていたのかな?と漠然と思っていましたが、話を聞くと違っていました。母の子供への愛情が生んだオリジナルレシピだったのです。

母(84)によると、昭和43年頃、父が農業高校に赴任し、生徒達が実習で作った牛乳や卵を、市価よりも安く買えるようになったのがきっかけだったといいます。当時、三人の子どもは幼児と小学生2人。この牛乳や卵を使って、ケーキやパンのように手間をかけずに、おやつが簡単に作れないかいろいろ試行錯誤してできたのがコッペパンだそうです。

小麦粉や砂糖の割合などいろいろ違えて焼いてみました。そして、「これが一番おいしい」というレシピを生み出し、以来同じやり方で焼き続けているのです。当時は子育てと家事にとても忙しい日々でしたが、このコッペパンは材料を次々とボールに入れて混ぜ、あとはフライパンで焼くだけ。手間も時間もかかりません。甘すぎず、腹持ちがよく、栄養もあり、食べ盛りの子どもに最適なおやつが生まれたのです。

この牛乳や卵を使って、ケーキやパンのように手間をかけずに、おやつが簡単に作れないかいろいろ試行錯誤してできたのがコッペパン

コッペパンは素朴な味で、本当に美味しい。学校から帰って来て、コッペパンが焼いてあると「やったー!」と思いました。すぐ手に取って食べようとし、「ほら、手を洗ってからにしなさい。」といつも母から注意されました。

留守番の時も、母はテーブルにコッペパンを置いて出かけていました。友達の家に遊びに行く時は一緒に食べるおやつとして持って行きました。家に遊びに来た友達は「おばちゃん、コッペパンない?」と言っていました。私はコッペパンと共に育ちました。当時母は毎週のように作っていたのではないでしょうか。

私達が大きくなると、小さい頃のように頻繁には作らなくなりましたが、それでも母は事あるごとにコッペパンを焼きました。器楽部の姉への差し入れに、剣道部の兄への差し入れに、そして不規則な勤務の私の夜食に・・

母に聞いたら、厳しい部活や激務をこなす子供達を励ます気持ちもあって作っていたそうです。職場の警備室に、知らない間に母がコッペパンを届けていて、それを警備員さんから受け取って夜中に食べた思い出があります。母の優しさが心に染みました。

それから時は過ぎ・・三人の子供たちは結婚し、それぞれ子供も生まれました。そして母は孫のためにコッペパンを焼いてくれるようになりました。私の子供たちもコッペパンが大好き。母は、今も時々宅配便で福岡に送ってくれます。中3になる娘は「コッペパンは祖母からの『頑張るんだよ!応援しているよ』というメッセージのようなもの。優しい祖母の味です。」と話します。

コッペパンは素朴な味で、本当に美味しい。学校から帰って来て、コッペパンが焼いてあると「やったー!」と思いました。

似たようなおやつはあるかもしれません。でも、このコッペパンは家族の絆を感じる私の家にしかない特別な食べ物のように思います。だから私にとって、幼い頃からいつも身近にあり、時に励まされ、今も、元気をもらっているコッペパンがソウルフードです。

母に教えてもらったレシピで時々作りますが、やはり母が作る方がおいしく感じます。母は、笑顔で食べてくれる孫や子供たちのために作ることが生きがいだと話します。これからも長生きして作り続けてほしい。そして、私が娘に、そしてその子供たちに伝えていきたい、心の味です。

~コッペパンの作り方~

【材料】
・卵・・5個
・薄力粉・・500g
・砂糖・・大さじ5杯
・牛乳・・カップ1杯
・ベーキングパウダー・・大さじ1杯強
・塩…少々
・干しブドウ・・カップ1杯強
・ナッツ類(くるみ、ピーナッツ等)・・カップ1杯強
※卵1個に砂糖大さじ1杯、薄力粉100gの割合
※干しブドウやナッツ類はお好みで。入れなくてもよい

【作り方】

  1. 薄力粉にベーキングパウダーを入れ、一緒にふるっておく。
  2. 干しブドウは材料の牛乳の中に入れてふやかしておく。
  3. たまごを割り、泡だて器でなめらかになるまで混ぜる。
  4. ③の中に、砂糖、塩を入れて混ぜる。
  5. ④の中に、ふるった薄力粉・ベーキングパウダーを入れ、軽く混ぜる。
  6. ⑤の中に、牛乳に浸した干しブドウ、粗く刻んだナッツ類を入れ、生地をさっくり混ぜる。
  7. フライパンを温め、サラダ油を薄く引く。
  8. フライパンに生地を流し込み、中火で15分、表面にプツプツ穴が開いてきたら裏返して15分、竹串で刺して、生地が付かなかったら出来上がり。
  9. 少し冷めたら、お好みの大きさに切って食べる。

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投稿者: てのん記者