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「暮らし」

やえむぐらの魔法


執筆者:

散歩の途中、庭の草取りをするおじさんに出会いました。

あいさつすると、にこにこしながら「いやぁ、八重葎ですわ。」

八重葎(やえむぐら)!たしか、生い茂る雑草のことだったような…。そんな名前の植物もありますが、おじさんはあたり一面の雑草をそう呼んだのです。なんて雅な響き。言葉選びのセンスのよさに、心打たれてしまいました。

ほっこりにっこりな話

八重葎には、「雑草」からただよう厄介者、迷惑といった負の気分が感じられないから不思議です。そこここにいる神様を「八百万の神」といったり、花びらいっぱいの花を「八重咲」といったり、「八」は、数えきれないけれど確かに存在しているものを表しているように思います。そのせいか八重葎にも、一つ一つの草へのまなざしを感じてしまうのです。それをさらりと口にしたおじさんには、雑草を心底嫌いになれない、懐の深さがある気がして、何だかいいなぁと思いました。

夏になると、勢いづく雑草には正直げんなり、ついつい冷たい態度をとってしまいますが、草たちにしてみれば、それぞれに名前があり、生きていくのに懸命なだけ。悪者扱いされるのは心外でしょう。思いがけない八重葎ということばに、少しだけ草の気持ちをおもいました。

おじさん、ありがとう。

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